2011年10月19日水曜日

大牟田のシャッター商店街にて・・

先週末、福岡でトークがあり、翌日に有志で福岡珍スポットめぐりというバスツアーを企画してもらいました。爆笑スポットから、おどろきのアート空間まで、いろいろ収穫たっぷりの一日でしたが、夕方に訪れたのが大牟田市の、その名も「年金通り」なる飲み屋街。ネーミングがすべてをあらわしてるというか・・・地味すぎて涙が出てくるような飲み屋街でした。

そのあと散策した大牟田市街は、これぞ「ザ・シャッター商店街」とでも呼びたい、あまりに悲惨な状態で、かつて三井三池炭鉱でものすごく栄えた時代があったとは、やたらに多いスナックやバーの数から想像するしかありません。そのスナック街も、ほとんどシャッター降りたままなんですが・・。大牟田というと引き合いに出されるのが、「2007年フォーブス誌で”世界のもっともきれいな都市トップ25位”に選出された」というエピソード。いったい、フォーブスの記者はどこをどう見てたんでしょうか。





「でも、おもしろい動きもあるんですよ」と、地元出身の参加者に案内してもらったのが、かつての高級グランドキャバレー(とうに廃業)空間を転用したクラブ&イベントスペース『クラブふじ』。ゴージャスな内装を完全に復活させるまでにはまだ時間がかかりそうですが、シャンデリアや壁の照明といったディテールから、いにしえの栄光が滲み出ています。

最近では「山口から福岡をパスしてこっちに来てくれるヨーロッパ人のDJとかもいるんです」とオーガナイザーが言うとおり、イベントのラインナップを見てもかなり先鋭的。気になります。


クラブふじ


店内に残された美しい照明

で、その彼から「いま地元でいちばんの注目株」と教えられたのが、大牟田市の現役高校生たちによるバンド「あきたこまち」。youtubeに上げられた、クラブふじでのステージを見ると、たしかにすごい! もしかしたら日本のシャグズになるかも!!!と、ちょっと興奮してしまいました。福岡市民からは「あそこ福岡だっけ、熊本だっけ?」と完全に見下されるばかりの大牟田。しかし、こうした辺境からこそ、ほんとに新しいものって出てくるんですよね! また近いうちに、今度は「あきたこまち」のライブに合わせて行ってみたいものです。


と、大牟田のことを書いていたら、ちょうどのタイミングで流れたのが「父親と長男も死刑確定へ 福岡・大牟田の4人殺害」というニュース。ご存じの方も多いと思いますが、2004年に大牟田市で起きた、血も凍るような殺人事件です。

福岡県大牟田市の母子ら4人殺害事件で強盗殺人罪などに問われ、一、二審で死刑とされた一家4人のうち、父親北村実雄(67)、長男孝(30)両被告の上告審判決で最高裁第1小法廷(白木勇裁判長)は17日、2人の上告を棄却した。3日に上告が棄却された母親の真美(52)、次男井上孝紘(27)両被告と併せ、一家全員の死刑が確定する見通しとなった。
判決理由で「現金奪取や犯行隠蔽の目的に酌量の余地はない。強固な殺意に基づく冷酷、非情、残忍な犯行で、複数の被害者が出た結果も重大だ」と指摘。「刑事責任はいずれも重大で、死刑はやむを得ない」と結論付けた。(10月17日・共同通信ほか)
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大牟田一家4人殺害事件(おおむた4にんさつがいじけん)は、2004年9月に福岡県大牟田市で発生した強盗殺人死体遺棄事件。被害者側も被告側も家族単位(被害者側は友人を1名含む)で4人ずつ、また裁判で被告である家族4名全員に死刑判決が下った特異な事例である。
道仁会系北村組組長だった当時60歳の父親と45歳の母親は、被害者の58歳の女性Aへの借金を含め6800万円以上の借財を抱え、また暴力団上部団体への上納金や生活費に困窮するなどしていたため貸金業を営む被害者Aに嘘の土地売買話を持ちかけ現金を用意させた後に、傷害致死の前科があった元力士の長男(当時23歳、母の前夫との子)を誘い込んで殺害を計画した。
長男は両親を出し抜いて被害者Aの金品を奪うため元力士の次男(当時20歳、母と父の子)を誘い込んで兄弟2人で9月16日に被害者Aの次男(当時15歳)を絞殺し、遺体に重しを付けて川に遺棄し、被害者A宅の金庫を強奪し貴金属(400万円相当)を奪って換金後に兄弟で分配した。
母親は、9月17日に長男に殺害を指示し、元力士の次男も加わって家族4人で殺害を実行することになった。同日、被害者Aに催眠薬入りの食事を取らせ次男が絞殺を行って現金を強奪した。被害者Aの所在を探していた被害者の長男(当時18歳)とその友人(当時17歳)を父親が被害者自宅近くで呼び止め車に乗せて埋め立て地に連れて行き、父親の拳銃で次男が撃ち、更にアイスピックで刺殺させた。4人は同日殺害した3名を車に乗せて諏訪川に沈め証拠隠滅を計った。
9月21日に最初に殺害された次男の遺体が発見され、母親が逮捕(父親は拳銃で自殺未遂)、更に川底から車と他の3遺体が発見された。その後次男、長男の順で逮捕された。
この事件で、被疑者一家は被害者一家に対する死体遺棄、強盗殺人および殺人容疑、銃刀法違反により逮捕された。長男は検察庁舎より逃亡し、単純逃走罪で追起訴された。
(ウィキペディア)

こんなことを書くのも、実はこの事件については『一家全員死刑』という衝撃的なノンフィクションが去年末に発売され、いつかブログで紹介しようと思いながら、まだ手をつけていなかったから。

「俺は殺人を楽しみ、狂い、快感すら憶えた」 (北村孝紘被告手記より) 2004年、福岡県大牟田市で起きた「4人連続殺人事件」、加害者の家族4人全員に死刑判決が下る前代未聞の事件となった。ヤクザ組長の息子に生まれ、20歳で4人の命を奪い、自らを 殺人鬼 と呼ぶ死刑囚が胸中と半生を語った戦慄の「獄中手記」 
(AMAZONの紹介文より)

とありますが、ほんとにそのとおり、日本版シリアル・キラーの恐るべき内面(というか内面のなさ)を赤裸々に描いた、必読の一冊。今回の死刑確定は、全国ニュースではあまり報じられなかったようですが、親子4人の一家が全員死刑になるという、アメリカですらなかなかないエクストリームな猟奇事件。熟読、震撼してください!