2011年12月14日水曜日

『東京スナック飲みある記』19日発売!


このブログで今年の初めから連載してきた東京23区の、23のスナック街を飲みあるく旅が、ようやく単行本になりました。題して『東京スナック飲みある記 〜ママさん、ボトル入ります!』。早い書店では、今週末ぐらいから店頭に並ぶと思います。年を越さなくてよかった・・・。

もう50年以上、東京で生活しているのに、行ったことのない町がたくさんある。入ったことのない本屋もレコード屋も、食べたことのない定食屋もたくさんある。それから、飲んだことのないスナックも! 東京はひとつの都市じゃない。イクラのつぶつぶみたいに小さな町がくっつきあった、ぐちゃぐちゃの巨大な集合体だ。


夜、知らない町に降りたって、看板の灯りに惹かれてスナック街を歩くのは、夜間飛行にちょっと似ている。眠れないままに窓の外を眺めると、真っ暗な大地にぽつんぽつんと明かりが見える。ああここにもだれかが住んでるんだな、いまなにしてるんだろう。そうして退屈なフライトが、少し楽しくなってくる。


閉ざされたドアから漏れ聞こえるカラオケの音、暗がりにしゃがんで携帯電話してるホステス、おこぼれを漁るネコ・・。東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう場所。


東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。毎週チドリ足でお送りします。よろしくお付き合いを!

毎週ひとつの区を選んで、ひとつのスナック街を飲みあるき、街の歴史もひもときながら、安心明朗会計のお店も紹介してしまおうという、ハードで欲ばりなガチンコ企画。2010年に出版した『天国は水割りの味がする~東京スナック魅酒乱』は、都内50軒のママやマスターにじっくりお話を聞いたインタビュー集でしたが、こちらのほうは「スナック街」が主役。飲みあるいてみて、商店街の重鎮や古老たちにもお話うかがってみると、街ってほんとに生きものだなと実感します。デベロッパーとか、ちょこざいなプランナーたちがつくれちゃうもんじゃないですよね。




昔ながらの駅前商店街が、どんどんアトレだのルミネだのスタバだの成城石井だのになって、どこがどこだか区別がつかなくなってきている東京の今日このごろ。「そのうち・・」なんて思ってるうちに、古き良き飲み屋街はどんどん姿を消していってます。前の『スナック魅酒乱』は868ページ、厚さ5.8センチもありましたが、今回は312ページ、厚さも1センチちょっとと控えめ(笑)なので、持ち歩きにも対応。居酒屋ガイドとか老舗バー・ガイドとかはいくらでもありますが、東京のスナック・ガイドはこれしかない!ので、ぜひ本書を手がかりにスナック街探検にお出かけください。なんたって、掲載させてもらった67軒のうち、食べログだのぐるなびだのに入ってるお店なんて、1軒もありませんからね〜〜(うれしい)!


しかし、作ってみてから気がついたけれど、こうして近著3冊並べてみると、表紙がぜんぶ70代オーバーのおばあさん・・・どうしちゃったのか、自分でもわからない。