2010年2月24日水曜日

バンクーバー・オリンピックにDEVOが登場!


連日熱戦が繰り広げられてるバンクーバー・オリンピック。クリスタル・ジャパン、残念だったですねー(涙)。というか、どうでもいい番組は全部やめて、ちゃんと全種目、全試合中継してもらいたいもんです(怒)。

で、バンクーバーでは会場の外で連日連夜、記念コンサートが行われているらしく、22日の月曜日には、なんとDEVOが登場! 当然ながら日本のテレビ局は完全無視でしたが、すでにyoutubeにたくさん動画がアップされてます。


懐かしすぎますねー。だって結成から、もうすぐ40年ですから!

いまどきのヤングは「ディーヴォ、だれそれ?」って感じでしょうが、オハイオ州アクロンというド田舎から突然登場した彼らは、パンク以降の音楽シーンを決定づけた、超重要バンドでした。1978年の実質的なデビュー・アルバム『Q:Are We Not Men? A:We Are DEVO! 』(邦題:『退廃的美学論』)は、いま聴いても最高にクールです。しかしこのアルバムを含め、このころのブライアン・イーノのプロデュースは、全作品が傑作ですね。

DEVOは1979年と80年に来日公演していて、80年に来たときは、いまは亡き新宿ツバキハウスと、六本木のディスコ(名前は忘れた)でシークレット・ライブを敢行しました。僕は六本木でダンスフロアの床に体育座りして見てたんですが、とにかく目の前であの、伝説的な黄色い手袋着用ギター・プレイを見れただけで感涙。

youtubeの映像を見ていると、40年近いブランクはぜんぜん感じられないプレイぶりで、目頭熱くなります。できるならばこういうふうに、ワンパターンで押しまくって40年、気がついたらとっくに年金もらえる歳だった、みたいなKY老人になりたいものです!

大阪のFMでしか聴けない? ひさかたぶりの号泣フォーク


DEVOとはぜんぜんちがうんですが、いま大阪のFM局を発信源として、無名の女性歌手が歌う曲がネットで話題になってます。

植村花菜(かな)という大阪出身の女性が、弾き語りで歌う『トイレの神様』。まだCD発売前だというのに、すごくたくさんのひとたちがブログやツイッターで熱く、熱く語ってます。あまりに素直で、こっ恥ずかしいほどなんですが、それでも泣いちゃうんですねー、みんな(僕も)。


大阪では、あまりにFMでこの曲がかかるので、「運転しながら涙で前が見えなくなって困った」とか、「バスで流れたら、ものすごく態度悪そうな女子高生が、降りぎわに”ありがとうございました”って運転手さんに声かけてた」とか、こころ温まるエピソードが連日、急ピッチで増殖中だそう。

公式サイトでは歌詞がアップされてるんですが、それを読むよりまずは歌として聴いてほしいので、内容には触れませんが、まあひとことで言えば、『吾亦紅』のおばあちゃん版? でも、ほんとにいい感じです。きょう、会社や仕事でイヤーな思いをしたひとは、ぜひこの歌でこころを洗ってください。ま、J−WAVEとかじゃ、しばらくかかりそうにないですから。

浅川マキ・お別れの会:『こんな風に過ぎて行くのな ら』のご案内

今年1月17日に惜しくも世を去った浅川マキさんをしのぶ、お別れ会が新宿ピットインで3月4日に開かれます。ファンならどなたでも大歓迎ということなので、あの歌声にこころを揺さぶられた思いでのあるひとは、ぜひ献花にいらしてください。僕も、もちろん行きます!

