2011年10月26日水曜日

書行無常展:藤原新也さんと対談 11月6日



秋葉原のアートスペース「3331 Arts Chiyoda」。旧練成中学校を改修した建物はなかなか広々、校舎前の空き地もだんだん周囲に溶けこんできた感じです。

11月5日から1階のメインギャラリーで開催されるのが、藤原新也さんの個展『書行無常』。写真家・文章家である藤原さんが、過去2年近くにわたって日本各地で撮り歩いた写真と、書を融合した展覧会です。

2010〜2011年。日本、中国、
印度、そして震災渦の日本。
藤原新也が現場を旅し、写し、
即興で大書した言葉の軌跡を、
120点超の特大プリントと
巨大書道作品を中心に
一堂に展示致します。(公式サイトより)

会期中は毎週日曜にイベントが開催されるそうで、6日の夕方5時からは、僕がお邪魔して藤原さんとふたりで公開対談を行います。

2011年11月05日(土)〜2011年11月27日(日) 会期中無休
11:00-20:00(日曜日のみイベント開催のため11:00-16:00)
入場料 500円(ベント参加料:前売券1,500円/当日券2,000円)

なにしろ藤原新也さんの、東京では久しぶりの大きな展覧会なので、トークもすぐに席が埋まってしまいそう。お急ぎ、サイトからご予約を!

展覧会案内サイト::http://www.fujiwarashinya.com/shogyomujo
3331公式サイト:http://www.3331.jp/schedule/001252.html

月刊カミオン 11月号・デコチャリ卒業生特集!

長らく愛読、しかしなかなか毎号は買えないでいたアートトラック愛好家雑誌『カミオン』。久しぶりに11月号を買ってみたら・・これがすごい! 「夢中でペダルをこいだ追憶の日々! デコチャリ卒業生・青春白書」という、涙なしには読めない特集になんです。

こんな感じに、現在の愛車と当時の愛車が並べられている。

付録DVDも必見! ちなみにバックにしたのは、
僕がいちばん好きな「子供によるデコトラ・イラスト投稿ページ」

僕がアートトラック(デコトラ)のデザイン・パワーに魅せられて、『Cruising KINGDOM:アートトラック・疾走の玉座』という写真集を作ったのが2000年のこと。それからもう10年以上が経ってしまったとは驚きですが、当時取材していてわかったのは、いまアート活動(デコトラを運転することを、業界用語ではこう言う)に励んでいるトラッカーの中には、中学高校生のころに「デコチャリ」にハマっていたひとがけっこう多いという事実。デコトラは乗り回したいけれど免許はなし、ということで、愛用のママチャリをせいいっぱい飾り立て、飾りすぎて重くなりすぎ、乗れなくなったチャリを押して歩く——アートにかけた、そんな熱い青春時代を送ってきたトラッカーが、たくさんいるんですねえ。

で、今月のカミオンは、いまトラッカーとして活躍するひとびとの、現在の愛車と、かつてのデコチャリを並べて紹介し、思い出話を取材したもの。これはもう、専門誌にしかできない、さすがの企画です。

デコチャリ時代の思い出を語りつつ、日光街道を爆走する「花道丸」と「神農丸」2台の名デコトラなどが収められたDVDも付録について、至れり尽くせり。考えてみれば彼らアート・トラッカーたちは、自転車のペダルをトラックのアクセルペダルに替えただけで、アートを背負ってペダルを踏み込むスピリットは、中坊時代から現在までまったく変わりがないわけです。アート活動にもいろいろありますが、これだけブレのない、熱い精神がみなぎってるのって、美術界よりトラック界のほうがすごいのかも。



VOBO妄想芸術劇場:山本一夫 1

山本一夫はオムツ・マニアである。『おむつ倶楽部』のような専門誌ならともかく、『ニャン2』のようにノーマルな(?)エロ投稿誌では、稀少な投稿者だ。

山本一夫が一貫して描くのは、オムツを当てられた女性。それもバレリーナ、フィギュアスケーター、新体操選手、花嫁など、若く可憐な娘たちが、舞台で、スケートリンクで、結婚式場でと、ありえない空間でオムツ姿をさらし、おもらしを目撃されるというシチュエーションに、激しくこだわりつづけてきた。



一見しておわかりのように、山本一夫の画風は稚拙と言えるほどにナイーブだ。ぶっきらぼうな輪郭だけであらわされた身体。責める側も、責められる側も徹底的に無表情であり、凍りついたように画面に動きが感じられない。これを技量のつたなさと切り捨ててしまうと、山本一夫の絵から滲み出る、なんとも言えない魅力がわからないことになる。



この一連の作品を見て、瞬間的にクロソウスキーを想起する方もいらっしゃるだろう。フランスの思想家ピエール・クロソウスキーはバルテュスの兄としても、マルキ・ド・サドやニーチェの研究家としても知られているが、彼にはまた『ロベルトは今夜』という不思議にエロティックな小説がある。


ジャンボ機の客室でスチュワデスにオシメを替えられる。

クロソウスキーにとって、山本一夫にとって、絵画の習熟度とか、完成度というものは、なんの価値もないのだろう。彼らが描きたいのでは一枚の絵ではなく、描かれるべきひとつの物語なのだから。それは技術者の図面のようでもあり、子供がこっそり落書きする性交図のようでもある。

敵側にとらわれたプリマバレリーナは、両足首に鉄のくさりをつけられ、
レーザー光線が股間に迫る。高圧浣腸を受けながら、死の予感がする。

今週・来週の2回にわたって、この知られざるオムツ画家の作品を紹介する。今週はカラーのシリーズをまとめて、来週はまた独特の味があるモノクロームの作品群をお見せしよう。

