過激な状況設定に目を奪われがちだが、五月セブンの絵の魅力のひとつに、なんとも言えない「目の表情」がある。すばらしく古風なのか、新鮮なのか、時代感覚を超えた彼の妄想世界を今週もお楽しみいただきたい。
2011年12月28日水曜日
VOBO 妄想芸術劇場 五月セブン 後編
先週に続いてお送りする五月セブンの後編。1997年に初登場した五月セブンは、現在に至るまでコンスタントな投稿を続けるベテランである。
過激な状況設定に目を奪われがちだが、五月セブンの絵の魅力のひとつに、なんとも言えない「目の表情」がある。すばらしく古風なのか、新鮮なのか、時代感覚を超えた彼の妄想世界を今週もお楽しみいただきたい。
過激な状況設定に目を奪われがちだが、五月セブンの絵の魅力のひとつに、なんとも言えない「目の表情」がある。すばらしく古風なのか、新鮮なのか、時代感覚を超えた彼の妄想世界を今週もお楽しみいただきたい。
2011年12月22日木曜日
VOBO 妄想芸術劇場 五月セブン 前編
先週、先々週とリリー・フランキーさんとの対談特別プログラムをお送りしたので、久しぶりの妄想芸術劇場。ご紹介するのは「五月セブン」である・・よく見ると不思議な名前だ。
1997年に初登場した五月セブンは、現在に至るまでコンスタントな投稿を続けるベテランである。その画風は一見、淡いタッチでありながら、内容のほうはなかなかハード。しかもしばしば画中に書き入れられる文章が、またユーモラス。見れば見るほど年齢不詳な感覚に惑わされるようである。
1997年に初登場した五月セブンは、現在に至るまでコンスタントな投稿を続けるベテランである。その画風は一見、淡いタッチでありながら、内容のほうはなかなかハード。しかもしばしば画中に書き入れられる文章が、またユーモラス。見れば見るほど年齢不詳な感覚に惑わされるようである。
2011年12月14日水曜日
妄想芸術劇場特別編 リリー・フランキーさんと対談・後編!
先週に続いて、『VOBO 妄想芸術劇場』特別編としてお送りする、リリー・フランキーさんとの対談。今週は「ぴんから体操」だけでなく、「カツ丼小僧」など、他の有名投稿者のお話もあり、アウトサイダーのメンタリティについて、熱いトークが展開します——
リリー ぼくはニャン2に写真投稿してる人達って絶対に自分より人生を楽しんでる人間だと思うんですよ。攻めの人生じゃないですか。以前にZで「投稿批評」っていう、失礼な連載をしていたんですけど、でも結局は何を書いたところで羨ましさだけが残っていくんです。ただ、この投稿イラストページを見る限り、まったく違う感想です(笑)。尊敬はあっても羨ましくはない。絶対に届かない芸術を感じる(笑)
都築 でしょう(笑)。世間的に言えばもうカースト外みたいな感じだと思うわけ。
リリー 凡人の世間からすれば、「要注意人物」として扱われる層ですよね。
都築 決してメインになることがない。雑誌のなかでもどうでもいい扱いを受けてる。でもその中に光るものがあるわけですよね。ニャン2の読者にしても、このイラストページを毎月楽しみにしてる人ってものすごい稀だと思うんです。
カツ丼小僧
リリー でも、ニャン2を最初からずっと読み続けて、このイラストページに至ると最も独特なオーラがあります。ここに比べるとウンコ食べてる写真なんかの方がよっぽど健康的に思えてくる。
都築 写真はハッピーですよ。行為をできてるんですから。イラストには陰がある。この人達だって、相手がいたら写真を送ってくるとも思うんですよ。その分の怨念がたまってる。
リリー でもそうやって何にも見返りもないにも関わらず20年くらい送り続けていれば、やっぱこういう風に本にしたりということをしてくれる人が現れるっていうのは、これご褒美ですよ(笑)
都築 喜んでくれるかどうかはともかく(笑)
という調子なので、エロ投稿ファンのみなさまも、リリー・ファンのみなさまも、ぜひご一読を。
