いちじは「東洋最大の商店街」とも呼ばれた全長800メートル、東京都内最長の商店街で有名な武蔵小山。駅前の一角には、昭和の面影を色濃く残すスナック街があって、いまも100軒以上の店が営業中という。町の規模に較べて、ものすごく飲み屋の数が多いのは、もともと町工場が多かったからとも言われるが、対人口比率からしたら日本有数の飲み屋街だ。
2009年11月25日水曜日
小さな造本家の展覧会
ずいぶん昔に京都で知りあった、間奈美子さんというひとがいます。このひとは未生響という名前で詩人として活動しながら、<アトリエ空中線>という自費出版・造本工房を主宰しています。
彼女が装丁した自費出版の詩集を通して、僕はその活動を知ったのですが、とにかく古風で端正で、エレガントで、当時のあらっぽいインディーズ・シーンとは完全に一線を画す、そのスタイルというか美意識にびっくりしました。編集・造本・組版・印刷製本設計・配本まで、すべて作家たちと一対一で取り組み、みずから手がけてきた、そのこだわりにはなみなみならぬものがあります。
造本の技術を覚えるために、町の小さな製本屋で働いた経験もある間さん。現在は活動のベースを京都から東京に移しているようですが、今年で10年になったアトリエ空中線の活動を眺めなおす、珍しい展覧会がいま開催中です。約120点に及ぶ全制作書籍から、印刷に使用した箔押しや凸版の原盤も展示されているそうなので、リトルプレスに興味ある人は、急いで行ってください。12月6日までしかやってません!
ポスター・ハリス・ギャラリー
http://posterharis.com/gallery.top.html
アトリエ空中線(空中線書局)
東京右半分:ハリウッド北千住店
ロンドン、ハワイ、ハリウッド・・・外国の名前がネオンに踊ったグランド・キャバレー全盛時代はいまいずこ。昭和の風俗として、いまや絶滅直前の状態にあるキャバレー文化の最後の華が、いま東京右半分にひっそり咲いている。かつて「キャバレー太郎」と呼ばれ、納税額日本一を誇った福富太郎さんのキャバレー・ハリウッド・チェーンのうち、北千住と赤羽の2店舗がそれだ(かつて数十店舗を誇ったハリウッド・グループも、いまやキャバレーはほかに池袋の計3店舗が残るだけ)。
今週のマスト・バイ:ウシャコダ ライブ! 松戸一揆
R&Bやブルースの名曲を、なるべく日本語に訳して歌うことにこだわってきた彼らの、しぶといエネルギー。25年たってもやってる、そのしつこいグルーヴ。こういう、あきらめのわるいオヤジになりたいですねえ。このCDには、ライブなのでオープニングのMCが入ってますが、それがなんと、1978年にイーストウェストで司会を務めた石尾和子さんで、当時をそっくりそのまま再現した紹介MCをやってもらってるという凝りよう。自主制作盤なので、公式ウェブサイトから購入するのが、いちばん簡単かも。牧伸二とのコラボ盤も渋いです。
2009年11月19日木曜日
今週のスナック:渋谷アゲイン(ただいま休止中、まもなく再アップします!)
渋谷駅南口から徒歩1分。喫茶ルノアールの地下に、実は20年以上営業を続けながら、知る人ぞ知る存在でありつづけている<スナック・アゲイン>。ここはなんと、ほとんど洋楽のカラオケに特化、ストックしてある曲が1万8000曲! おそらく日本最強のコレクションを誇る、おそるべき洋楽カラオケ道場なのだ。
ジャズ、カントリー、ハワイアン、ポップス、ロック・・・。シナトラだけで400曲はあるという選曲リストを、片っ端から歌いこむマニアもいれば、プレスリーのそっくりさんもいる。お忍びで外国の有名歌手も、カラオケを絶唱しに訪れる。しかも初めてのお客さんも、すごく暖かく迎えてくれるフレンドリーな雰囲気。すばらしい隠れ名店です。
http://www.kosaidoakatsuki.jp/shuppan/yondoko/
演歌よ今夜も有難う:黒岩安紀子さん後編アップしました!