<主宰者よりのご案内>

浅川マキ「こんな風に過ぎて行くのなら」
・浅川マキがサヨナラを云う日

日時:2010年3月4日(木) 12:00PM ~8:00PM

会場:新宿ピットイン
〒160-0022 東京都新宿区新宿 2-12-4 アコード新宿 B1
http://www.pit-inn.com

<ご参列頂くにあたって>
※新宿ピットインは、ライブハウスですので、会場スペースにあまりゆとりがございません。
そのため、供花・供物はご辞退させていただきます。
※遺影への献花は、当方で用意させていただきます。
※当日は献花のみで、ライブ演奏等はございません。
※事前申込等は必要ありませんので、どなたでもご参列頂けます。
※平服でお越しください。
※新宿ピットインには専用の駐車場がございません。
公共の交通機関でご来場ください。
※新宿ピットインは、地下一階にございますが、ビルの構造上、エレベーター、エスカレーターの設備がございません。階段をご利用ください。
※当日はピットインと同フロアーにあります、スタジオ・ピットインにて、浅川マキのCD、DVD、著書の販売がございます。

主催:EMIミュージック・ジャパン / 新宿ピットイン

お問合せ:EMIミュージック・ジャパン 03-6830-8333
(平日10:00~12:00 13:00~17:00)

株式会社EMIミュージック・ジャパン
http://www.emimusic.jp/asakawa/

「老人よ大志を抱け」:京都で公開シンポジウム

来る3月7日の日曜日、京都文教大学人間学研究所の主催で、へんな公開シンポジウムをやります。「老人よ大志を抱け」という題名どおり、いままで取材してきた、いろんなパワフルじいさんたちのことを話させてもらって、古都の若老人たちにガツンと一発喰らわせてやろうという企画です。


共演(?)するのは、大阪の「ちんどん通信社」社長・林幸治郎さんと、文教大学教授の濱野清志さん、そして同じく文教大の人間学研究所所長・鵜飼正樹さん。この鵜飼さんはアカデミックな学者さんでありながら、見世物小屋の研究にいそしんだり、大衆演劇の劇団に入門しちゃったりと、おもしろいキャラの研究者なので、この時期に京都へ行こうとしているかたは、ぜひ覗いてみてください。


会場は岡崎の文教中学・高校内ホール、時間は13時から16時半まで。入場無料、申込不要だそうです!

いよいよ金曜日発売! 東京スナック魅酒乱

お待たせしている『東京スナック魅酒乱 天国は水割りの味がする』、ついに今週金曜日、26日に店頭に並びます。全880ページ!のめくるめくスナック・ワールド、50軒の水割り宇宙と、50人の人生劇場を、こころゆくまでご堪能ください。分厚いけど、持ってみれば軽いです(笑)!

出版社からの内容紹介:
六本木・銀座から私鉄沿線の小さな駅まで、自らの足で探しあてた東京のスナックを1年間かけて50軒取材!  50人のママさん・マスターのドラマチックすぎる物語を1万字超えのインタビューで綴る、都築響一、渾身の1冊が遂に完成。どのページを開いても、思わず涙があふれ勇気がもらえる、日本初のスナック読本です!


アサヒカメラ:今夜も来夢来人で:宮城県

新幹線を仙台の次の古川駅で降り、陸羽東線に乗り換える。鳴子温泉郷の手前、岩出山駅で電車を降りると、駅前には「伊達な小京都・岩出山」と看板が立っていた。ここ岩出山は、かつて伊達政宗が本拠をかまえた、伊達家にゆかり深い土地だ。

城下町のたたずまいを残す雪国の静かな町に、とつぜん全国の注目が集まったのは去年のこと。数年前から町内の真山地区で、なんとカンガルーの目撃情報が相次いだのだった。マスコミの取材は来るは、人気TV番組『探偵ナイトスクープ』にまで取り上げられる騒ぎで、「とうとう、こんなお酒までできちゃったんですよー」と、かわいらしいラベルのついた一升瓶を見せてくれたのが、岩出山のスナック来夢来人のママ、伊藤洋子さん。

こちらの来夢来人は今年7月で開店10周年。ここがまだ「翡翠」というスナックだったころ、客としてよく飲みに来ているうちに、マスターが病気で倒れてしまい、「閉めるのもったいないから、あんたやればと言われて、飲み友達とふたりで始めちゃったんです」。


東京右半分:西日暮里にアメリカン・プロレスの深淵を見た!

