2009年8月27日木曜日

今週のスナック:五反野あすか・後編


先週の前編で、すでにドキドキしてるみなさん、お待たせしました! 五反野のスナックあすかに君臨する魔性のママ、あすかさんの波瀾万丈人生劇場、いよいよ後編がアップされます。


北九州で生まれ、激動の青春を送ったのちに、最初の旦那様と運命的な出会いを果たす。しかし幸せな結婚生活も長くは続かず、生まれ育った九州を離れ、ふたりで放浪しながら東京に流れ着くうち、旦那様は精神的に追い詰められて自殺。残されたあすかママも自暴自棄な生活に落ち込みかけるが、仕事先で「あすか」という名の天使のような美少年と出会う。
彼のおかげで立ち直って未知の土地だった五反野に移り住み、スナックを開業。経営にようやく慣れかかったところで、mixiを通じて、またも男性との運命的な出会いが、あすかママを待っていた。今度の彼もまた、最初の旦那様にそっくりな、元ホストの女性的なイケメンという、大波乱を予期させずにはおかないキャラクターなのだった・・・。


もう、いちど読み始めたら、最後の行に辿り着くまでブラウザーを閉じられないこと、保証します! あすかママの自作自演セクシー・フォト・コーナーもあり!! 熟読よろしく!!!


http://www.kosaidoakatsuki.jp/shuppan/yondoko/002/post-38.php

直島の超絶スクラップ・アーティスト!

・・といっても、大竹伸朗くんのことじゃありません。先月のブログで直島の銭湯<アイラブ湯>開湯のようすをリポートしましたが、そのときに大竹くんから「実は文房具屋のオヤジで、すごいスクラップ・アーティストがいたんだよ!」と興奮気味に教えられ、さっそく取材に行ってしまいました。2ヶ月続けて直島を訪れるとは思いませんでしたが、しかし! お会いしてみれば、それは想像以上に強力なスクラッパーでした。ほんとはどこかの美術雑誌で紹介したいのですが、どこもページをくれそうにないので、このブログでサワリをご紹介します。


この11月で80歳になるという村尾智さんが店を開く文房具屋は、フェリーが発着する宮之浦にあります。直島の観光拠点であるベネッセのミュージアムや、家プロジェクトが集中する本村地区へは、宮之浦からバスで向かうのが一般的なので、アイラブ湯ができるまでは、宮之浦に留まろうという観光客は少数派でした。
 町外れの農協をのぞけば、宮之浦唯一の文房具屋である村尾さんの店は、もともとお父さんが昭和15年に開いた老舗。昔の小学校の門前にあったみたいな、ノートも売れば雑貨もオモチャも、切手も印紙も宝くじも、タバコも塩も売っている、よろずやという感じです。
 外から見れば、木造の古びた文房具屋。ガラス戸を引きあけて中に入っても、薄暗い文房具屋そのもので、おもてに面したタバコ売り場に、いつもちょこんと坐っているのが村尾さんです。もともと町役場に勤めていたのが、定年とともにお父さんから店を受け継いだのが平成元年。いまはふたりのお子さんもオトナになって島を出て、奥様も亡くなったので、ひとりぼっちで店を守っています。
 若いころから手先が器用で、工作が好きだったという村尾さん。奥様の趣味が手毬(てまり)づくりで、店が終わったあと、奥様は楽しそうに手毬に針を通しているのを、「わたしのほうは、その横でテレビ見てるだけなのが詰まらなくなって」、スクラップが始まったそう。


 スクラップというと、ふつうは自分が好きな絵柄を切り貼りするというのが定石ですが、村尾さんが反応したのは絵でなく、文字でした。「もったいない」「喜」など、そのときどきに気になった言葉があると、それを新聞や雑誌の中から何十、何百と探し出して、切り抜いて取っておく。あるていど集まったところで、灰皿やボール箱や、いろんなブツの表面に貼り込めていく。
 そうやってできた作品は、フォントもサイズもさまざまな、しかしまったく同じ単語や文章が多層に折り重なって、それはもう無限にリピートするつぶやきであり、シュールレアリストの実験詩を思わせる文字の抽象絵画であり、言葉のブレイクビーツとでも呼ぶべき、呪術的なダイナミズムにあふれています。
 