筋金入りのインディーズ演歌歌手でもあり、団鬼六夫人でもある黒岩さんの、あまりに波瀾万丈な半生。前半では1万字近くを費やして、まだ30歳の段階でしたが、今回の後編で、64歳の現在に至る道程を語り尽くします。
妻子ある人との別れを乗り越え、新たな環境で母ひとり、子ひとりで生きていこうと誓ったにもかかわらず、団鬼六という稀代の人物と出会ってしまい、どうしようもなく惹かれていき、反撥し、また惹かれてついに結婚、41歳で思いがけず妊娠・出産、そして歌手デビューと、前半に劣らずローラーコースターな人生。正座して読んでください!
http://webheibon.jp/enka/2009/11/post-11.html
東京右半分:浅草・銀幕ロック
ROX裏のフットサル場脇、細い道に面したビルの2階だが、夜ともなれば手作り東京タワーのオブジェが、見逃しようのない灯りを放つ。店は古びた建物の2階、しかも無造作にぶら下げられた黒板に記された「ぜんぜん怖くない店」という手書き文字が、よけいに冒険気分をそそる。だいたい1階は伝説の名ストリッパー、浅草駒太夫の店<喫茶ベル>だし。
もとはカラオケ・スナックだったという店内は、日活全盛時代の映画ポスターや赤提灯とベネチアングラスふうのシャンデリアがまじりあう、不思議な昭和テイスト。「活動場所を探してたんですが、気持ちはニューヨークか浅草、でしたね」と笑う和尚氏によれば、インテリアのイメージは「ソーホーふうのロウ・カルチャーでした」。着物とも洋服ともつかない、不思議なテイストの衣装を粋に着こなす、店長ノロさんの存在感が、さらに無国籍なエキゾチック感覚を増幅する。
http://www.chikumashobo.co.jp/blog/new_chikuma_tuzuki/
上海スタイル:第4回アップしました!
フランス租界の中心部、大通りから一本入っただけで、びっくりするほど静かなエリアに建つ、小さな、古めかしいアパートは3階建て。革命以前から住んでいる弁護士一家が、エリート層なのに革命のときにも追い出されないまま、現在も大家さんとして1階に住んでいて、2階には山東省から来た一家、そしてもともと弁護士一家の親戚が住んでいたという3階部分を、いまは彼女が借りている。「1階のおじいさんが、いつも訪問者をチェックしてくれるし、ひとり暮らしなのに大家族みたいな安心感があって。それに旅行のときに、猫の世話だって頼めるんです」。これで家賃が月3300元(約4万3500円)。うらやましすぎますねぇ。
2009年11月11日水曜日
しかしこの映画についてはいろんなひとが熱いコメントを書いていますが(僕がいま一緒に仕事しているデザイナーの坂哲二さんもブログで叫んでました:http://bangd.blog47.fc2.com/)、死のたった数日前に、これだけの完璧な音楽を作り出せるということ。20年以上前に書かれた曲が、いまの感覚でもまったくフレッシュで(マドンナとかと較べてみてください!)、それを聴きながら育ってきた超一流ミュージシャンたちをひれ伏させ、未知のレベルのステージをすべてのひとびとに体験させるべく、文字どおりいのちを削ってきたこと。なんだか、観ているうちに、これは民の欲望にみずからのいのちを捧げた神の子=キリストのような存在なのかも、と思ってしまいました。
肌を白くしたとか、整形を失敗したとか、子供と寝たとか、財産を浪費したとか、言われたいほうだい言われて、怪物扱いされて、それをすべてわかっていながら、しかも50回などという無謀すぎるコンサート・スケジュールが自分のいのちを縮めるともわかっていながら、みんなの聴きたい音楽を、最高の純度で提供しようとした、その最後の日々。胸が詰まります。