アメリカに数あるプロ・スポーツのうちでも、プロレスは微妙な位置にある。選手の学歴を見ても、大学を出ていないと実質的にプロに入りにくい、フットボールやバスケットボールがまず頂点にあって、野球やホッケーがそれに続き……ピラミッドの最底辺に位置するのがプロレスだ。観客の知的レベルも、選手の知的レベルに比例する……とは言わないが、アメリカのプロ・スポーツ界でプロレスはいまも昔も差別待遇を強いられてきた。

日本でもここ数年、WWE(もともとWWFという団体名だったが、同名称の世界自然保護基金に訴えられて改名)が来日興行したり、ケーブルテレビで放映があったりして、日本の団体とはひと味ちがう試合のスタイルや観客の熱狂ぶりに、ファンになったひとも少なくないだろう。しかし日本でもメジャーな団体の陰に無数のインディーズ団体があるように、アメリカにもWWE、TNAなどの超メジャー団体とは一線を画す、数多くのインディーズ団体が全米各地で細々と生き延び、血と汗と涙を流している。そういう、日本にいてはなかなか知ることのできないアメリカン・インディーズ・プロレスのDVDや各種グッズを専門に扱うネットショップが<フリーバーズ>だ。

「アメリカン・インディーズだけの店は、日本でウチだけです!」と言うオーナーのタカ中山さんを、西日暮里のマンションの一室に訪ね、お話をうかがった。

2010年2月16日火曜日

いよいよ予約開始! 東京スナック魅酒乱


こないだまで1年間にわたって、ウェブマガジンの連載でおおくりしてきた『東京スナック魅酒乱 天国は水割りの味がする』、とうとう単行本になりました。発売は今月26日予定。アマゾンでは、すでに予約受付が始まりました。

全880ページ!のめくるめくスナック・ワールド、50軒の水割り宇宙と、50人の人生劇場を、こころゆくまでご堪能ください。東京って、こんなにおもしろい場所だったんです!!!


長崎県知事選挙21日:投票するなら松下みつゆきさんへ!


与野党全面対決でやや盛り上がり気味の長崎県知事選挙。21日投票です。ま、自民か民主のどっちかが勝つんでしょうが、僕的にはこのひとがイチオシ! 松下みつゆきさん! 無所属! しかしその渾身の政見放送を見てください!
これはもう・・・超絶の話芸というか、21世紀の日本的ヒップホップというか・・・大画面、サラウンドシステムで酔いしれたい迫力です。

ついにスタートします! 恵比寿映像祭カラオケ・コーナー


2月19日から28日までの10日間、恵比寿の写真美術館で開催される『恵比寿映像祭』。お知らせしていたとおり、懐かしいレーザーカラオケの画像を、およそ120時間分、約1500曲!用意しました。いまや忘れ去られてしまったメディアですが、「あれって3分間の短編映画だろう」というコンセプトのもと、10日間の会期で、朝から晩まで毎日ずーっといても1曲もダブらない、貴重な(笑)コレクションが鑑賞できます! しかも入場無料!

「レーザーカラオケ、それは3分間の人生劇場だった」というタイトルで、27日にはトークも開催します。席数が限られると思うので、こちらはお早めに申し込みお願いします。



公式サイト:http://www.yebizo.com/(フラッシュがうざいです!)

演歌よ今夜も有難う:「行動する演歌歌手」京一夫・後編


亀戸天神の宮司さんに請われて、天神様のイメージ・ソング『亀戸天神様』を自作自演でCDにしたことがきっかけで、障害者福祉センターで歌の会を開くことになり、そこで「飢饉で苦しむソマリアの子どもたちに、コップ1杯のコメを贈る運動」を始めることになった京一夫さん。演歌歌手&シンガーソングライターだった彼の半生は、40歳を越えて大きな転換点を迎えることになったのだった。

歌謡教室が開かれるごとにコメが、ときには一日で100キロほども集まるようになった。歌手仲間で有志を募り、銀座・数寄屋橋公園や都内各地の広場、コミュニティ会館などで『ソマリア難民支援コンサート』を何度も開き、ついに1トンものコメを集めることに成功したのだった。