 たとえば「ちょっと前はよく拾えたんですけど、最近は”もったいない”というの、新聞にあまり出ませんなあ」と言う村尾さんの文字採集生活は、そのままメディアのトレンドをあらわすものでしょう。「探してる文字があるでしょ、そっちのほうが気になって、記事の中身のほうがおろそかになっちゃうんですわ」と笑うその読書方法は、きわめてアヴァンギャルド。自分で考えたり、テレビで耳にした「これはいいな」と思うフレーズを、さまざまな字体で文章に組んだ標語が店内のあちこちに貼ってある光景は、インスタレーションとしての詩空間にすら見えてきます。そのテイストにも、方法論にも、いささかのブレがないまま、ひとり孤独にハサミとノリを手に作業を続けるスクラッパー。

 村尾さんの作品が、ベネッセ・ミュージアムに収蔵される日はおそらく来ないでしょうし、文房具屋を継ぐひともいないそうなので、村尾さんが店を閉じる日が、彼のスクラップ作品を見られる最後の日になるののでしょう。
 これから直島に行く計画のある方は、ぜひアイラブ湯の湯上がりにでも、足をのばしてみてください!


<村尾智・コラージュ作品館>

「もったいない」屏風。一時は簡単に集まったそうだが、最近は新聞にも見つけにくいとのこと。そのとおりですねえ。「ロハス」屏風とかも、作ってほしい!


屏風のディテール。角の処理も見事だ。


最初はふつうの箱にしようとしていたのが、大きなサイズの「もったいない」が見つかってしまったため、制作途中で台形に変形させた作品。


余白を埋め尽くすべく、さまざまなサイズの「もったいない」を集めて貼り込んでいる。


これも廃物利用の灰皿。裏面にまでびっしり貼り込められた「喜」を見よ!


活字の「喜」によるレイヤーの、さらに上に、手書きで書かれたフレーズが。


極小の「喜」が、無数に貼り込められた表面のようす。


灰皿のフタに貼りつけられた詩・・「喜べば 喜びが 喜んで 喜びあつめて 喜んでくる」。


村尾さんがいつもカウンターに置いている、自分用のタバコ入れ。もとは佐久間ドロップの缶だったのか?


切手のカタログから、ヌード名画シリーズを選んで、缶の全面に貼り込められている。


なぜに「気分転換」かといえば、缶の中には何種類かのタバコが混ぜて入れてあり、穴から出てくるのが強いのか軽いのか、ふつうなのかメンソールなのかわからないから、いつものとはちがうのを吸える、というわけだ。脇の小さなフレーズ(ニコチンによる興奮と鎮静」「アルツハイマー病の予防効果」など)にも注目。


ボール紙でできた釣り銭皿。たばこ、たばこ、たばこ、たばこ・・・。


お勘定は電卓とかじゃなくて、とうぜんソロバン。しかし玉のあいだを覗いてみると・・・エロティックなヌード絵画が見え隠れ!


お手製メモ帳の裏にも、渋いフレーズが・・・「老年の仕事の一つは 孤独に耐えること」。下に貼ってある石は、バラスト用の重しです。


村尾さんの定位置、タバコ販売カウンター上部に、泣けるフレーズ・コーナー発見! 「お金持ちは、お札の向きがそろっている」。「傷はぜったい消毒するな」。「泣いて生まれて 笑って死のう」・・・。こういうの、毎日見ながら店番してるわけです。


お気に入りの標語を集めた、「教訓ボード」。「貸すな 借りるな 判つくな」とか、「良いことはおかげさま!! わるいことは身から出たサビ!!」とか、携帯の待ち受け画面にしておきたい、珠玉のお言葉集。


台所の流しの上に飾ってあった、好物(?)のご飯スクラップ



村尾さんはフクロウが大好き。家の中にはいろんなフクロウの置物が飾ってあるが、これは切り抜きを貼り込んだ「フクロウ・タワー」。


タワーのオモテ面、枝にとまったフクロウを載せた上部のディテール





2009年8月20日木曜日

今週のスナック:五反野あすか


足立区五反野って・・・どこだかおわかり? 東武伊勢崎線に乗って、浅草から10駅、北千住からだと小菅の次。「ここに引っ越してきたとき、東京の最果ての地だからって、地元の人によく言われました」とママみずから言う、五反野の商店街裏にある<スナックあすか>。こんな場末(失礼!)の小さなスナックが、実は毎晩いろんな意味で熱〜く盛り上がってる、全東京でも有数にパワフルな店だと、いったいどれほどの人が知っているだろう。