広島でトーク・イベント 11月27日


ちょっと先になりますが、11月27日の日曜日に、広島のヲルガン座というオルタナ・カフェ(と呼んでいいのか?)でトークをやります。もうすでに予約で席が半分以上埋まっているそうなので、早めに告知をと思ったわけですが、このトークは、実は『viii』と銘打たれた、かなりクレイジーなイベント・シリーズの一環。11月初めから1ヶ月にわたって広島市内各地で開催されるようなのですが、中味がすごい! なので、僕のトークはともかく、もし会期中に広島方面に行かれる予定のある方は、要チェックです。

渋いデザインしてくれましたねー!(笑)

公式サイトの説明によれば・・・

viiiとは、1ヶ月に8種類のイベントを開催する事がコンセプトのイベントです。
2011年11月1日〜11月30日まで、広島市内の様々な会場でイベントを開催します。


11月1日(火) 入場無料!参加自由! viiiの見所を紹介! 他にも色々とあるかも?「viii 前夜祭」@ヲルガン座
11月3日(木・祝)「広島解毒波止場」第一部 根本先生と巡る“世界遺産〜ホルモン”ツアー
11月3日(木・祝)「広島解毒波止場」第二部 根本敬トークショー
11月3日(木・祝)〜11月9日(水)「根本敬×河村康輔 展覧会」
11月4日(金)、5日(土) 30時間ぶっ続けイベント「Anus30H」@mugen5610
11月12日(土) TRASH-UP!!屑山屑男編集長をお招きしての6時間以上のホラーカルト映画祭「TRASH-UP!! in 横川グラインドハウス」!@横川シネマ
11月20日(日) カルト的な人気を誇る伊勢田監督の「伊勢田勝行アニメ上映会」@ふらんす座
11月23日(水・祝) フェティッシュアングラ系撮影イベント「Erimamihc」 
氏賀Y太トークイベント「Y式解体新書」@ヲルガン座、ふらんす座、廃墟ギャラリー
11月25日(金) 広島クラブカルチャーの密壺をこっそりと伝授するSPECIAL ONE NIGHT「IZUMICAL CREW+GUEST:??(FROM東京)」@bar edge
11月26日(土) あの2人が帰ってくる!「吉田豪×杉作J太郎 人生相談番外地 横川シネマ篇」@横川シネマ
11月27日(日) 都築響一トークイベント@ヲルガン座「都築響一トークショー」
11月30日(水) 入場無料!参加自由!viiiのイベントを振り返りながら打ち上げ!「viii 後夜祭」@ヲルガン座

というわけで、根本敬先生から吉田豪×杉作J太郎という最強タッグまで、なかなか東京でも実現できない、驚きの超濃厚ラインナップ。しかしいちばんすごそうなのは11月4日の「30時間ぶっ続けイベント Anus30H」という、名前からしてイケすぎてる耐久ライブ。まあ、出演者リストを見てやってください・・

・初来広!キング・オブ・ノイズ「非常階段」
・広島の嵐を呼ぶ男 広島旋風児「広島太郎」
・広島アンダーグラウンド界の女王「ゴトウイズミ」
・廣島ハイパージャンクHC軍団「jailbird Y」
・自称、デジタル世代のジミ・ヘンドリックス「佐伯誠之助」
・女子校生超絶ドラマー在籍「電子たくあん」
・ひねくれポップソング「ウサギバニーボーイ」
・ハートコア歌唱「タカシーゲル」
・地獄フォーキーパンクの暗黒星「オクムラユウスケ」
・音響ポストロックフォークjazz「カングルワングル」
・ボーダレスポップ♀ユニット「rallinana」
・ACID系プレゼンター「ai7n(アイン)」
・見世物小屋系バンド「ねこ虫」
・真の意味でのハードコア・プログレ「RUINS alone(吉田達也)」
・高円寺・毛むくじゃらパンク「de!nial」
・断易鑑定士「JOJO広重」
・渦を巻いて快楽に向かう混沌「rampton」
・長崎と世界をつなげるアヴァンギャルドノイズブレイクコアエレクトロハードコア「VELOCITYUT」
・4人組軟体動物バンド「wave of mutilation」
・元気系修大ロック部コピーバンド「屯田ウォリアーズ」
・宇宙 生活 平生の自由「のんべんだらり」
・広島から平和の音楽を世界へ「智TOMO」&70歳以上シニアコーラス「KIKO」
・トーキョーカオティックポップ「tacobonds」
・スリーおっぱいワンちんこ「SIKASIKA」
・下ネタのナポレオン「クリトリック・リス」
・ドラムンベースシットゲイズ・バンド「tarutaru」
・生音の響き、激しさを秘めたネイティブグルーブ「BLOWBOHEMIA a.k.a. 枡本航太」
・1日限りトークショーでの復活!「老人福祉施設つくしんぼ」
・澄系ギター弾き語り「オカダノリコ」
・女子大生ふたり組ニューウェーブパンクバンド「ZEMB☆晴香」
・ヴィジュアル系オンリーDJ&ライブ「殺シノ調べ」

なんと「非常階段」! メンバー全員70歳以上というシニアコーラス・グループ「KIKO」! そして展覧会『HEAVEN』のイメージキャラクターもつとめてくれた「広島太郎」までカラオケで参加! これは・・・主催者、気苦労で倒れちゃうんじゃないでしょうか。

やはし広島太郎がイメージキャラのフライヤー!

