その彼女が、分身とも言える『ageha』を去ることになったのは、ひとつにはいつまでも同じことを繰りかえしていたくないということ。そしてもうひとつ(こっちが主な理由だと思いますが)、「版元はもうこりごり」だというのです。
『ageha』の発行元であるインフォレストは、中條さんが入社して間もなく「金融屋に買収され・・ゴミのような扱い」を受けながら、「いつのまにか親会社が変わったり・・現れてもすぐに消える身元がよくわからないおじさんたち」が、好き勝手なこと言っては、編集者たちが死にものぐるいでつくったものの、利益だけをかすめとっていく、そういう態勢にほとほと嫌気がさしたと書いています。
中條さん曰く、これはインフォレストにかぎったことではなく、中小の出版社はどこも似たり寄ったりで、その原因は「いまの出版界が非常に混乱しているからで、雑誌はおまけで、”おまけ”が本命という雑誌破壊のA級戦犯が潤う反面、ほんとうにおもしろいページだけを求めている読者が宙に浮き、私たち編集者という小作人は『いいページを作りたい』という編集のアイデンティティさえ奪われた」と。そのとおり!!!
最近の、特に女性誌の「おまけ戦略」には、常軌を逸したものがあります。一冊ずつがビニールヒモでくくられた雑誌の山は、書店と言うより八百屋の特売コーナーのようでもあり、ほんとうに醜い光景です。「おまけ」の包み紙と化した本誌のページを作らなくてはいけない編集者の悲哀も、察するにあまりあります。経営陣だって、これが長く続くとはだれも思っていないはず。大手はどこも、すでに勝ち逃げ、売り逃げのシミュレーションを練っているにちがいありません。
書店の店頭はこのとおり、これって雑誌なんでしょうか。
A級戦犯の社屋には「No.1」の旗が誇らしげに!