2009年11月11日水曜日

ビデオ・スターの死

そのむかし『Video Killed the Radio Star』という曲がありましたが、ツタヤ・ディスカスみたいに、なんでも宅配してくれたり、ダウンロードやストリーミングで映画が観られる時代になると、マニアックなセレクションが強みだったインディペンデントな貸しビデオ屋は、非常に経営が苦しくなります。


水道道路に面した笹塚のビルの2階で、もう27年間も店を開いてきた<ビデオ・ピープル>。幡ヶ谷から笹塚あたりの映画ファンにはおなじみの、かなりエッジの利いたコレクションを誇る貸しビデオ屋でしたが、時代の波に抗しきれず、今月でついに閉店となります。


店主の江川真治さんは、80年代から90年代にかけて「ラッパーズ」、「ビッグE」というハードコア系のバンドを率いて、インディーズ・シーンではかなり知られる存在でもありました。雑誌やウェブでも映画評をたくさん執筆しながら、こつこつとビデオとDVDのコレクションを育て上げ、維持費を捻出するために昼間は植木職人として働き、奥さんもパートをふたつ掛け持ちしながらがんばってきました。


棚のひとつをずらすと、なんとバスルームが出現! 収納スペース&トイレになってます


カウンターの奥、お客さんに見えないスペースにはさらなるコレクションが

大好きな(ミチロウの)スターリンの名作ビデオにあやかって「絶賛閉店中」と殴り書きされたエントランスを上がっていくと、店内はまさしく足の踏み場もないビデオ山岳地帯。ピープルでは11月いっぱい、「全部売り尽くし大セール中」なのです。店の規模にたいして、あまりにも膨大なコレクションは、とうていディスプレーしきれないので、「こんなのないですか?」と江川さんや奥様に聞いてみるのがいちばん。僕も先日、大量買いしてしまいましたが、映画好きの諸君は一刻も早く、笹塚に走るべし! 予想もしなかった一本が、見つかるはずです。


愛するミチロウの色紙とともに、江川真治さんと奥様



ビデオ・ピープルの情報は江川さんのブログでチェック:
http://d.hatena.ne.jp/pegawa/20091129