2011年3月22日火曜日

水木しげる on The New York Times


「アートが震災にどう貢献できるか」みたいな議論が各地で活発化してますが、3月20日のニューヨークタイムズ日曜版に掲載された、水木しげるの書き下ろし作品には、こころが震えました。

今回の掲載を橋渡ししたPRESSPOP GALLERYという版権マネージメントやプロデュースを行う会社のブログ記事によれば(http://www.presspop.com/)、「『今回の日本を襲った地震と津波による大災害についての水木さんの個人的な考察』を絵で描いてもらえないでしょうか?」というオファーがタイムズ側から来て、水木さんがすぐに応えてできたのがこの作品ということです。詳しくは、上述のブログをお読みください。

「みんなでひとつになろうよ」とか「いまわたしたちにできること」とか、感傷的なメッセージばかりがマスメディアでは垂れ流され、ほんとうに悲惨なシーンが放映も印刷もされない状況の中で、「地獄」とは、そして「救済」とはそんな生やさしいもんじゃないと、この右手が教えてくれるようです。第二次大戦という地獄を生き延びてきた水木さんだからこそなしえた、究極の表現ではないでしょうか。ブームとともに「好々爺」みたいなイメージが定着しかかっているこの老アーティストの、世界を見極める厳しい眼を見せつけられました。日本に、これを載せる勇気のある新聞は一紙もないでしょうけど。

ニューヨークタイムズでは、東浩紀さんの震災に関する寄稿も掲載しています。こちらのサイトで英訳される前の元原稿が読めるようなので、興味あるかたはあわせてどうぞ。http://d.hatena.ne.jp/hazuma/20110322