いま、いちばんチケットが取れない人気劇団のひとつである「鉄割アルバトロスケット」の主宰者・戌井昭人(いぬい・あきと)さんのデビュー小説集が、『まずいスープ』です。
破天荒な人生ほど、読んでいておもしろいものはないわけですが、それが昔の、遠い外国とかじゃなくて、現代の、日本の、それも知り合いのお父さんだったりすると、味わいもまた格別。この表題作である『まずいスープ』は、戌井さんのお父さんの、はなはだしく破天荒にしてエネルギッシュな半生を、本人の弁によれば「すごく抑えて」書いたドキュメンタリー・ノベルです。
「サウナに行く」と言ったきり、行方不明になってしまったお父さんを中心に、ゆるくもあたたかい家族とコミュニティが紡ぎ出すストーリーは、「こんなお父さんがいたら大変だなあ」「こんなふうに生きてみたいなあ」と、さまざまな思いを読み手に想起させながら、うねるようなグルーヴで展開していきます。
今年の春に月刊『新潮』で発表されたこの作品は、実は芥川賞の選考にも残ったのですが、残念ながら最後に落選。はっきり言って、選考委員、ぜんぜんダメですね。本書は表題作の他に2つの短編を収めて、しかも挿画が束芋! これまた渋い画風が、渋い物語とパーフェクトにリンクしてます。「最近はドキュメンタリーばっかりで、小説なんか読んでないよ」という読書家のみなさん(僕もそのケがあるのですが)、だまされたと思ってご一読を!
ちなみに『まずいスープ』のモデルとなった戌井父、以前に「東京スナック魅酒乱」で紹介した、西麻布の<スナック美ゆき>の常連であるらしく、運がよければお目にかかれるかもしれませんよ! 僕もいちどだけお会いしたことがあるのですが、すごくエネルギッシュ、でもチャーミングな漢(オトコ)でした。
http://www.kosaidoakatsuki.jp/shuppan/yondoko/002/post-33.php
破天荒な人生ほど、読んでいておもしろいものはないわけですが、それが昔の、遠い外国とかじゃなくて、現代の、日本の、それも知り合いのお父さんだったりすると、味わいもまた格別。この表題作である『まずいスープ』は、戌井さんのお父さんの、はなはだしく破天荒にしてエネルギッシュな半生を、本人の弁によれば「すごく抑えて」書いたドキュメンタリー・ノベルです。
「サウナに行く」と言ったきり、行方不明になってしまったお父さんを中心に、ゆるくもあたたかい家族とコミュニティが紡ぎ出すストーリーは、「こんなお父さんがいたら大変だなあ」「こんなふうに生きてみたいなあ」と、さまざまな思いを読み手に想起させながら、うねるようなグルーヴで展開していきます。
今年の春に月刊『新潮』で発表されたこの作品は、実は芥川賞の選考にも残ったのですが、残念ながら最後に落選。はっきり言って、選考委員、ぜんぜんダメですね。本書は表題作の他に2つの短編を収めて、しかも挿画が束芋! これまた渋い画風が、渋い物語とパーフェクトにリンクしてます。「最近はドキュメンタリーばっかりで、小説なんか読んでないよ」という読書家のみなさん(僕もそのケがあるのですが)、だまされたと思ってご一読を!
ちなみに『まずいスープ』のモデルとなった戌井父、以前に「東京スナック魅酒乱」で紹介した、西麻布の<スナック美ゆき>の常連であるらしく、運がよければお目にかかれるかもしれませんよ! 僕もいちどだけお会いしたことがあるのですが、すごくエネルギッシュ、でもチャーミングな漢(オトコ)でした。
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