全イベントの詳細は公式サイトをじっくりチェックしていただきたいですが、こういう動きが東京以外の場所でどんどん出てくると、ほんとにうれしいですね。何度も書いてますが、いまいちばん新しいことを実現できるのは、東京じゃなくて地方なのかも!

viii 公式サイト http://viii8.net/

2011年10月19日水曜日

新・平成歌謡塾で恥ずかし歌唱タイム・・10月23日

毎週日曜日の朝6時55分〜7時25分という、ものすごい時間にBS朝日で放送中の『新・平成歌謡塾』。ま、毎週観てるひとはいないでしょうが、ずいぶん前にこのブログで、この番組にゲスト出演したジム・オルークの『矢切の渡し』を覚えているひともいるのでは。


鏡五郎の「なみだ川」や北原ミレイの「新宿海峡」、そしてなにより「浪花節だよ人生は」(木村友衛ほか)で知られる台作曲作詞家の四方章人先生をコーチに、アマチュアのカラオケ好きとゲストがみっちり歌のレッスンをつけてもらうという、シリアスな歌番組。それに、あろうことか僕も呼ばれてしまいました・・・。レッスンをつけてもらったのは美川憲一の『お金をちょうだい』。もう、単なる羞恥プレイでしたが、担当してくれた方が「どうしても告知してくれ!」と言うので、やむをえずお知らせします。ま、ぜったい起きれないと思うので、気にしないでください。

厳しいレッスン風景

四方先生(左)、山本あきさん(右)と

ちなみに収録当日、レッスン・アシスタントを務めてくれたのが山本あきさん。実は2008年に月刊『カラオケファン』誌で、お宅までお邪魔して取材させてもらった若き人気歌手です。ものすごくフレンドリーな人柄が、そのまま顔に出てますが、東京に出てきていらい、ずっと暮らす大田区の御嶽(おんたけ)商店街ではアイドル的存在。街を歩くと、有線からも彼女の歌が流れてきます。こちらの記事もずいぶん前に出たきりで、単行本にも未収録なので、この機会に読み直していただけたらと思い、ここに再録します。よろしければ、彼女の歌もどうぞ!


東京の下町のはずれの小さな駅で待ち合わせしていたら、商店街の有線放送から演歌が流れてきた。わざわざ改札口まで迎えに来てくれた山本あきさんに聞いてみたら、「あ、これ、あたしの歌なんです!」 えーっ、商店街で自分の歌が流れてるんですか、すごいですねぇ、と感心したら、「もう3年もここに住んでるんで、みなさん顔なじみで、バイトもここでやってたし、お腹すいたらお蕎麦屋さんで食べさせてもらったり、最高ですよー」と、かわいらしく笑ってる。石川県鶴来町(現・白山市)に昭和53(1978)年に生まれ、2004年にプロ歌手目指して上京した彼女が、いまでは東急池上線御嶽山の歌姫だ。

 ワンルームのわが家で夢を語るあきさん

本のセレクションにも感心

お父さんはサラリーマンだけど週末は手品師!、お母さんも地元でプライベート盤を出す演歌歌手という恵まれた(?)家庭環境に育ち(ちなみに芸名はお父さんが「マジカル功」、お母さんが「港あかり」)、”あき”という名前もお母さんが大好きな八代亜紀から取った(「あっ、姉の”まり”も天知真理さんからなんです」)、ある意味、歌手になるべくしてなったという感じの山本あきさん。小学生のころからチビッ子歌番組に出場するなど音楽への道を順調に歩み、中学校2年生にしてロックバンドを結成。ドラムスとヴォーカルを担当して、プリンセスプリンセス、リンドバーグあたりの曲とオリジナルをまじえて演奏するようになった。
高校に入るとクラスメイト4人で作ったバンドで、今度はギターとヴォーカル担当。「あたしはそのころから、音楽で生きていく!って気持ちだったんですけど」、ほかのメンバーが「卒業したらやっぱり就職」みたいなことになって、高校卒業と同時にバンド解散。それからはひとりでアコースティック・ギターを抱えて、金沢のライブハウスで歌うようになった。
「正直言って、演歌なんてダサい」と思っていたロック少女が目覚めたのは、金沢市役所が音頭を取った町おこしイベントで、一日だけ”流し”をやってみないかと誘われたのがきっかけ。流しならロックじゃなくて演歌だろうと、ライブハウスの人が演歌のスタンダードを選曲したテープを作ってくれて、美空ひばりの『悲しき口笛』や美川憲一の『柳ヶ瀬ブルース』などといっしょに入っていた藤圭子の『夢は夜ひらく』を聴いたら「涙が止まらなくなっちゃったんです」。すでに自分も20歳になっていて、子供のころは20歳になったら自分の夢は叶ってるもんだと信じ込んでたのが、ぜんぜん叶ってない。そんな自分と「15,16,17と あたしの人生暗かった」という歌詞が重なっちゃったんですね・・と当時を振り返ってくれたが、ライブハウスの人の選曲もよかったんですねえ。
イベントは一晩だけだったけれど、予想もしていなかった反応の強さに演った本人が驚き、「おもしろくなっちゃって、それから3ヶ月ぐらい流しを続けました」。
それまで毎月出演していたライブハウスでは、別にお客さんが聴いてくれなくても、自分が歌いたい歌をそこで歌っていられればいいと思っていたのが、焼鳥屋のカウンターで目を瞑りながら聴き入ってくれるおじちゃんとか、スナックの片隅で自分の歌に涙を流してくれて、「ねえちゃんなら絶対、歌手になれるから! 応援するから、ときどき来てや」って言ってくれた人とか、「そんなふうに喜んでくれる人たちを見た瞬間、あたしはこういう世界で生きていこうって決めたんです!」
地元のテレビや新聞で記事になった”流しの少女”のことを見て、お母さんの歌友達が作曲家の聖川湧先生を紹介してくれ、月にいちど金沢に教えに来ていた先生にレッスンをつけてもらうようになった。
石川県のお隣の富山県に生まれて、小学生の時に両親が離婚、さらには父親の失踪で天涯孤独の身となって、18歳で金沢のヘルスセンターの専属バンドから音楽活動をスタート。苦労の果てに香西かおりの『雨酒場』や成世昌平の『はぐれコキリコ』で作曲家として大成功した聖川湧という格好の師を得て、ひたすら発声練習に励みつつ、「焼き肉屋さん、お弁当屋さん、喫茶店…食費を浮かせようと思って食べ物屋さんばっかり選んで」バイトしながら、3年かかって上京資金を貯めた。それで先生が来てくれたカラオケ大会のとき、打ち上げの後に、「やってだめなら仕方ないけど、やらずにダメというのでは悔しいから、最後のチャンスだと思って東京に行きたいんです。発声練習でもいいので、先生の近くに居させてください。お金も貯めましたし、近くに来月からアパートも借りちゃいました。お願いします!ってお願いしたら、先生、ぽかーんってされちゃったんですけど、いつかはそう言われるかって予期もしていたみたいで」。
「実はそのとき、まだお金も足りなかったし、アパートも借りてなかったんですけど」(笑)、急いで先生のお宅のそばに部屋を探して、「行ってらっしゃい!」と送り出してくれた家族のもとから東京にやってきたのが2004年のこと。それからは「もう、朝5時からお昼の12時半まで商店街のコンビニでがっつりバイトして、2時から先生のところで夜までレッスン、長いときはお酒のお付き合いで夜中2時頃まで帰れなかったりして、先生のお話聞いてるつもりが、目が開けてられなくて・・なんてこともありました」というハードなトレーニングの日々が始まった。
上京して半年たった2005年4月26日に、キングレコードのオーディションに合格。ところがなかなかデビュー曲が決まらず、『哀しみ模様』でデビューできたのが2006年6月21日。キングレコード創立75周年記念新人として全社的なバックアップ体制のもと、同年末には“第48回輝く!日本レコード大賞”で新人賞を受賞することになるのだが、オーディション合格からデビューまで1年2ヶ月も待たなくてはならなかったのは、「もしかしたら白紙に戻っちゃうんじゃないかって、悩みに悩んで。小さな部屋で、友達も身内もだれもいないし、ちょっと精神状態おかしくなりました」。
プライベート盤を出している演歌歌手だけで200人以上いるという、石川県はかなり音楽が盛んな土地。そういうところから、みんなに応援されて送り出されて、「もう戻れない!」みたいな気持ちでがんばってきたから、デビュー後に全国をキャンペーンで回って石川県に行けたときには、ほんとうにうれしかったそう。
1年後の2007年5月には2枚目のシングル『幸せの行方』が発売されて、現在はそのキャンペーンで大忙しの毎日。もう早朝バイトはないけれど、「休みの日があると、この町から出たくなくて。銀行もジャスコも、薬屋さんも病院も歯医者さんもあるし、ちょっと遠くも自転車があるから、東京じゃなくて鶴来町みたい!」と笑う、地元密着マインドは変わらない。そんなふうに自然に毎日を送れて、いま大好きな演歌と、昔大好きだったプリプリみたいなロックと、いつかコンサートでも自然にあわせて歌えるようになれたら、いいですねえ。

