高層マンションの窓外に、貨物列車の行き交う鉄道線路が延びている。ここは上海南駅近くの龍華路。地名のもととなった龍華寺を中心に広がる下町で、かつてはこのへんが上海の中心だった。
おじいさんが船乗りだったし、おばあさんは普陀山という観音霊場で有名な島の出身だったから、航行の安全を祈りたくて、うちはお寺の近くに住むようになったんだ」という陳意心(チェン・イシン=Chen Yixin)。両親の家から歩いて5分ほどの場所に、7年ほど前に新築マンションを購入した。「いまではもう、買ったときの何倍かの値段になっちゃってるけど」。
上海生まれの上海育ち、交通大学でITを専攻してラジオ局の仕事をしていたが、「給料が安くて」不動産業に転向。充分にお金をもらえて、夜に好きなことをやる、そういう生活が楽しいのだという―「だって上海ではお金がなかったらつまらないから、こういう暮らしがふつうなんだよ」。