
あっというまに25回目になってしまった、廣済堂ウェブマガジン「読んどこ」の週刊連載『東京スナック魅酒乱 天国は水割りの味がする』。
今週は目黒不動前のスナック、揚羽屋です。30年間タクシーの運転手を務めたマスターが、車庫を店に改造して、ひとりで切り盛りする、一見地味な店。しかしお話をうかがってみれば、おそろしいまでにハードコアな半生! 天国だけじゃなくて、地獄も水割りの味がするのかも・・・。
たったひとり部屋にこもって“宅録”した音源や、友達とバンドを組んで貸しスタジオで録ったテープを、お小遣いを使ってCDにして、レコード屋の自主制作コーナーに置いてもらう。それがいつのまにか評判になり、気がついたら“メジャー・デビュー”してロック・スターの仲間入り。そんなサクセス・ストーリーが、ポップスの世界ではあたりまえに起きている。でも、演歌や歌謡曲でも、同じように自分の貯金をはたいてCDを出したり、カラオケ喫茶や健康ランドや、テレビとラジオ以外のマイナーな場所で歌いつづけ、がんばりつづけている人がたくさんいることを、僕らはほとんど知らされていない。