当時、東京にはすでに外務省、農水省、運輸省の支援によって立ち上げられた援助団体「ソマリアにコメを送る会」があった。京さんたちは、当然ながらその会に集まったコメを託して、いっしょに送ってもらおうとする。寄付したひとたちからは、「ほんとうに困ってる子どもたちに届くの?」といった疑問が出て、それに京さんは軽い気持ちで「大丈夫、信用してください、わたしが届けます」と答えてしまう。その、何気ないひと言が、各方面には「ソマリアにコメを送る会の代表として、京一夫がコメを届けにソマリアに飛ぶ」という発言に誤解されるようになって、政府のお墨付き団体である「コメを送る会」から「うちはそちらと関係ないですから」と抗議を受けるという、予想外の展開になった。

売れない演歌歌手の売名行為、みたいに誤解されて京さんは困惑するが、最終的には腹をくくり、独力でソマリアに飛ぶことを決意する。


 93年 ソマリア
 94年 エチオピア 
 95年 スーダン
 96年 ジンバブエ
 97年 北朝鮮
 98年 モンゴル
 99年 ユーゴ
 2002年 アフガニスタン

そしていま、病身をおしてふたたびハイチへ飛ぼうと密かに計画中の京一夫さん。彼は動きつづけている。ほかのだれよりも。そして苦しむひとたちに最終的に届いていくのは、理念でも資金でもなく、活動しつづけるこころ、愛しつづけるエネルギーだと、このひとはわかっているにちがいない。

東京右半分:住宅街の手づくり道場で女子プロ観戦


プロレスの聖地といえば後楽園ホールだろうが、最近は有明のディファや新木場のファーストリング、板橋グリーンホール、北千住シアター1010、鶯谷・東京キネマ倶楽部など、東京右半分の会場が多い。サッカーや野球が似合うのは左半分かもしれないが、プロレスにはやっぱり右半分がよく似合う気がする。


プロレス全体が地盤沈下の現在でも、女子プロレスの衰退にはこころが痛む。ビューティーペアやクラッシュギャルズのころは、ゴールデンタイムのテレビ中継が当たり前だったのに、いまや地上波のテレビ中継はゼロ。観たい人は、会場に足を運ばなくてはならない。しかしテレビ中継がなくなり、スポーツ新聞にもさっぱり取り上げられなくなった現在でも、試合のある日を楽しみにして、リングサイドへと駆けつけるコアなファンは、ちゃんと存在しているのだった。

JR常磐線亀有駅からバスに乗ること20分、バス停から徒歩3分という静かな、というより鄙びた住宅街に、JWPの道場がある。1992年に旗揚げされたJWPは、キューティー鈴木、福岡晶などの人気レスラーを生んだ、今年で創設19年目になる老舗団体である。当初、埼玉の三郷に道場を構えていたが、7年ほど前から選手の陣容を一新、足立区の住宅街に道場兼事務所を構え、現在にいたっている。


クリスマスが近い日曜日の午後、道場で行われた「道場マッチ」を観戦に行った。「JWP女子プロレス」のノボリが寒風にはためく会場に近づくと、徒歩やママチャリで入場口に向かうひとが、けっこういる。スポーツ観戦というより、なんだか近所のコンビニに買い物に行くぐらいの気楽な感じだ。

今週のマスト・バイ!:SOD15周年を記念する、15枚DVDボックス!


なんかSODの話ばっかりしてる気もしますが、このほど15周年を迎えたSODが、なんと15枚、30時間のDVDボックスを発売してしまいました。しかも値段が2980円! 1枚あたり、200円以下! すごいですねー、こういうパワーって。ふつうの映画会社が束になってもかなわない、欲望と狂気に満ちた15年間の軌跡を、ぜひお手元に!