1955年にテレビに映ったエルヴィスの腰が、一瞬で世界を変えてしまったように、マイケルが『ビリー・ジーン』で見せた、5秒にも満たないムーンウォークが、世界中の子供たちにどれほど勇気を与えたでしょうか。飢饉のアフリカで、犯罪に怯えるロシアのアパートの一室で、インドのスラムで、マニラのバラックで、ざらざらのビデオ画面を食い入るように見つめていた何千万、何億もの瞳のことを思うと、気が遠くなります。
ちなみに舞台演出(と映画の監督)のケニー・オルテガは、1995年にドリカムの舞台監督をやったそう・・・ま、いいですけど。
http://109cinemas.net/imax/movies_info8.html
ビデオ・スターの死
水道道路に面した笹塚のビルの2階で、もう27年間も店を開いてきた<ビデオ・ピープル>。幡ヶ谷から笹塚あたりの映画ファンにはおなじみの、かなりエッジの利いたコレクションを誇る貸しビデオ屋でしたが、時代の波に抗しきれず、今月でついに閉店となります。
店主の江川真治さんは、80年代から90年代にかけて「ラッパーズ」、「ビッグE」というハードコア系のバンドを率いて、インディーズ・シーンではかなり知られる存在でもありました。雑誌やウェブでも映画評をたくさん執筆しながら、こつこつとビデオとDVDのコレクションを育て上げ、維持費を捻出するために昼間は植木職人として働き、奥さんもパートをふたつ掛け持ちしながらがんばってきました。
大好きな(ミチロウの)スターリンの名作ビデオにあやかって「絶賛閉店中」と殴り書きされたエントランスを上がっていくと、店内はまさしく足の踏み場もないビデオ山岳地帯。ピープルでは11月いっぱい、「全部売り尽くし大セール中」なのです。店の規模にたいして、あまりにも膨大なコレクションは、とうていディスプレーしきれないので、「こんなのないですか?」と江川さんや奥様に聞いてみるのがいちばん。僕も先日、大量買いしてしまいましたが、映画好きの諸君は一刻も早く、笹塚に走るべし! 予想もしなかった一本が、見つかるはずです。
ビデオ・ピープルの情報は江川さんのブログでチェック:
http://d.hatena.ne.jp/pegawa/20091129
空耳動画! 「バーレーンの実況が日本語にしか聞こえない件」
http://www.youtube.com/watch?v=-0jCWkM15ag&feature=player_embedded
今週のスナック:西新宿プレジデントハウス
新宿駅西口から新都心の高層ビル群を越えた先。十二社(じゅうにそう)と呼ばれるエリアがある。かつて新都心は巨大な淀橋浄水場だったわけだが(ヨドバシカメラはこの地で創業)、その先の十二社あたりは長らく、戦後の雰囲気を残す庶民的な住宅街だった。真っ黒なお湯が珍しい天然温泉だった十二社温泉があったり、青梅街道を挟んだ北側などは特にごみごみした下町っぽい風情が残っていたのだが、いまは都市再整備計画の波に呑まれ、風情もなにもないビルと空き地ばかりの、寒々しさが身に沁みる一帯である。
十二社の通りと青梅街道の角で、もう35年も営業を続ける老舗スナックが<プレジデントハウス>。タクシーで前を通るたびに、「ラウンジ エンカ ナツメロ ラテン バラード」などと色取りの文字が光るネオンサインが気になっていたのだが、思いきって入店してみると、そこはタイムトンネルをくぐり抜けた先の絢爛たる昭和空間だった。ウッドパネルを張り巡らした壁、シャンデリアふうの照明、金属板を貼り込んだテーブルトップ、いまは懐かしVHD(わかります? かつてレーザーディスクと覇権を争ったシステム)がずらりと揃ったラック、そしてなによりジュークボックスを中央に据えたステージと、両側に鎮座するライブハウスのような巨大スピーカー。このサウンドシステムは、もはやスナックとかいう範疇じゃないでしょう!