大牟田のシャッター商店街にて・・

先週末、福岡でトークがあり、翌日に有志で福岡珍スポットめぐりというバスツアーを企画してもらいました。爆笑スポットから、おどろきのアート空間まで、いろいろ収穫たっぷりの一日でしたが、夕方に訪れたのが大牟田市の、その名も「年金通り」なる飲み屋街。ネーミングがすべてをあらわしてるというか・・・地味すぎて涙が出てくるような飲み屋街でした。

そのあと散策した大牟田市街は、これぞ「ザ・シャッター商店街」とでも呼びたい、あまりに悲惨な状態で、かつて三井三池炭鉱でものすごく栄えた時代があったとは、やたらに多いスナックやバーの数から想像するしかありません。そのスナック街も、ほとんどシャッター降りたままなんですが・・。大牟田というと引き合いに出されるのが、「2007年フォーブス誌で”世界のもっともきれいな都市トップ25位”に選出された」というエピソード。いったい、フォーブスの記者はどこをどう見てたんでしょうか。





「でも、おもしろい動きもあるんですよ」と、地元出身の参加者に案内してもらったのが、かつての高級グランドキャバレー(とうに廃業)空間を転用したクラブ&イベントスペース『クラブふじ』。ゴージャスな内装を完全に復活させるまでにはまだ時間がかかりそうですが、シャンデリアや壁の照明といったディテールから、いにしえの栄光が滲み出ています。

最近では「山口から福岡をパスしてこっちに来てくれるヨーロッパ人のDJとかもいるんです」とオーガナイザーが言うとおり、イベントのラインナップを見てもかなり先鋭的。気になります。


クラブふじ


店内に残された美しい照明

で、その彼から「いま地元でいちばんの注目株」と教えられたのが、大牟田市の現役高校生たちによるバンド「あきたこまち」。youtubeに上げられた、クラブふじでのステージを見ると、たしかにすごい! もしかしたら日本のシャグズになるかも!!!と、ちょっと興奮してしまいました。福岡市民からは「あそこ福岡だっけ、熊本だっけ?」と完全に見下されるばかりの大牟田。しかし、こうした辺境からこそ、ほんとに新しいものって出てくるんですよね! また近いうちに、今度は「あきたこまち」のライブに合わせて行ってみたいものです。


と、大牟田のことを書いていたら、ちょうどのタイミングで流れたのが「父親と長男も死刑確定へ 福岡・大牟田の4人殺害」というニュース。ご存じの方も多いと思いますが、2004年に大牟田市で起きた、血も凍るような殺人事件です。