北九州に生まれ、子供のころから家出常習、高卒後はパンクバンドのヴォーカリストと、カラフルな青春時代を送ったのち、紆余曲折を経てホストと結婚。しあわせな生活が始まるが、紆余曲折を経て夫婦ふたりの放浪生活に。その間、旦那様は自殺。しかし絶望のうちに出会った美少年に導かれ、紆余曲折を経て五反野にスナックを開業。しかしそれからも地元ホストと泥沼恋愛・・もう、紆余曲折だらけの、壮絶な半生を送ってきた、あすかママ。しかもホストとの泥沼恋愛を文章化、自費出版で『愛の復讐』なる一冊にまとめ、それを店内で販売。しかも内容はハードな官能描写の連続! 一部のオトコたちにとっては、もう理想としか言いようのない魔性キャラの持主であります。


あまりに濃ゆい内容のため、今週来週と2週にわたってのロング・インタビュー。人生をパンクに生きるとはどういうことなのか、あすかママからたっぷり学んでください!

http://www.kosaidoakatsuki.jp/shuppan/yondoko/

演歌よ今夜も有難う、第7回アップしました!


どんなに長い夜も いつか朝が来る
幾年月も心の中 くり返すあなたの言葉
人生は悲しみを越えて 輝きを知る
愛をくれたあなたへ
この歌 届きますように

郊外の小さな駅。線路沿いの暗い道を、自分の背の半分ぐらいはありそうなカート付きのスーツケースをがらがら引いて、ちいちゃな彼女が歩いていく。今夜もこれから、カラオケ好きが集まるスナックで、長いキャンペーンの時間が始まるのだ。


自分の曲を歌って、お客様とデュエットを何曲もやって、また自分の曲を歌って、終わったらカセットとプロマイドを持って客席を回る。1枚ずつその場でサインして、ぎゅっと握手して、それから物置みたいな小さな部屋で着替えて、またスーツケースを引いて家に帰る。
レコード会社もない、マネージャーも運転手も、事務員もいない。たったひとりで営業して、歌って、売り歩く胡桃乃(ことの)みちるさん。小さな身体のいったいどこにそんなパワーが秘められているのだろうか。
”インディーズ”とか言って、いきがってるロッカーやヒップホップ野郎なんかとうていかなわない、ワイルドサイドを歩き続ける若き演歌歌手の生きざまを、じっくり読んでください!


http://blog.heibonsha.co.jp/enka/2009/08/post-6.html

アサヒカメラ連載『今夜も来夢来人で』:守口


大阪中心部から京阪電車でも地下鉄谷町線でも30分足らずのベッドタウン。三洋電機創業の地であり、おとなり門真には松下電器の本社があり、という電気の町でもある守口の、駅を降りてすぐのビルに入っている<スナック来夢来人>。もうすぐ30周年を迎える老舗であります。


東京からお客さんが来店すると、「大阪のノリってすごいですね!」とたいてい驚くそうだけど、いかにも関西という強烈なドライブ感が、めちゃ居心地いいというか、クセになっちゃいます。



トークイベントのお知らせ:先端芸術論@アップリンク

日本のAVが、いまや単なるヌキ道具にとどまらない、ユニークな映像作品にまで異常進化を遂げている(のもある)のは、ご存じのとおり。
なかでも『全裸』シリーズなど、とびきり怪しい作品を大量にリリースしてきたSOD(ソフトオンデマンド)の全面協力により、2日間のイベントを開催することになりました。
『全裸避難訓練』や『全裸若女将』など、1990年代後半に発表された懐かしの第1期全裸シリーズから、このブログでも前に紹介した『人間家具』や『全裸美術館』など、ポップアートそのものの近作まで、30本近い傑作を選んで、ベスト・シーンを抽出、再編集したリミックス版を、わざわざSODがいま、作ってくれています。


1日目はそのベスト版を見ながらの、SODクリエイトの社長さんとのトーク・セッション。そして2日目は、なかでもそのスケールとパワーで世間を震撼させた、近年最大の問題作『人類史上初!!超ヤリまくり!イキまくり!500人SEX!!』の全編と、メイキング映像をお見せします。
ちゃんと古本屋がある出版業界とちがって、AVは時間が経ってしまえば、見つけるのがなかなか難しい、いまだリサイクル・システムが完備してない業界というか、「見て使ったら捨てる」みたいな使い捨てが常識になっている分野でもあります。
実はいまの日本が世界に誇れる、希少なクリエイティブ・パワーの精華を、この機会にまとめてご覧ください!