西新宿というより、イギリスの田舎の老舗ホテルのロビーに迷い込んだような部屋に落ちつくと、ママさんが休みなしに「これ食べなさい、あれ食べなさい」と、家庭料理の皿を次から次へと出してくれる。
奥を覗けば、これまた懐かしき公衆電話ボックスあり、さらに「ロイヤルルーム」と名づけられた、VIPルームまで完備! これって、スナックと呼んでいいんでしょうか。
こんなすごい店を、35年も見逃してたなんて。まだまだ東京は奥深いです・・・(溜息)。
http://www.kosaidoakatsuki.jp/shuppan/yondoko/
ちなみにこのお店、さきごろ惜しまれつつ終了してしまった、玉袋筋太郎さんがスカパー!でやっていた『ナイトスナッカーズ』でも紹介されてました。(http://entame.express.jp/snack/special/index.html) こちらでそのサワリをどうぞ。
東京右半分:トライバルビレッジ浅草
このところ、終電以降の浅草をめぐっている筑摩のウェブマガジン連載『東京右半分』。今回は演劇集団・鉄割アルバトロスケットのメンバーがオーナーと店長を務める、<トライバルビレッジ浅草>を紹介しています。
浅草ビューホテル脇という、中心地でありながら、観光客が足をあまりのばさないエリアで、開店1周年を迎えたばかりのトライバルビレッジ。基本的にはバーなのですが、しばしばライブがあったり、展覧会があったり、「近くのタバコ屋のオッサンを呼んで、がんがん飲ませて、好きな女のタイプとか、いままでやった女でいちばんきれいだったのはとか、どうでもいいような話をするイベント」である『ご近所ナイト』なんてのもやってみたり、彼らの舞台そのままの、フリーフォームな営業姿勢がひじょうになごめる、いい店です。浅草って、ジジイでしょ、観光客しかいないでしょ、とかいまだに思ってるひと、遊びに行って、認識を新たにしてください。
ちなみにいまトライバルビレッジでは、1月30日までは、『日本入図美博物館展』と題して、初代彫長の貴重な下絵を展示中。40年以上のキャリアを持つ彫師である初代彫長こと中野長四郎さんが、大切に保管してきた原画の数々をはじめ、墨入れの道具や、東京大学医学部標本室に保存されている、かつて彫長さんが墨を入れた故人の標本写真など、いまやここでしか見られないコレクションが、さらりと展示されてます。展覧会終了後は、おそらく見るチャンスがなくなってしまうので、会期中にぜひどうぞ!
そして、この連載、いままでは月2回でしたが、今週から毎週金曜日の更新になります(第5金曜はお休み)! こんなにウェブ連載増えて、大丈夫なのか・・・。
http://www.chikumashobo.co.jp/blog/new_chikuma_tuzuki/
『不思議の国の演歌』:邦楽ジャーナル
書いたのは演歌にまつわる、1ページの短い文章なので、書店で見つけたら覗いてみてくれればいいのですが、しかしこの雑誌、音楽好きでさえふだんは縁のない、なかなかレアな内容でおもしろいです。なんたって付録からして、『邦楽ジャーナル特選アレンジスコア:マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン(タイタニック愛のテーマ) 尺八・箏・十七弦絃三重奏』とかなんですから。
http://www.hogaku.com/
2009年11月4日水曜日
今週のスナック:笹塚A・T
都心なのに、どこか昔懐かしい風情が漂う笹塚商店街を抜け、水道道路に面した住宅街に店を構える<スナックA・T>。急な傾斜地に建つ2階建ての住宅の、1階が民家、通りに面した2階が店舗という変則的な立地条件。しかも壁面いっぱいに描かれたポップなペインティングだけ見ていると、なんだか若者向けのバーか古着屋みたいな感じがするけれど、いざ入店してみると、内部はしっとりしたオトナのスナック。レンガ・プリントの壁紙に、クラシックな壁面装飾、おまけに鳩時計まであって(うるさいので鳴かないようにしてるそうですが)、外観とのギャップに驚いてしまう。
うちみたいな普通の店、取材してもらっても・・・顔出すのヤだし・・・と遠慮のかたまりのような、やさしい美人ママさんがひとりで切り盛りするA・Tは、スナックの少ないこのエリアの住人にとって、オアシスみたいな店。さらにお値段のほうも、男と女、ふたりで行って、ボトル入れても7000円ほど。で、ボトルさえ入ってれば、ふたりで3000円(!)、しかもカラオケ無料と、超リーズナブル。こんな値段でやっていけるのかと心配になる、大事にキープしておきたいお店でありました。
http://www.kosaidoakatsuki.jp/shuppan/yondoko/002/post-48.php
演歌よ今夜も有難う:第12回アップしました!