<公式サイトより>
SODグループが総力を結集して15周年を盛り上げます!!第1弾SODグループメーカー横断の超限定BOXがついに発売!!15枚組30時間という圧倒的なボリュームで発売される今回は、なんとSOD全メーカーをこれ1つで見ることができてしまう超お買い得なBOXです。しかも今回のBOXはいつもと違う!!なんとっ!!ここでしか見ることが出来ない新作パートまで入ってお値段据え置き2980円!!さらに豪華特典としてアンケートにお答えいただいた方全員にもれなく「TENGA EGG」を1個プレゼント!これはもう買うしかない!!!!!(「TENGA EGG」の種類は選べません)

2010年2月10日水曜日

「脱がす」から「着せる」に! スペインとアメリカの逆ポルノ

いま、中野のタコシェでパロマ・フランコというスペイン人アーティストの作品集を販売中です。



スペインの女性アーティストパロマ・フランコさんは、ポルノグラビアに上塗りして、獣のように絡み合う男女や淫らな女性たちを、お料理や音楽やスポーツを楽しむ素敵な絵に修正し、皆さんで楽しめるような作品集にしました。 
表紙のように、手ブラ女性に洋梨を持たせてあげたり、尺八をマイクに替えてソウルフルな熱唱へと昇華、3人の紳士は何やらチェスに興じていますが、みんなの注目を集める注ぎかけのミニボトルの位置や大きさが絶妙だったり、空手の突きが決まって失神寸前の道場の女性たち、恍惚とダンスするジェントルマン皆さん、いい表情と微妙な体勢で趣味を楽しんでいます!
170×240 56P オールカラー



・・・という解説のとおり、ポルノグラフィの上に絵を描くことで、不思議なコラージュ画面を構成しているわけです。
作品が制作されたのは、いまから2,3年前のようですが、実は同じころ、アメリカで同様のウェブ・ギャラリーが話題を集めました。sfw-pron.comというサイトですが、sfwは"safe for work porn" の略。つまり「職場で見てても安全なエロ」のことですね。これもパロマ・フランコと同じく、ハードコア・ポルノの画像に塗り絵を施し、ユーモラスな別の絵にしてしまおうというもの。


しかしこちらはアートとか言わず、お遊びサイトなのですが、これに目をつけたイタリアのファッション・メーカー、ディーゼル社が、2008年度にsfwのイメージを借用してPVを作っています。これも秀逸!



どっちが先か、なんて議論は不毛なのでやめますが、最近、着衣とヌードを組み合わせたグラビアって、よくありますよね。着衣の写真の、一部が剥がれて裸体が見れるやつ。あれは「この子、脱いだらどうなんだろう」というストレートな妄想の産物ですが、こちらはその逆。ポルノをポルノ以外のものにしてしまおうという、はるかにアヴァンギャルドな発想でしょう。こうすることで、ポルノグラフィが宿命として持つ滑稽さも強調されますし。「脱がせる」から「着せる」へ! おもしろいこと考える人たちがいますねえ。


展覧会とトーク:まだ予約受付中!


2月19日から28日までの10日間、恵比寿の写真美術館で『恵比寿映像祭』というグループ展が開かれます。去年第1回が開催された映像系の大規模な展覧会で、50人近い参加アーティスト、しかも入場無料!(ただし会期中の特別イベントは有料)という、太っ腹企画です。
今年のテーマは「歌をさがして」。というわけで、ヴィト・アコンチからマイク・ケリー、ポール・マッカーシーなどなど国内外の有名作家が目白押しの中、色もの担当として僕も参加することになりました。展示するのはレーザーカラオケ。いまや忘れ去られてしまったメディアですが、「あれって3分間の短編映画だろう」というコンセプト(笑)のもと、ただいま買い集めた数百枚のレーザーディスクをデジタル化する、気が遠くなる作業の真っ最中。10日間の会期で、朝から晩まで毎日ずーっといても、1曲もダブりがないよう、百数十時間のコレクションが鑑賞できます!
「レーザーカラオケ、それは3分間の人生劇場だった」というタイトルで、27日にはトークも開催します。席数が限られると思うので、こちらはお早めに申し込みお願いします。

公式サイト:http://www.yebizo.com/(フラッシュがうざいです!)