http://vobo.jp/pinkarataidan_kouhen.html
しかしふたりの腹回り、ちがいすぎ・・涙
2011年12月6日火曜日
艶春特別開帳 秘蝋の宴 満珍全席
年明けの話題で恐縮ですが、新春1月6日より、変態系の展覧では他の追随を許さない!銀座松坂屋裏のヴァニラ画廊にて、とっても特殊な展覧会を2週間ちょっとだけ開催します。名づけて『秘蝋の宴 満珍全席』・・・
北九州の片隅の、蔵の奥から発見された蝋人形コレクションを、新春のヴァニラ画廊にて特別公開致します。ひとりの老人の奇態な妄想を希代の蝋人形師が形にした、発注した本人の思惑をはるかに超えたところで、異形の芸術作品へと昇華した性器たちを迫力の一大パノラマ展示! 性のパワーを結集し毒々しいまでの鮮やかさでよみがえる密蝋作品群を参詣し、繁栄と豊穣の一年の門出をお祈りしましょう。(公式サイトより)
2012年1月6日(木)〜1月22日(土) 入場料:1.000円(お土産付・18歳未満入場不可)
銀座ヴァニラ画廊
http://www.vanilla-gallery.com/archives/2012/20120106.html
妄想芸術劇場 特別編 リリー・フランキーさんと対談!
いつもはニャン2倶楽部の投稿イラスト作家を紹介している『VOBO 妄想芸術劇場』ですが、今週と来週の2回にわたって特別編として、リリー・フランキーさんとの対談をお送りします。話題はもちろん「ぴんから体操」!
ご存じの方も多いと思いますが、リリーさんはかつて投稿写真誌で出会ったぴんから体操の作品に衝撃を受け、渋谷で会場を借りて『スーパー写真塾』から借り出した作品の展覧会を開催しています(『美女と野球』にその顛末が載っているので、興味のある方はぜひご一読を)。
そんな「ぴんから研究」の先輩であるリリーさんとふたりで、今回は自費出版本発売にあわせて、こころゆくまでその狂った魅力を語りあうことができました。実はリリーさん、以前ぴんからに仕事を発注したこともあるという!驚愕の事実も発覚。「ぴんから酔い」のふたりがおくるフラフラ・トーク、堪能してください!
ご存じの方も多いと思いますが、リリーさんはかつて投稿写真誌で出会ったぴんから体操の作品に衝撃を受け、渋谷で会場を借りて『スーパー写真塾』から借り出した作品の展覧会を開催しています(『美女と野球』にその顛末が載っているので、興味のある方はぜひご一読を)。
そんな「ぴんから研究」の先輩であるリリーさんとふたりで、今回は自費出版本発売にあわせて、こころゆくまでその狂った魅力を語りあうことができました。実はリリーさん、以前ぴんからに仕事を発注したこともあるという!驚愕の事実も発覚。「ぴんから酔い」のふたりがおくるフラフラ・トーク、堪能してください!
病院で言われた。ちんぼうが骨折しています、ぬははと。
つったったままの看護婦はだらだらして思いつめたよう。いたいよう。
ぬははと三年前につぶれた、病院のべっとで、血ぬれて待つだろうか。
もう一度ゆきたい 弟が待っている消えた病院へ。
本のお求めは恵比寿NADiffまで
街角のおかんアート
合羽橋道具屋街があることで知られる台東区松が谷を歩いていたら、こんな「街角おかんアートギャラリー」を発見! いかにも歴史ありそうな紳士服の仕立屋さんでした。ちょうど出てきたご主人にお話うかがったら、「うちのかみさんが作ってるんだけどねー、こんなの珍しくないですよ、このへん歩けばたくさんあるから」とのこと。
前にご紹介した神戸のおかんアート研究チームによれば、古くからある商住混在型の街に、おかんアートは出現しやすいということでしたが、ほんとにそうですね! みなさんの近くでも、こんな街角おかんアートギャラリーを発見したら、ツイッターかフェイスブックのアカウントまで、ぜひご一報を!