終戦の年、昭和20年に生まれた黒岩さんは、自分の生を戦争と切り離して考えることができずに、いままで生きてきた。生まれたのがあと一年、半年早かったら、いったいどうなっていたのだろう。いまの平和な日本を自分たちは享受してなんの疑問も持たないが、その陰で流された血を、犠牲になった命を、どれだけ顧みたことがあるだろうか。
いたたまれぬ思いから、彼女はみずから歌を作り、特攻隊基地のあった知覧を訪れたり、東京大空襲で犠牲になった人々の遺族を訪ね歩き、靖国神社で歌を奉納するなど、さまざまな活動をたったひとりで続けている。いっぽうで、竹久夢二の耽美世界を描く『夢二憂愁』(2008年)や、「男と女の人生は 狐と狸の化かし合い・・」(『知らぬは亭主ばかりなり』1999年)のようなコミカルな曲も歌いながら。
その歌の世界も、自身の生きてきた道も、さまざまに陰影に富む、そんな人生を、彼女は歩んできた。旦那様に負けず劣らず濃厚きわまるその人生は、あまりにエピソード満載なため、上下2回に分けての掲載となります。
http://webheibon.jp/enka/2009/10/12.html
今週のマスト・バイ:八代亜紀のCD2枚
もちろん過去のヒットを集めたベスト盤や、1970年代から80年代の活動を網羅したボックスなども出ているのですが、ここでご紹介したいのは、まずこちら。『VOICE』は2005年に、歌手生活35周年を記念して作られた、6曲入りのミニ・アルバム。荒木一郎の『空に星があるように』や、下田逸郎の『魅惑』など、渋い選曲が光りますが、ベストトラックは『この素晴らしき世界』。これ、実はルイ・アームストロングの『ホワット・ア・ワンダフル・ワールド』を、日本語で歌ったヴァージョンなんですね。
演歌歌手が洋楽のスタンダードに挑戦するのはよくあるけれど、けっこう痛い結果に終わってることが多いでしょ。しかし八代さんのは、古くは美空ひばり、ちあきなおみの一連のジャズ・ナンバーや、青江美奈がニューヨークで録音した『シャドウ・オブ・ラブ』にも通じる、完全に八代節と化したジャジーな歌唱で、サッチモにもぜんぜん負けてません。もともと歌謡曲歌手ではなく、15の歳に年齢をごまかして熊本のクラブで歌いはじめたという経歴だけに、貫禄はすごいものがあります。
で、八代さんは気持ちよさそうに『ホワット・ア・リトル・ムーンライト・キャン・ドウ』や、『ユード・ビ・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ』、『クライ・ミー・ア・リヴァー』など定番の名曲を、日本語と英語をまじえて(!)気持ちよさそうに歌ってるのですが、そういうスタンダードと交互に歌われるのが、『雨の慕情』、『なみだ恋』、『ほんね』、そして必殺の『舟唄』まで、自身の大ヒット・ナンバー。北村英治のクラリネットから静かにスタートする、ジャジーな『舟唄』なんて、もう鳥肌が立ちます! 日本語と英語を交える『荒城の月』なんて渋い選曲も入ってるので、これはもう即買いしかないでしょう。
実はこのCD,もともとマニアが探し求めるレア盤だったのですが、このほどコロンビアからCD−R盤で再発。CD−R盤とはつまりオンデマンドのことで、注文があるとレコード会社がCD−Rに焼くという、インディーズみたいなシステム(情けない!)。それに、いかにもインクジェットみたいなしょぼい盤面印刷、さらにしょぼい、オリジナルからスキャンされたライナーノーツがついて、なんか哀しくなりますが、でも高値でLP買うよりいいでしょう。深夜、こういうのを聴いてると、ひとりで水割り飲みたくなりますよー!