福岡県大牟田市の母子ら4人殺害事件で強盗殺人罪などに問われ、一、二審で死刑とされた一家4人のうち、父親北村実雄(67)、長男孝(30)両被告の上告審判決で最高裁第1小法廷(白木勇裁判長)は17日、2人の上告を棄却した。3日に上告が棄却された母親の真美(52)、次男井上孝紘(27)両被告と併せ、一家全員の死刑が確定する見通しとなった。
判決理由で「現金奪取や犯行隠蔽の目的に酌量の余地はない。強固な殺意に基づく冷酷、非情、残忍な犯行で、複数の被害者が出た結果も重大だ」と指摘。「刑事責任はいずれも重大で、死刑はやむを得ない」と結論付けた。(10月17日・共同通信ほか)
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大牟田一家4人殺害事件(おおむた4にんさつがいじけん)は、2004年9月に福岡県大牟田市で発生した強盗殺人死体遺棄事件。被害者側も被告側も家族単位(被害者側は友人を1名含む)で4人ずつ、また裁判で被告である家族4名全員に死刑判決が下った特異な事例である。
道仁会系北村組組長だった当時60歳の父親と45歳の母親は、被害者の58歳の女性Aへの借金を含め6800万円以上の借財を抱え、また暴力団上部団体への上納金や生活費に困窮するなどしていたため貸金業を営む被害者Aに嘘の土地売買話を持ちかけ現金を用意させた後に、傷害致死の前科があった元力士の長男(当時23歳、母の前夫との子)を誘い込んで殺害を計画した。
長男は両親を出し抜いて被害者Aの金品を奪うため元力士の次男(当時20歳、母と父の子)を誘い込んで兄弟2人で9月16日に被害者Aの次男(当時15歳)を絞殺し、遺体に重しを付けて川に遺棄し、被害者A宅の金庫を強奪し貴金属(400万円相当)を奪って換金後に兄弟で分配した。
母親は、9月17日に長男に殺害を指示し、元力士の次男も加わって家族4人で殺害を実行することになった。同日、被害者Aに催眠薬入りの食事を取らせ次男が絞殺を行って現金を強奪した。被害者Aの所在を探していた被害者の長男(当時18歳)とその友人(当時17歳)を父親が被害者自宅近くで呼び止め車に乗せて埋め立て地に連れて行き、父親の拳銃で次男が撃ち、更にアイスピックで刺殺させた。4人は同日殺害した3名を車に乗せて諏訪川に沈め証拠隠滅を計った。
9月21日に最初に殺害された次男の遺体が発見され、母親が逮捕(父親は拳銃で自殺未遂)、更に川底から車と他の3遺体が発見された。その後次男、長男の順で逮捕された。
この事件で、被疑者一家は被害者一家に対する死体遺棄、強盗殺人および殺人容疑、銃刀法違反により逮捕された。長男は検察庁舎より逃亡し、単純逃走罪で追起訴された。
(ウィキペディア)

こんなことを書くのも、実はこの事件については『一家全員死刑』という衝撃的なノンフィクションが去年末に発売され、いつかブログで紹介しようと思いながら、まだ手をつけていなかったから。

「俺は殺人を楽しみ、狂い、快感すら憶えた」 (北村孝紘被告手記より) 2004年、福岡県大牟田市で起きた「4人連続殺人事件」、加害者の家族4人全員に死刑判決が下る前代未聞の事件となった。ヤクザ組長の息子に生まれ、20歳で4人の命を奪い、自らを 殺人鬼 と呼ぶ死刑囚が胸中と半生を語った戦慄の「獄中手記」 
(AMAZONの紹介文より)

とありますが、ほんとにそのとおり、日本版シリアル・キラーの恐るべき内面(というか内面のなさ)を赤裸々に描いた、必読の一冊。今回の死刑確定は、全国ニュースではあまり報じられなかったようですが、親子4人の一家が全員死刑になるという、アメリカですらなかなかないエクストリームな猟奇事件。熟読、震撼してください!


上野でデスメタル専門ファンジン展覧会

こないだタイの地獄庭園の写真展『HELL』を開催した上野の「ガレリア・デ・ムエルテ」で、ちょっと楽しげな展覧会が始まります。名づけて『アルティメット・アンダーグラウンド』・・ぽいですね〜〜。


この展覧会は「1980年から90年代中期までに発行された世界中のデスメタル、グラインドコア、ブラックメタルのファンジン」を集めたという、かなりピンポイントのコレクション展。いまではZINE(ジン)ということばもけっこう普及してきましたが、内容がデスにグラインドにブラックとなれば、そのテイストもまたアルティメット。最近のクリーンでおされなグラフィックに辟易してるみなさんには、かっこうな刺激になるかと。



galeria de muerte では11月3日 (木)から12月27日 (火)まで、"Ultimate Underground"と題して1980年から90年代中期までに発行された世界中のデスメタル、グラインドコア、ブラックメタルのファンジンを展示いたします。


ファンジンの魅力はやはり手作り感と作り手の思いが冊子にダイレクトに反映されているとこではないでしょうか。表紙の扉絵や挿し絵なども素人が描いたものがほとんどで独特の描写、稚拙さにはアウトサイダーアートと同じ感性を感じます。

今回の展示ではかつて私が1992年から1995年の間に発行した「Circle of the Grind 'zine」を始め自分のコレクションの一部を展示。そして国内外の多くの友人から協力を得て1980年のドイツのジンからアメリカ、東欧、南米、日本のファンジンなど200冊以上のファンジンの表紙を展示いたします。


この機会にファンジンの魅力にぜひ触れて頂ければ幸いです。
(ギャラリーのお知らせより)


なお、ギャラリーがあるのは上野田原町。まわりは仏壇屋さんばかりで、デスメタル、ブラックメタルにはこれ以上ないという立地なのですが、帰りにはお店ものぞいてみましょう。数珠から仏壇用具まで、かなり渋めのアイテムが見つかります!

Ultimate Underground - An Exhibition of Underground Death Metal Fanzines
会期 : 11月3日 (木)から12月27日 (火)
会場 : galeria de muerte
オープン : 13:00 - 19:00
お休み : 毎週 水曜 / 日曜

110-0015
東京都台東区東上野 3-32-1-3F
galeria de muerte
03-3835-8278
http://www.galeriademuerte.com
galeria_de_muerte@hotmail.co.jp

タイワニーズ・キャバレーの魅惑と郷愁

去年10月にこのブログでも報告しましたが、銀座のニコンサロンで開かれた台湾在住の写真家・沈昭良(Shen Chao-Liang)さんが、台湾の移動式ショー劇団「台湾綜芸団(Taiwanese Cabaret タイワニーズ・キャバレー)」を追いかけた写真展、ご覧になった方いるでしょうか。

その沈昭良さんの写真集『STAGE』がこのほど台湾で完成、まもなく日本でも入手できそうです。ハードカバー、大判の画面に収められた「台湾式デコトラ・ステージ」は、カラフルでポップで、しかも哀愁に満ちていて、なんとも言えません。



沈さんの公式サイトには何枚も画像がアップされているので、興味ある方はぜひご覧いただきたいですが、このほど「youtubeに動画をアップしました!」と教えてもらいました。これが、移動式ステージがやってくるところから、観客を前に大盛り上がり、そして片づけて去っていくところまでをコマ落としで収めた、なかなか見ごたえあるもの。去年の展覧会の際に添えられた解説文を読みながら、台湾のカントリー・フレイヴァーを堪能してみてください!