東京右半分:浅草の深夜バーFOS


浅草雷門から浅草寺を抜けて、言問通りを渡ってみると、あたりの空気が一変するのに気がつくだろうか。「観音裏」と呼びならわされるこの一角、正確に言えば南北を言問通りと浅草警察署前の通り、東西を馬道通りと千束通りに挟まれた、一辺500メートルかそこらのブロックである。



南に浅草寺を中心とした浅草の歓楽街、北に吉原遊郭という絶好(?)のロケーションに位置する観音裏、現在の住所で言えば浅草3丁目あたりは、江戸の昔からずっと、東京屈指の花街として栄えてきた。いまは春の植木市ぐらいしか観光客で賑わうことがない静かな住宅街だが、歩き回ってみれば粋な風情の飲食店やしもた屋がずいぶん残っていて、散歩しているだけでも楽しい。東京都と京都、両方に住んでみた経験から言うと、いまのようにぐちゃぐちゃになる前の京都の粋街に、いちばん近い風情がただよっているのが、東京だとこのあたりなのかもしれない。

いまから3年ほど前、踊りのお師匠さんが住んでいたという家を改造してバーにしたのが、<Bar FOS>。これこそ東京じゃなくて、京都先斗町の路地裏あたりにありそうな、いかにも渋い和風のたたずまいだ。




今週の標語:はげあたま・・・



ただいまネット住民の一部で話題の村田興産経営理念標語。これってもちろん、社長さんがみずから考えたんでしょうねえ・・・こういうの、朝礼で叫んだりするんでしょうか。自虐ギャグ? 湯飲みにしてほしい気もします。

2010年2月3日水曜日

九州に残る伝説のグランドキャバレー白馬


 規模からいえば熊本県第2の都市、八代(やつしろ)。駅を降りれば目の前に「日本一 イ草と晩白柚の里」と大書された看板が立っている。ちなみに晩白柚(ばんぺいゆ)とは、巨大なザボンのこと。イ草はもちろん畳表に使うので、国産の8割を占めるという特産品だが、中国製の安いイ草が市場を席巻し、畳自体の生産もかつてとはくらべものにならない現在では、八代を支えるのは日本製紙、興人、メルシャン、YKKなどの工場である。



 ここもまた見事なまでのシャッター通りと化した中心部の本町商店街を歩くと、一端が飲み屋街になっていた。町の規模に比べて、異常とも言えるほどの数のバーやスナックは、かつての八代の繁栄ぶりをものがたっている。その中心部にそびえるのが<キャバレー白馬>(正式名称はディスコ&キャバレーニュー白馬)。流れるようなネオンの”"White Horse"が目に鮮やかな、おそらく大阪以西で唯一残る、オーソドックスなグランドキャバレーだ。




 八代は女優の石田えりに永島暎子、ソフトバンクホークスの松中信彦、さらには麻原彰晃まで多彩な有名人を生んできたが、八代といえばやっぱり、まずは八代亜紀。キャバレー白馬はいまからおよそ40年前、15歳の少女だった亜紀さんが、18歳と年齢を偽って、クラブ・シンガーとして初めて舞台に立った、伝説の場所でもある。


東京右半分:浅草・褌スナック潜入記


 大麻好きにアムステルダムがあるように、レイブ好きにイビサがあるように、褌(フンドシ)好きには浅草がある。浅草は日本褌界の聖地であるのだ。
 浅草と褌といえば、もちろん三社祭が頭に浮かぶ。最終日には150万人がくりだすという日本最大級のお祭りである三社祭は、褌好きと、褌を締めた男が好きという男(と女?)が日本中から集まる場でもある。朝っぱらから自慢の褌一丁キリリと締めて、歩き回っても酔っぱらっても、だれもなにも言わないどころかリスペクトされたりする。褌好きに言わせれば、「三社祭は褌の野外フェス」なのだ。褌界のフジロックとか、サマソニみたいな・・・。




