http://www.amusemuseum.com/
築43年という古いビルをリノベーションした展示空間では、企画展、常設展などいろいろあるようですが、そのこけら落としに登場するのが、青森のBOROコレクション。去年、本を作らせていただいた、田中忠三郎さんの収集品が、東京にやってくることになりました。
請われてミュージアムの名誉館長にも就任した田中さんは、開館を記念して来京、講演会も3日間予定されています。この機会に、写真ではとうていわからないBOROの圧倒的な素材感とディテールを、至近距離で堪能するとともに、だれにも認められないまま収集に生涯を捧げた、在野の超人の肉声をお聞きください。
<講演会日程>
◎11/1(日)
消えゆく生活道具と作り手の思いに魅せられた人生
◎11/2(月)
本物のエコとは「人を愛する気持ち」
◎11/3(火・祝)
次世代に伝えたい「やさしさ溢れる暮らし」
<田中名誉館長からのメッセージ>
「11月1日から浅草のアミューズ ミュージアムで、田中忠三郎コレクション展が公開・展示されるという。それは、田中個人のものであろうか、いや、そうではない。
そ れらは、今から100年〜200年前の雪国、青森の娘さん達が丹念に刺し綴って作った晴れ着、仕事着である。そんな着物と一緒に、それらを綴った人達の魂 が、楽しくて嬉しそうに東京、浅草へ遊びに来ている。お爺ちゃんやお婆ちゃんが、「こんなものが、東京に出てきたら笑われるのではないか」と、心配し恥じ らいながらも浅草を訪れ、訪れてくれた多くの人達と話をしたいのです。
雪国、青森の冬は厳しい。暖かい衣服がないと暮らしていけない。自 分の体を暑さ、寒さから守ってくれるのは身を包む衣服だった。そのために衣服を大切にした。でも、その衣服でさえも、デパートも呉服屋もなかった時代、自 分で作らなければいけない。麻を植え、育て、それを刈り取って糸にして布を織り、それから着物を作る。一本の糸、小さな布でも大切にして作られたのが、そ んな仕事着や晴れ着だった。冬の夜、寒さ厳しい中で、継ぎ足した衣をまとい、親子が肌を寄せ合って眠った。人はそれをボロ着物、ボロ布団というが、それは ボロではなく人の優しさだった。
そんな優しい人達が大切に作った道具たちにも、見て触れて頂きたい。」