「先端芸術論 ~トークショー、都築響一×SODクリエイト代表取締役・葛西大祐~」

■日時
9/15(火) 19:00開場/19:30開演
9/16(水) 19:00開場/19:30開演

■料金
9/15(火) \1800(1ドリンク付き)
9/16(水) \1300(1ドリンク付き)
※2日続けて来場の方は、9/16(水)は\1000(1ドリンク付き)となります。

■予約
メール予約あり

■告知文
クリエイティブな観点から見れば、世界のトップを独走しつづける日本のAV業界。
なかでも業界最大手のSOD(ソフト・オン・デマンド)は、その名を一躍高めた『全裸』シリーズで「抜けないAV」という革命的なコンセプトを提出。エロ・マニアのみならず、現代美術愛好家をも震撼させた。
このイベントではSODの全裸シリーズを初め、都築響一監修のもと、SODクリエイトが全面協力。アップリンクイベントの為に総編集した「なんとも不思議なお馬鹿なAV」作品を上映。
都築響一とSODクリエイト株式会社 の代表取締役 葛西大祐の異色コラボトークが実現!2日目は、「なんとも不思議な~」の上映と併せて、都築氏自らが厳選した秘蔵AV「おバカグランプリNO.1」作品の上映となります。乞うご期待!

※本イベントは18禁となります。受付時に年齢確認をさせて頂きますので、当日は年齢の分かる身分証をご用意下さい。

http://www.uplink.co.jp/top.php

今週のマスト・バイ:山城新伍を偲んで

8月12日、山城新伍さんが亡くなりましたね。またひとり、日本映画黄金期を支えた名優が、いなくなってしまいました。
1959(昭和34)年から2005年までと、ほとんど半世紀に及ぶ芸歴を誇った人でした。東映の時代劇がもともと専門でしたが、60年代後半からはヤクザ路線に、70年代にはエログロ路線にと、会社の方針にそのまま乗って、自在な芝居を見せてくれました。
ずっと入手困難だったエッセイ『おこりんぼ さびしんぼ』が、先ごろ廣済堂から文庫化されたので、日本映画に興味のある方はぜひ読んでいただきたいですが、ここは山城新伍の偉業を偲んで、過去の名作を再チェックしておきたいものです。
出演作品はものすごく多いのですが、たぶんテレビの追悼番組とかではおそらく触れないであろう、70年代のお笑いエロ路線が、いまとなっては最高に楽しく、おすすめです。『不良番長』シリーズもいいんですが、『セックス喜劇 鼻血ブー』、『ポルノギャンブル喜劇 大穴中穴へその穴』、などなど、タイトルだけでうれしくなってしまうB級映画で、嬉々とした怪演が堪能できます。



個人的には、『温泉スッポン芸者』、『東京ふんどし芸者』、『徳川セックス禁止令 色情大名』などが、いまでも手に入りやすく、おすすめ! 現在のAVとかとは次元のちがうカネと時間をかけた、お笑いソフトコアという、失われた日本映画のあだ花たちを、拾い上げてやってください。


温泉スッポン芸者 [DVD]


2009年8月12日水曜日

堀内誠一展:旅と絵本とデザインと


京王線芦花公園駅から歩いてすぐ、高級マンションや老人ホームが建ち並ぶ一角にある世田谷文学館。もともとウテナ化粧品の創業者・久保政吉氏の邸宅、工場跡に建てられたもので、いまでも豪壮な塀と門の一部が残っています。

ここでいま開催中の展覧会が『堀内誠一 旅と絵本とデザインと』。堀内誠一さんはデザイナーであり、絵本作家であるわけですが、僕にとっては編集者の仕事を始める上で、決定的な影響を与えられた師匠であります。

POPEYE、BRUTUSと、堀内さんがアートディレクターを務めていた時代に、僕は幸運にも編集者生活をスタートさせることができました。何回も旅に同行させてもらい、夜の新宿徘徊にも連れていってもらい、教わったことの大きさは、とても簡単には言いあらわせません。

今回の展覧会では、堀内さんの少年時代のスケッチから、伊勢丹の広報誌、ロッコール・マガジンなど初期のデザインワーク、平凡出版、マガジンハウスでの雑誌デザイン、絵本と旅日記など、その生涯を包括的にふりかえることができる、ほんとうに貴重な展覧会です。

都心ではないし、それほど広報もされてはいないのですが、お客さんは絵本好きのおばさまや家族連れが中心、編集者やデザイナーとおぼしき人種はあまり見かけられないようで・・・だから最近の雑誌って、おもしろくないんだよ!と毒づきたくもなりますねえ。とにかく編集の仕事、エディトリアル・デザインの世界を志す人であれば、ぜったいに見ておかなくてはならない展覧会です。