“台湾綜芸団”(Taiwanese Cabaret タイワニーズ・キャバレー)とは、いわゆる移動するショー劇団のこと。1970年代から台湾における冠婚葬祭の場で活躍しており、初期においては現在でも使用されている組立式特設ステージだったが、改装トラックもあり、照明と音響設備を備えたオープン式の“ステージトラック”が出現した。そして時代の進歩とともに、経営者や観衆の側から照明や音響設備に対する要求が高まり、今日のきらびやかな油圧電動式ステージトラックに発展した。
ショーの演目内容については、初期には歌と踊りのショーが主体で、歌手の衣装も一般の室内劇場で見られるような華麗なドレスに類似したものだったが、近年になるとセパレート式のビキニスタイルが普通となった。ショーの内容も人目を引く新しい演目が次々に生まれ、歌手以外にダンサーを従えた歌謡ショー、女性のパイプダンス、雑技、マジック、民俗芸能、ボディビル男性のショー、更には女装した男性のショーなど、多種多様である。
また、一定時間内に近隣する数箇所を回ってダンスショーを演じたり、葬儀や廟宇の祭りの隊列に加わってショーを演じたりする。
出演者は、公演場所を転々とする臨時の寄り合いグループである。歌手は若い世代が歓迎される傾向にあり、ある程度年齢を重ねた歌手は司会者や経営者に転じたり、結婚後引退あるいは他の業界に転身したりする。
このシリーズの作品は4×5インチフィルムで撮影されている。撮影対象は今の台湾各地で使用されている大型トラックを改装した移動式ステージである。この“ステージトラック”の台数については正確な統計はないが、実際に営業中の台数は台湾全土で600台を超えるものと推測されている。レンタカー方式が採用され、価格は車の大きさや新旧の程度によって異なり、貸し出す側は借り手の要求に基づき、指定された時間に指定場所まで車を運転して行って引き渡す。
本展で展示する作品は、台湾各地の“台湾綜芸団”が、1994年頃から研究と改装を重ねて今日の姿に至った大型トラックを改装した油圧電動式ステージトラックを撮影した英姿である。
独特の業態、濃厚な文化的な息吹き、きらびやかな色彩、童話のような舞台背景、そして自由奔放な発想。この“綜芸団”という台湾特有の産業は、時間と空間を越え、ある時は平面的に、またある時は立体的に、縦横無尽の展開を見せながら、見る者の想像力をかきたて、観衆と一体化していく。
(2010年・銀座ニコンサロンでの展覧会のウェブサイトより)

沈昭良・公式サイト http://www.shenchaoliang.com/

2011年10月12日水曜日

東京右半分 最終回!:永遠に眠れる森の美女

昭和通りに面した、上野の小さな雑居ビル。2階に上がってドアを開けると、そこにはおだやかな灯りに照らされて、数十人の美女が寛いでいた。小学生にしか見えない少女から、アイドル系、微熟女まで。あるものは普段着を身につけ、あるものはほとんどなにも身につけず。こちらを向いて、微笑んで。ひっそり黙ったまま……そう、彼女たちは人間ではなく、もっとも精巧に作られた人形=「ラブドール」なのだ。


台東区上野に本社を置くオリエント工業は、日本でもっとも大手の、もっとも精巧なラブドールの製造販売元である。そしてここは、上野に設けられたオリエント工業のショールームなのだ(上野のほかに大阪にも設けられている)。

オリエント工業は1977年創業。来年で35周年を迎える、業界の老舗メーカーだ。創業者であり、いまも第一線で指揮を執る土屋日出夫さんは1944(昭和19)年、横浜生まれ。もともと会社勤めから、オトナのおもちゃ屋経営に転じたという異色の経歴の持主である・・・。





今回は上野のショールームに加えて、葛飾区内にあるオリエント工業の工場内も特別に見せてもらうことができた。映画『空気人形』でも、この工場がロケ地に使用され、映画の中ではオダギリジョー扮する孤独な人形師が作業していたが、実際には明るく広々とした空間で、若いスタッフを中心に活気あふれる下町のファクトリーである。



そして、2009年9月から丸2年間にわたってお送りしてきた連載『東京右半分』も、96話目になった今週でめでたく完結。スタートするときは、正直言って毎週更新で2年間も続くものかと不安でしたが、走り出してみれば、2年経ったいまでもやりたいネタはまだたくさんあり。でも、ずーっとこうしているわけにもいかないので、これからいままでのお話を単行本にまとめる作業にかかります。そんなに時間の経たないうちにお見せできると思うので、ご期待ください! とりあえず、現在のサイトは来週いっぱいで閉鎖です。単行本をお楽しみに。

夜露死苦現代詩 2.0 TwiGy


1990年代初期、日本語ラップの創生期から、2011年の現在まで活躍しつづけるベテラン中のベテラン・ラッパーであり、ヒップホップ界では絶大なリスペクトを享受しつつ、しかし一般には不思議なほど名を知られないままでいる孤高のラッパー。Twigyはまた、ヒップホップ界きっての滑舌の良さを誇る歌い手/語り手でもある。

 折れそうに細いからだからステージネームがつけられたというTwigyは1971年、三重県津市に生まれた。父親は大学教授、母親が弁護士事務所勤務という、インテレクチュアルで恵まれた家庭環境だった・・。


例によって特設サイトでは、今年25周年を迎え、名をTwiGyからTwiGy al Salaamに改めた彼の、3年ぶりとなるニューアルバム『Blue Thought』から、『Spot』『All』『Train』の3曲が聴けます。爆音で鳴らしながら、お読みください!