前にご紹介した神戸のおかんアート研究チームによれば、古くからある商住混在型の街に、おかんアートは出現しやすいということでしたが、ほんとにそうですね! みなさんの近くでも、こんな街角おかんアートギャラリーを発見したら、ツイッターかフェイスブックのアカウントまで、ぜひご一報を!
2011年11月30日水曜日
「ぴんから体操」の自費出版作品集を会場で先行発売中!
VOBO妄想芸術劇場を読んでいただいているみなさまにはおなじみ、日本アンダーグラウンド・エロティック・アート界が生んだ、不世出のアウトサイダー投稿アーティスト「ぴんから体操」の作品集を、NADiffで特別先行発売中!
だれでも自分の作品集が印刷/電子出版の両方で実現できるという「BCCKS」のシステムで、これから妄想芸術劇場のスター・アーティストたちの作品集を続々発売予定ですが、まずは第1弾として「ぴんから体操」をご覧いただきます。
印刷本のほうは文庫本サイズ、オンデマンド印刷なので、お値段は3500円(予価)と少々お高いですが、これは他に類のない貴重な資料だし! 電子書籍版のほうは12月初旬にはダウンロード開始予定で、こちらは1500円(予価)とお買い得。PCはもちろん、iPadでもiPhoneでもAndroidでも読めます。
しかし印刷版のほうも、「これがオンデマンド?」と驚くような、しっとりと美しい仕上がり。僕もびっくりしました。ぜひ会場でお手にとってご覧ください。しかも約300ページというウルトラヘヴィなボリューム。これから販売サイトも整備していきますが、いま現在、この本を購入いただけるのはNADiffの会場のみになります。レアブックス好きのみなさま、アウトサイダー・アート・ファンのみなさま、そしてエロ愛好家のみなさまに、自信を持っておすすめします!!!
BCCKS http://bccks.jp/
VOBO 妄想芸術劇場 ぴんから体操 http://vobo.jp/pg94.html
印刷本のほうは文庫本サイズ、オンデマンド印刷なので、お値段は3500円(予価)と少々お高いですが、これは他に類のない貴重な資料だし! 電子書籍版のほうは12月初旬にはダウンロード開始予定で、こちらは1500円(予価)とお買い得。PCはもちろん、iPadでもiPhoneでもAndroidでも読めます。
BCCKS http://bccks.jp/
VOBO 妄想芸術劇場 ぴんから体操 http://vobo.jp/pg94.html
VOBO 妄想芸術劇場 ぷりりん
投稿の数こそ多くないが、「ぷりりん」の画面には不思議な魅力がある。漫画的でフラットな画面。ところが、スキャンされた画像では判別できないが、原画をよく見ると、そこに微妙な凹凸があることに気がつく。実は塗り込められた背景の上に、丹念に切り抜かれた主人公=全裸女性を貼り重ねて、ぷりりんの絵はつくられているのだ。
女体のカーブはもちろん、乱れた髪から噴出する大便まで! あるときはほとんど紙切り細工のような、しかしそれでいて結果としてまったく立体感のない画面。その途方もない労力は、いったいなんのためになされているのだろうか。
2011年11月24日木曜日
岩手県花巻市の小さな美術館るんぴにい
宮沢賢治で有名な花巻市に、「るんぴにい美術館」という小さな美術館があります。この地で活動する社会福祉法人光林会が運営する、アウトサイダー・アートに特化したミュージアムです。
僕もかつて何度か取材に訪れた経験がありますが、岩手はアウトサイダー・アーティストの発掘、育成が盛んな土地で、何人もの重要な作家が世に出ています。今回の展覧会『うちの理想宮 〜パラダイス・シフト!〜』は、地元を中心に7人ほどのアウトサイダー・アーティストの作品を集め、それぞれの作家のテーマに合うような、僕の写真をいっしょに展示するという・・・まことにありがたい企画です。
フランス第2の都市リヨンの郊外・オートリーヴという小さな村に「理想宮」と名付けられた石でできた宮殿があります。
これは、フェルディナン・シュヴァル(1836?1924)という郵便配達夫が1879年から33年の月日をかけて、独りで石を積み上げ、セメントで固めて作ったものです。