会期は9月6日まで。何度か通わないと、全点をじっくり観賞できないかもしれません。

今週のスナック:中野昭和倶楽部



中野ブロードウェーの裏通り。古びたアパートふう建築の2階に、<昭和倶楽部>というネオンが光っている。一見、懐メロ歌謡スナック。しかし一歩中に踏み入れてみれば、そこは極小のEIKICHI YAZAWA ワールドなのだった。
壁には巨大な壁画。あちこちに光るネオン。ポスター。入口脇にはトレードマークの白テープ巻きマイクスタンド。モニターに映るのも、もちろん矢沢。そしてカウンターに立つのも矢沢、じゃないがすごく矢沢似の、クールなマスター。ここは矢沢好きによる、矢沢好きのための、矢沢に捧げられたスナックなのだ。


店は2008年3月に開店、まだ1年半足らずだけれど、これまでに辿ってきた半生には、なかなかロックな苦難の道のりがあったマスター。その七転び八起き人生を、約1万8000字の超ロング・インタビューで堪能してください!



インペリアルプレス:サイト・リニューアルのお知らせ


日本で唯一のアウトサイダー・アート専門ギャラリーを運営し、ヘンリー・ダーガーの翻訳者としても知られる小出由紀子さんと、ふたりでインペリアルプレスという極小出版社をやっているのを、ご存じの方もいらっしゃるかと思います。

このほど、約2年ぶりに(恥)、ウェブサイトを全面リニューアル、性根を入れ替えて、これからは基本的に毎週、ブログ形式で新しいアウトサイダー・アート関連ニュースを発信していくことになりました。

また、『ヘンリー・ダーガーズ・ルーム』の第2版に印刷ミスがあることが発覚。お取り替えのお知らせもあります。まだデザインが固まらず、試行錯誤の段階なのですが、一度ご覧いただき、よろしかったらお気に入りに登録してください!

http://imperialpress.jp/

ちなみに今週は、いま京都造形芸術大学内のギャルリ・オーブで開催中の、『マイ・アートフル・ライフ』と題された3人展を紹介しています。

http://aube.kyoto-art.ac.jp/

この展覧会は5月に川口市で開かれたものの巡回ですが、『現代美術場外乱闘』でも紹介した塔本シスコのほかに、丸木スマ、石山朔という、いずれも超遅咲きのユニークなアーティストばかりを集めた、渋いコレクションです。3人とも、展示の中心になっているのは、70歳を越えてから制作された作品! なので、恐るべき老人力をお裾分けしてもらいに行きましょう。8月30日までと会期が長いので、ゆっくりどうぞ!
































大竹伸朗 x 都築響一 公開トークのお知らせ

ほんとうに久しぶりに、大竹伸朗くんと公開対談をします。8月30日(日)、夜7時から。場所は青山ブックセンター・青山本店です。

さきごろ洋泉社から出版した『デザイン豚よ木に登れ』、『現代美術場外乱闘』の2冊をいちおうテーマにしていますが、とりあえずアートとデザイン業界について、ふたりでごちゃごちゃ放言してみようという、フリースタイルの1時間半です。秘蔵画像もたくさん、お見せする予定!

定員は120名ですが、大竹君のトークはいつも、すぐいっぱいになってしまうので、今回も予約がまもなく定員に達してしまうと思われます。お申し込みは、青山ブックセンターのウェブサイトから。お早めにどうぞ!

■2009年8月30日(日)19:00〜20:30
 +サイン会 (開場18:30〜)
■会場:青山ブックセンター本店内・カルチャーサロン青山

■定員:120名様
■入場料:500円(税込)
■ご参加方法:
 [1] ABCオンラインストアにてWEBチケット販売いたします。
 [2] 本店店頭にてチケット引換券を販売。
 ※入場チケットイベント当日受付にてお渡しします。当日の入場は先着順・自由席となります。

http://www.aoyamabc.co.jp/10/10_200908/2009830_tsu_oht.html

今週のマスト・バイ:恐怖女子高校シリーズ!