おかんアートに首っ丈

メインストリームのファインアートから離れた「極北」で息づくのがアウトサイダー・アートであるとすれば、もうひとつ、もしかしたら正反対の「極南」で優しく育まれているのが「おかんアート」。その名のとおり、「おかあさんがつくるアート」のことです。なにそれ? と思うひともいるでしょうが、たとえば久しぶりに実家に帰ると、いつのまにか増えてる「軍手のうさぎ」とか、スナックのカウンターにある「タバコの空き箱でつくった傘」とか、ああいうやつです。

どこにでもあって、だれからもリスペクトされることなく、作者本人もアートとはまったく思わず、売ったり買ったりもできず、しかしもらえることはよくあり、しかももらってもあまりうれしくない——そういうのが「おかんアート」の真髄であります。

もともと「おかんアート」が世に出たのは、2003年に2チャンネルなにに立てられた「脱力のオカンアートの世界」と題されたスレッドだと思います。このスレッドへの投稿は、まだ過去ログがまとめて見られるようになっていて、実に珠玉としか言いようのない作品がたっぷりアップされているのです(http://www.geocities.jp/loveokan/okanart/)。

プロのアート作品にも、アウトサイダー・アートにすら存在しない、一種独特の破壊力については、来週アップするウェブ連載「Art It Web ニッポン国デザイン村」で詳しく論じる予定ですが、今回ご紹介したいのは神戸の下町である兵庫区、長田区の魅力を再発見しようというグループ「下町レトロに首っ丈の会」が去年発行した『おかんアート』なる作品集&ガイドブック。


神戸と言っても兵庫区、長田区のあたりは、いわゆるオシャレ・タウンとしての神戸イメージとはそうとう異なる、渋みたっぷりの街並みがいまだに色濃く残っていて、下町人情にあふれています。そういう場所でスクスクと育った「おかんアート」に魅せられた隊員たちが、作品を探し、その作者を捜し、作り方を教わり、見られる場所の地図を作り・・詳細なフィールドワークの末に完成させたのが、この一冊。「神戸おかんアート・ディクショナリー」と呼ぶべき労作です。

前述したように、詳しくは来週の連載ページでお話ししますが、作家紹介あり、作り方講座あり、ガイドページありと、これを持って神戸を歩くことを考えただけで、顔がほころんでくる一冊。アマゾンで入手できるわけではないので、ちょっと手がかかりますが、メールか電話一本ですむので、ぜひコンタクトしてみてください。





そして! 今週末の14日(金)から16日(日)までの3日間、神戸元町の海文堂書店にて、『神戸下町おかんアート展』が開催されます。首っ丈の会がセレクトした傑作おかんアートを展示するほか、重要作家たちによる「手作り教室」も各種開かれるようなので、週末関西にいるひとは、覗いてみるべし。だって「村井さん御夫婦による、牛乳パックと古切手を使った小箱教室」とか、「水上さんによる小さな折り紙の傘づくり教室」とか、「香坂さんによる、おしぼりタオルで犬を作っちゃおう教室」とか、書き写してるだけで微笑せざるを得ないラインナップ。みなさんも師匠に教えてもらった破壊力たっぷりの「おかんアート」を、いやがる友達に無理やりぷれぜんとしちゃいましょう!



『おかんアート』入手先:

【店舗販売】
海文堂書店(神戸元町商店街にある老舗書店)
〒650-0022
兵庫県神戸市中央区元町通3丁目5番10号
電話:078-331-6501
FAX:078-331-1664
http://www.kaibundo.co.jp/index.html

クレープと駄菓子の店「淡路屋」(下町レトロに首っ丈の会総本部)
〒652-0864
兵庫県神戸市兵庫区笠松通7-3-6「淡路屋」
電話&FAX:(078)671−1939
http://awajiya.ko-co.jp/c6198.html

【通信販売】(メールかお電話でお申し込みください!郵送させていただきます)
下町レトロに首っ丈の会
citamatiretro@yahoo.co.jp
http://citamatiretro.com
電話&FAX:(078)671−1939

VOBO 妄想芸術劇場:伊藤魔耶

悪魔がいる、貴婦人がいる、両性具有がいる・・伊藤魔耶の描く世界は、ほとんど文学的と言えるほどに、ストーリー性に満ちている。画面の中で生け贄になるのはむろん女性(あるいは巨大な男根を持った両性具有)だが、それは彼女たちが一方的に肉欲の犠牲となり、男たち(あるいは悪魔たち)に蹂躙されているわけではない。むしろ、彼ら、彼女らはそれぞれの役割を守りながら、無言の、エロスに満ちた演劇の舞台を演じているように見える。1960年代末の日本映画界に、毒々しい花を咲かせた石井輝男の、一連の異常性愛路線映画のように。

ブルセラ・バトルロワイヤル1
『お昼休み』
最初、女子校に他校の男子生徒がのぞき(不法侵入)にきた。
という設定にしようと思ったのですが、単に男女共学の教室の
“昼休み”の方が無理がないと思います。ただ、どのみち
ツッコミが足りないナ…と、反省しております。



茂木健一郎さんとラジオ対談:10月16日夜7時半から

毎週日曜夜7時半からニッポン放送で放送している『サンデー ズバリ!ラジオ』という番組に招かれ、茂木健一郎さんと対談します。

「秘宝館」から「スナック」まで、日常の狭間に「アート」を見つける達人・都築さん相手にモギケンの「芸術脳」が爆発!
  (番組サイトより http://www.1242.com/zubari/

かどうかはわかりませんが(笑)、1時間というたっぷりの時間なので、いろんな話題に脱線するはず。おしゃれFMばっかりじゃなくて、たまにはAMも聴いてみてください!

