「コラアゲンはいごうまん」という芸人さんがいます。去年、高田笑学校にゲスト出演したのを見て、あまりにもおもしろく、しかもひとつのネタが30分とか1時間(!)とかなので、テレビでは絶対できない。ならば自分たちで呼んでしまえないかと画策して、先週の水曜日、湯島の「道」というバーをお借りしてプライベート・ライブをやってもらいました。
「道」は放送作家として知られる押切伸一さんがマスターをつとめるバーで、毎週のようにおもしろいイベントを入れています。
30人弱で立ち見満杯になってしまうサイズなので、ごく限られた友人だけにメールでお誘いしました。来てくれた方、どうもありがとう! 2時間半、もう笑いっぱなしでした。
「ヤクザの事務所で構成員体験」とか、「新宗教団体に潜入体験」とか、「SM女王様に奴隷入門体験」とか、「後期高齢者しかいかないソープランドに突撃体験」とか、とてつもないお題を所属事務所であるワハハ本舗の社長から与えられて、その血と汗と涙の体験をドキュメンタリーとして語るという、たぶん日本唯一の「ドキュメンタリー漫談」。そのユニークな芸を持って、彼はもう十数年間も日本の隅から隅へとドサまわりをくり返し、苦闘をつづけています。
実際にそのステージを観ていただかないと、なかなか魅力がわからないかとも思いますが、とりあえずネット上にはライブの様子がたくさんアップされているので、未体験の方はチェックしてみてください。
http://www.owarai.tv/search?page=1&keyword=コラアゲン&date=
彼自身によるブログからも、その精力的な活動ぶりがよくわかります。
http://blog.livedoor.jp/bokuhoso/
いまも全国ツアーのまっただなかであるコラアゲンはいごうまん。サイトの中に、その思いをみずから記した文章があるので、ここに引用してみます。
私が全国ツアーにこだわり続ける理由は2つあります!!
1つは私がやっている“体験ノンフィクション漫談”の性質にあります。
では、その“体験ノンフィクション漫談”とは?
ワハハ本舗の社長であり演出家でもある喰始から毎回与えられるテーマを、実際に私が体験し、そこで起こったドラマ、感じた想いを笑いを織り交ぜて語るという、つまり実録トークです。
例えば
テーマ“宗教”の時は、宗教団体の集会に潜入
テーマ“インド”の時は、インドを2ヶ月間放浪
テーマ“やくざ”の時は、某任侠団体事務所に1ヶ月間住み込み
これら命がけの実録トークは長期取材によるものが多いため、一発ギャグや小話というより、1冊の本、1本の映画に近いと思います。
しかし、この本質は瞬間芸やキャラ重視の今のテレビでは取り上げてくれることはまずありません。正直それをもどかしく思う時期もありました。でも全国を4周回って思ったんです。
やっぱり僕はこの道が大好きです。
どれ程時間がかかっても、どれ程骨が折れるとしても、僕は自分の語りたいことを語っていきたいのです。
そして、最後に残るのは絶対このアナログな生き様なんだと!!
この強い信念の元、今年も旅に出たいんです。
もう一つは、全国ツアーを主催して下さるほとんどの方が「一般の方」というところです。主婦の方や、お店のマスターや、サラリーマンの方や・・・そんな皆さんが損得勘定ではない想いをもって自分の家や店や会社でライブをやらせて下さってるんです。
大都市から大都市、大ホールから大ホールへと移動するツアーとは違い、規模は小さいかもしれません。でも、ここにしかない温もりがあるんです。
こんな全国ツアーができることを僕は誇りに思います。
人生の財産とも言うべきこのツアーを、このツアーだからこそ僕は生涯続けたいんです。
このブログで、お笑いのことを取り上げるのは、たぶん初めてです。つまり、僕自身はそれほどお笑いに興味ないのですが、久しぶりに、このひとはすごい!と思ってしまいました。5秒間で笑いを取らなくてはならない、そしてそれ以上の芸は必要とされないテレビのお笑い番組が、コメディの世界を徹底的に破壊しつつあるいま。こういう、ある意味で正統的なスタンダップ・コメディが生きていることには、驚くしかありません。
公式サイトには全国各地をめぐるスケジュールが載っていますが、東京でもこれから、もしかしたら定期的にイベントを組める可能性もでてきました。また、詳細はこのブログで報告しますので、ご期待ください!