当時の町の人々は、シュヴァルを「庭を石で一杯にしている哀れな狂人」として嘲笑しました。シュヴァルは仕事を終えた後、人目につかない夜の時間に宮殿づくりに汗を流しました。
出来上がった宮殿は、その後アンドレ・ブルトンをはじめとするシュルレアリストたちの感嘆の的となり、1964年には国の重要建造物に指定されています。
本展でご紹介するのは、現在を生きるシュヴァルの末裔たちともいうべき作り手たちです。糸・布・割り箸、そして絵の具……それぞれが自分の魂が反応する素材を積み重ねて作った一人ひとりの理想宮にほかなりません。
作り手たちが生み出した姿かたちの美しさと、その薄皮を1枚めくると現れる、煮えたぎるマグマのような創造の歓びを感じていただきたいと思います。
作り手たちのクリエイティビティが、人と人とを隔てる壁を打ち壊す快感を共に感じていただければ幸いです。 (公式ブログより)
まあ、僕の写真はどうでもいいのですが、展示される作品は、かなりおもしろそうなものばかり。不思議な図面ばかりを描く山崎健一、手作りのドレスを作り続ける四日市ゆり、廃材をなんでもボールペンにしてしまう三上正泰など、興味津々です。12月17日の土曜日には、僕もトークショーに呼んでもらえるので、いまから楽しみ。この時期に岩手にいらっしゃるみなさまは、ぜひお寄りください。
るんぴにいはギャラリーのほかにアトリエ、カフェ、菓子工房などを併設していて、障害者たちの自立を支援しています。地元産の小麦や雑穀をブレンドしたパンや、花巻の卵で作ったプリンとか、おいしそうですよ!
うちの理想宮 〜パラダイス・シフト!〜
2011年11月10日(木)〜
2012年2月14日(火)
開館時間 10:00〜17:00(水曜日休館)
都築響一トークショー:
2011年12月17日(土)
16:00スタート
定員50名:参加無料・要申し込み
詳細はこちらから:http://museum-lumbi.kourinkai.net/
るんびにい美術館
〒025-0065 岩手県花巻市星ヶ丘1丁目21-29
TEL&FAX 0198-22-5057
僕もかつて何度か取材に訪れた経験がありますが、岩手はアウトサイダー・アーティストの発掘、育成が盛んな土地で、何人もの重要な作家が世に出ています。今回の展覧会『うちの理想宮 〜パラダイス・シフト!〜』は、地元を中心に7人ほどのアウトサイダー・アーティストの作品を集め、それぞれの作家のテーマに合うような、僕の写真をいっしょに展示するという・・・まことにありがたい企画です。
フランス第2の都市リヨンの郊外・オートリーヴという小さな村に「理想宮」と名付けられた石でできた宮殿があります。
これは、フェルディナン・シュヴァル(1836?1924)という郵便配達夫が1879年から33年の月日をかけて、独りで石を積み上げ、セメントで固めて作ったものです。
当時の町の人々は、シュヴァルを「庭を石で一杯にしている哀れな狂人」として嘲笑しました。シュヴァルは仕事を終えた後、人目につかない夜の時間に宮殿づくりに汗を流しました。
出来上がった宮殿は、その後アンドレ・ブルトンをはじめとするシュルレアリストたちの感嘆の的となり、1964年には国の重要建造物に指定されています。
本展でご紹介するのは、現在を生きるシュヴァルの末裔たちともいうべき作り手たちです。糸・布・割り箸、そして絵の具……それぞれが自分の魂が反応する素材を積み重ねて作った一人ひとりの理想宮にほかなりません。
作り手たちが生み出した姿かたちの美しさと、その薄皮を1枚めくると現れる、煮えたぎるマグマのような創造の歓びを感じていただきたいと思います。
作り手たちのクリエイティビティが、人と人とを隔てる壁を打ち壊す快感を共に感じていただければ幸いです。 (公式ブログより)
山崎 健一
四日市 ゆり
るんぴにいはギャラリーのほかにアトリエ、カフェ、菓子工房などを併設していて、障害者たちの自立を支援しています。地元産の小麦や雑穀をブレンドしたパンや、花巻の卵で作ったプリンとか、おいしそうですよ!