 東京のゲイタウンとなると、まずは新宿2丁目といいうことになろうが、実は浅草・上野一帯もまた、新宿とはひと味ちがったゲイ・スポットが集中するエリアとして、その道の人々にはよく知られている。新宿と、どうひと味ちがうのかといえば、浅草・上野エリアのゲイ・スポットは、年配中心ということ。年齢層が、ぐっと高めなのだ。
 新宿2丁目とはちがって、浅草のゲイバー/スナックは一個所に固まるのではなく、ふつうのスナックが並ぶ中に、一見それとわからぬように営業しているのが特徴でもある。ドアには「会員制」と札が下がっているが、「ゲイの店」なんてもちろん記されていない。知ってる人だけがひっそりドアを開け、迎え入れられる、そういう遊びの場所だ。
 浅草のゲイバー/スナックには褌で飲める店がある、というウワサを以前から聞いていた。聞いてはいたが、当然ながらノンケは入店お断りなので、「じゃあちょっと覗いてみるか」というわけにもいかない。ちょっと気になったまま忘れかけていたが、今回はこの連載のためにカラダを張って!、潜入取材してみました(涙)。

http://www.chikumashobo.co.jp/blog/new_chikuma_tuzuki/

演歌よ今夜も有難う:「行動する演歌歌手」京一夫・前編



京一夫さんは演歌歌手であり、カラオケ喫茶経営者であり、ボランティアの専門家である。いま、千葉県我孫子の近く、湖北駅前のカラオケ喫茶<鬼平>で目の前に座っている京さんは、まぎれもなくスナックか喫茶店マスターの顔だし、最近発売されて話題の、流しの演歌師を集めたCD『演歌師稼業』で聴く京さんの歌声は、あくまでも正調演歌歌手だし、『きょうはボランティア日和』という自著で語られるスリリングなアフリカ・ボランティア行は、筋金入りのボランティア活動家にも負けない情熱とフットワークの産物だ。



芸能界には杉良太郎や八代亜紀など慈善・福祉活動に熱心な歌手が少なくないが、京一夫さんはそういうだれともちがう異質のマルチ・タレント、というより異質のマルチ・アクティヴィストなのだ。激動の半生、今週はその前編をどうぞ。



上海スタイル:最終回

高層マンションの窓外に、貨物列車の行き交う鉄道線路が延びている。ここは上海南駅近くの龍華路。地名のもととなった龍華寺を中心に広がる下町で、かつてはこのへんが上海の中心だった。



おじいさんが船乗りだったし、おばあさんは普陀山という観音霊場で有名な島の出身だったから、航行の安全を祈りたくて、うちはお寺の近くに住むようになったんだ」という陳意心(チェン・イシン=Chen Yixin)。両親の家から歩いて5分ほどの場所に、7年ほど前に新築マンションを購入した。「いまではもう、買ったときの何倍かの値段になっちゃってるけど」。



上海生まれの上海育ち、交通大学でITを専攻してラジオ局の仕事をしていたが、「給料が安くて」不動産業に転向。充分にお金をもらえて、夜に好きなことをやる、そういう生活が楽しいのだという―「だって上海ではお金がなかったらつまらないから、こういう暮らしがふつうなんだよ」。


注目の展覧会:「作家はつぶやく」佐倉市立美術館



喜舎場盛也 「無題(漢字シリーズ)」 制作年不詳

成田空港に近い、佐倉市立美術館。たまにおもしろい企画をやるので、僕はけっこう好きなのですが、2月7日から3月22日まで開催するのが「カオスモス'09 作家はつぶやく」というグループ展。カオスとコスモスで「カオスモス」だそうですが、わかりにくいねー。でも、展覧会はすごくおもしろそうです。
 僕も前に取材した喜舎場盛也、戸來貴規といったアウトサイダー・アート作家に、現代美術、アニメーション系のユニークな作家を交えた5人展で、出品点数約50点。「声高な主義主張が溢れる中で、作家の「孤島で生きるつぶやき」とでも喩えられるような、言い知れぬ深みを持った作品をご鑑賞ください」と公式サイトには書かれてますが、ほんとにそのとおりですよね。