これ、待ってたんですよね! 初のDVD化です。あの元祖和製ビッチ・池玲子をヒロインに、ありえない設定で全編エログロのキャットファイとが展開する、サービス満点のカルト・シリーズ。タランティーノも、ぜったい愛してるにちがいありません。

シリーズが制作された1972-73年は、日活がロマンポルノ路線に転換したことに象徴されるように、(1971年から)、日本映画の最盛期が終わり、どうしようもなくなっていく、そのファースト・ドロップの時期。ロマンポルノへの、東映からの回答がこれだったとしたら、なにかおもしろくてやがて哀しい・・という感じですが、いま見直してみても、やけっぱちのラディカリズムが全編を支配して、溜め息が出ます。こういう映画、いまいちばん撮れないのかもしれませんね。今回は、


* 恐怖女子高校 女暴力教室
* 恐怖女子高校 暴行リンチ教室
* 恐怖女子高校 不良悶絶グループ
* 恐怖女子高校 アニマル同級生

の4本が一挙にDVD化。記念企画として、いま阿佐ヶ谷のラピュタでは1ヶ月以上のレイトショー公開もされてます。

http://www.laputa-jp.com/laputa/program/kyoufu_joshi_koukou/

池玲子のナイスバディはもちろん、杉本美樹とか一ノ瀬レナとか、芹明香とか三原葉子とか叶優子とか、見るからにあばずれた(失礼!)ラインナップに、大泉滉、名和宏、金子信雄、さらには渡瀬恒彦まで登場。音楽も八木正夫生に荒木一郎にと、かなりアヴァンギャルドなロック・テイストで、もうめちゃくちゃかっこいいです。
ちなみにラピュタの宣伝文句を引用させてもらうと・・・

連合赤軍事件、沖縄本土復帰、日中国交正常化、ベトナム戦争終結……物情騒然の世の中を、池玲子&杉本美樹ら「女番長(スケバン)軍団」が疾走!百花繚乱の東映「不良性感度」に、新シリーズ『恐怖女子高校』が誕生する。
「ロック時代」の幕開けを告げた米国映画『暴力教室』の和製&女性版といわれ、学園に蔓延る暴力と巨悪に立ち向かう女子高生。セーラー服に身を包んだ、強くて可憐でワイルドな非行少女たち。それは、学園紛争の総括、校内暴力の先取りか?
今、伝説を喰い破り、銀幕に復活する女番長軍団を見よ!


『恐怖女子高校 暴行リンチ教室 タイマン仁義』

というわけで、阿佐ヶ谷の銀幕で見るのがベストなのは当然ですが、ジャケットのグラフィックだけでも買う価値あり。もちろん4本セットで、ぜひどうぞ。



2009年8月5日水曜日

今週のスナック:昭島・二人のママ


新宿駅から中央線に乗って、途中で青梅線に乗り換えて1時間弱、昭島の南口を降りて、団地と農地の入り交じるなかを歩くこと約10分、踏切脇に立つ雑居ビルの2階に<スナック・二人のママ>がある。


「ママなんて呼ぶ人、いないよー、お客さんはみんな”カコちゃん”って呼ぶの」というカコママ。もともと勤めていた会社の、上司の奥さんが始めたスナックに通っているうち、いつのまにか手伝うようになって、しばらくするうち奥さんが失踪! やむをえずお店を引き継いで、今年で6年になった。
聞いてみれば大波だらけの人生を泳いできたママだけど、そんな経歴はちらりともうかがわせない、天真爛漫なスマイル。明るくて、まっすぐで、思いやりがあふれ出ている。そんなカコママのキャラクターに魅せられて、きょうも開店前から常連さんたちがやってくる。
こんな郊外の、こんな小さな店に、こんなにホットな人情コミュニティがありました。


http://www.kosaidoakatsuki.jp/shuppan/yondoko/002/post-35.php

上海スタイル!:モノ・マガジンで新連載開始


知らないうちに今年が創刊27年目だという、老舗のmono magazine誌上で、『上海スタイル』という新連載が始まりました。
いま、世界でいちばん活気ある都市、そしてニューヨークを抜いて世界でいちばん日本人が住む海外都市にもなった上海。しかしメディアに露出するのはニューリッチたちのバブリーなライフスタイルとか、オシャレショップやホテルとか、アールデコの街並みとか・・・ようするに完全なワンパターンです。
しかし外国人がしばしば東京に対して誤解するように、生活水準のみならず生活コストも先進国並みになった上海にだって、安いアパートを探して、楽しく住んでいる若者はたくさんいるわけです。


日本人、欧米人、中国人・・・上海の街なかに、家賃が2〜5万円ぐらいのアパートを見つけて、気楽な毎日を送っている人たちを、これから訪ねていきます。
モノ・マガジンは隔週発売なのですが、この連載は1号おき、毎月1回ずつです。第1回目がただいま発売中の号なので、書店などでご覧ください。