うちの理想宮 〜パラダイス・シフト!〜
2011年11月10日(木)〜
2012年2月14日(火)
開館時間 10:00〜17:00(水曜日休館)
都築響一トークショー:
2011年12月17日(土)
16:00スタート
定員50名:参加無料・要申し込み
詳細はこちらから:http://museum-lumbi.kourinkai.net/
三上 正泰
るんびにい美術館
〒025-0065 岩手県花巻市星ヶ丘1丁目21-29
TEL&FAX 0198-22-5057
VOBO 妄想芸術劇場 暗藻ナイト
ニャン2には何人もの名物投稿イラスト職人が存在するが、今週ご紹介する「暗藻ナイト」も、ニャン2の長い読者にはおなじみの名前である。
暗藻ナイトの描く世界はSMとスカトロのミックスなのだが、なにより特筆すべきはその圧倒的な画力である。画面の構成、表情の迫力、縄の結び目までおろそかにすることのないディテールへのこだわり、そしてマグマのように噴出する黄金色のウンコ・・・。「玄人はだし」という言葉では物足りない、まさしくプロのレベルのイラストレーションだ。
暗藻ナイトは、実は同人誌の世界ではかなり知られた存在だ。それも「女王様とM男」というピンポイントなジャンルで。もともとSM雑誌に投稿していたのが、いつのころからか同人誌を発表するようになり、そのクオリティがマニアたちに認められて、ついには『コミックマゾ』(スター出版刊)などのマニア向け商業誌にまで特集が組まれるようになった・・・。
暗藻ナイトの描く世界はSMとスカトロのミックスなのだが、なにより特筆すべきはその圧倒的な画力である。画面の構成、表情の迫力、縄の結び目までおろそかにすることのないディテールへのこだわり、そしてマグマのように噴出する黄金色のウンコ・・・。「玄人はだし」という言葉では物足りない、まさしくプロのレベルのイラストレーションだ。
暗藻ナイトは、実は同人誌の世界ではかなり知られた存在だ。それも「女王様とM男」というピンポイントなジャンルで。もともとSM雑誌に投稿していたのが、いつのころからか同人誌を発表するようになり、そのクオリティがマニアたちに認められて、ついには『コミックマゾ』(スター出版刊)などのマニア向け商業誌にまで特集が組まれるようになった・・・。
2011年11月17日木曜日
ART iT:おかんアートという時限爆弾
ウェブマガジン『ART iT』で連載中の『ニッポン国デザイン村』。今月お送りするのは、先ごろ神戸で自費出版された『おかんアート』に触発された、おかんアート・リポート。こないだ本と展覧会のお知らせをちょっぴり書きましたが、今回は図版もたっぷり、楽しく読んでいただけるはず。
いちばん身近にありながら、いちばん無視していた、しかしときによってはプロの現代美術よりも、アウトサイダー・アートよりも強烈な破壊力を秘めた、アートの最終兵器「おかんアート」。読んでもらえたら、自分のまわりにあるおかんアートをぜったい見つけにいきたくなります!