野田凪展 @ 銀座クリエイションギャラリーG8

日本広告界屈指のアートディレクターとして、彼女ひとりだけの道を疾走しながら、2008年にたった34歳でこの世を去ってしまった野田凪さん。彼女の仕事をまとめた初めての回顧展が、来週から始まります。


僕が彼女を紹介されたのは、アスペクト社から2000年に刊行された『Street Design File』というシリーズの中で、オトナのおもちゃを集めた『Portable ECSTACY オトナのおもちゃ箱』をつくったときでした。

「下品」の象徴のように見られていたオトナのおもちゃを、それまでだれも見たことのなかったようなクールなデザイン・ブックに仕立てたくて、凪ちゃん(と呼ばせてもらいます、親しかったので)にお願いしたら、すごくおもしろがって引き受けてくれたのが、つきあいの始まりでした。考えてみればそのとき、彼女はまだ20代だったんですねえ。


そのあと彼女には『Sperm Palace  精子宮』という、鳥羽秘宝館の写真集もデザインしてもらい、さらに彼女がずーっと集めていたリバティーンのコレクションといっしょに『Happy Victims 着倒れ方丈記』にも出てもらいました。


あれほど突き抜けた広告表現は、このあと(少なくともしばらくは)マスメディアに登場すると思えません。それを時代のせいとか、彼女の奔放な人間性のせいにするひともいるのでしょうが、それはぜんぜんちがうと思います。世間が彼女を見る目とは正反対に、素顔の彼女はものすごく真面目に表現を突き詰めていって、ときには突き詰めすぎてみずからを傷つけてしまう、いわば精神の自傷癖にとらわれた、繊細すぎるほど繊細なアーティストでした。

「どんな表現か」ではなく、「どのタレントが出るか」ばかりが重要視される、いまの広告界の風潮の中で、たった10年足らずの短い時間に彼女が駆け抜けた世界を、ひとりでも多くのひとたちに見てもらえたらと願います。


2011年10月18日(火)〜 11月18日(金)
11:00a.m.-7:00p.m. 日曜・祝日休館

http://rcc.recruit.co.jp/g8/exhibition/g8_exh_201110/g8_exh_201110.html


2011年10月5日水曜日

DOMMUNE スナック芸術丸:10日月曜日19時スタート!


8月19日の「FREE DOMMUNE」が残念ながら台風で中止になって以来、久しぶりの「スナック芸術丸」がDOMMUNEに登場。しかも今回はスペシャル・ゲストとして、いまもっともアヴァンギャルドなストリート芸人である「コラアゲンはいごうまん」さんをお迎えしての、特別な2時間です!

放映日時 10月10日(月曜)体育の日 19:00〜21:00

以前、湯島のミュージックバー「道」でライブをお願いしたこともあり、最近はテレビ出演も増えてきたので、ご存じの方もいらっしゃるでしょう。ワハハ本舗所属のピン芸人であるコラアゲンはいごうまんは、

「やくざに弟子入り」「どこでも野グソ体験」などテレビじゃ出来ない執念の体験ネタを元に、笑いと感動をお届けする「ノンフィクション漫談芸人」である。
現在は、呼ばれたらどこでも出張、全国ツアー『僕の細道』を一人で行なっている。
場所は、民家・飲み屋・公民館・ライブハウス等…、21世紀とは思えない、驚愕のまたたび芸人。
(公式ブログ「僕の細道」より http://blog.livedoor.jp/bokuhoso/

と、これだけでおもしろそうですが、とにかく体験型であるだけに、ひとつのネタが時に30分を超える長さ! 30秒で(というか3秒で)笑いを取らないとならない、現在のテレビのお笑い番組にはまったく不適格、不適合な、ライブに特化した、つまり正統なストリート・パフォーマーです。ほんとはテレビのお笑い番組も、こういう芸人をしっかりフィーチャーしないといけないと思うんですけどね。

まだコラアゲン未体験の方は、YouTubeにも何本かアップされているので、とりあえずそのカラダを張った笑いのツボを味わってください。ま、このネタにしても、30分58秒ですけど・・。


なので、できればDOMMIUNEのスタジオで、至近距離でお酒飲みながら、2時間たっぷりコラアゲン・ワールドに浸ってください。予約は金曜からだそうです。定員が限られているので、DOMMUNEのサイトから急いでご予約を! いっしょに笑い転げましょう!!!


神戸稲荷市場商店街でトーク:10月8日(土曜)


神戸有数の渋味スポット・新開地商店街を、さらに南に行った激渋商店街・稲荷市場。ものすごく昔ながらの店が、だんだんにシャッター商店街になっていく、寂しさの漂う一角でもありますが、このエリアの活性化を願ってオープンした「I'ma」。これで「イマ」と読ませる、カフェ兼バー兼ライブハウス、なんでも兼ねてる手作りオルタナティブ・スペースです。

この稲荷市場商店街内「I'ma」にて、8日土曜日の7時半からトークをやらせてもらいます。アートにデザインにエロにグロ、ぐちゃぐちゃの内容をぐちゃぐちゃにおしゃべりしますので、関西にいらっしゃるかたはぜひお出でください! 当日は、手持ちの特選「極ジャー&お水スーツ」味に・ファッション・ショーも開催予定! 定員30名だそうなので、急いでお申し込みを!

なお、同じスペースで翌日の日曜日午後2時から行われる、影山明仁さん(「名作漫画の間取り」研究家)のトークにも、聞き手として参加しますので、こちらもよかったら。漫画、ぜんぜん詳しくないんですけど、大丈夫なのか・・。


10月8日(土曜) open 18:00 / start 19:30 @I'ma
神戸市兵庫区東出町3-21-2 稲荷市場南栄会内 I'ma(イマ)
090-8376-5152 ima-info@wonderful-o.com