メインストリームのファインアートから離れた「極北」で息づくのがアウトサイダー・アートであるとすれば、もうひとつ、もしかしたら正反対の「極南」で優しく育まれているアートフォームがある。それが「おかんアート」。その名のとおり、「おかあさんがつくるアート」のことだ。なにそれ?と思うひともいるだろうが、たとえば久しぶりに実家に帰ると、いつのまにか増えている「軍手のうさぎ」とか、スナックのカウンターにある「タバコの空き箱でつくった傘」とか、あるでしょ。ああいうやつです。
どこにでもあって、だれからもリスペクトされることなく、作者本人もアートとはまったく思わず、売ったり買ったりもできず、しかしもらえることはよくあり、しかももらってもあまりうれしくない——そういうのが「おかんアート」の真髄だ。
http://www.art-it.asia/u/admin_ed_contri8_j/OQNqomdBcjalC2VfzFWH/
メインストリームのファインアートから離れた「極北」で息づくのがアウトサイダー・アートであるとすれば、もうひとつ、もしかしたら正反対の「極南」で優しく育まれているアートフォームがある。それが「おかんアート」。その名のとおり、「おかあさんがつくるアート」のことだ。なにそれ?と思うひともいるだろうが、たとえば久しぶりに実家に帰ると、いつのまにか増えている「軍手のうさぎ」とか、スナックのカウンターにある「タバコの空き箱でつくった傘」とか、あるでしょ。ああいうやつです。
どこにでもあって、だれからもリスペクトされることなく、作者本人もアートとはまったく思わず、売ったり買ったりもできず、しかしもらえることはよくあり、しかももらってもあまりうれしくない——そういうのが「おかんアート」の真髄だ。
http://www.art-it.asia/u/admin_ed_contri8_j/OQNqomdBcjalC2VfzFWH/
VOBO 妄想芸術劇場 セーラーマン
1990年から92年あたりのニャン2初期に、独特なタッチの投稿を繰りかえしていたイラスト職人のひとりが「セーラーマン」である。
一見しておわかりのようにセーラーマンの画風には当時、そして現在でも主流を占める漫画ふうのタッチとは正反対の、正統的なデッサンを思わせる描線や、「挿画」と呼びたい古風な雅味が認められる。フラットな画面、どろどろな陵辱シーンとは無縁の、ユーモアあふれたモチーフ。そして特に単純な背景の前でポーズを取る全裸女性たちに見られる、ただただ描くことの純粋な悦び。それはほとんど、画材の使い方を覚えた少年が、胸の奥に秘めた欲望をはじめて紙上に発散したスケッチブックのようだ。
http://vobo.jp/mousou28.html
田上允克展@銀座・画廊香月
去年もこのブログで紹介した、山口県小野田在住の画家・田上允克(たがみ・まさかつ)さんの個展が、銀座の小さな画廊で開催中です。
田上さんについては、去年の記事を参考にしていただきたいですが(http://p.tl/aLjk)、美術業界のトレンドとはまったく無縁の場所で、自分だけの世界をひっそり追求しつづけている孤高の作家。その画面には独特の優しさと、ユーモアと哀しみとが同居しています。
会場となる画廊香月は、銀座の奥野ビルという、ものすごく古風で味のあるビルの6階にあります。このビルはいまやギャラリー・ビルのようになっていて、各階にいろんな画廊が入ってます。この機会に探検してみてください。なにせ、エレベーターからして手動ですから!
田上允克スペシャル「匿された息」
11月13日〜11月27日
画廊香月
中央区銀座1?9?8奥野ビル605
03-5579-9617
2011年11月9日水曜日
VOBO妄想術劇場 山本一夫 2
色づけがなされていないぶん、こうした黒一色の作品群では、作者の思いというか妄想が、さらにナマのかたちで紙上から立ち現れているようである。ときおり添えられている解説、というか絵をパラフレーズする物語ようなものも、そのアブノーマルな感覚を強化している。
2011年11月2日水曜日
中野で注目のアウトサイダー・アート展開催中!
昨年パリで開かれ、記録的な入場者数で話題になった『アール・ブリュット・ジャポネ』展に出展した、我が国のアウトサイダー・アーティスト15人による、70点におよぶ作品がただいま中野で展示中です。
中野サンプラザ 1Fロビー 10月29日〜11月7日
サンモール商店街 空中ギャラリー 11月1日〜15日
中野ブロードウェイ 階段ギャラリー 11月3日〜23日
と会場・会期がわかれていますが、すでに評価の定まったアーティストたちの作品がまとまって見られる、東京都心部では希有なチャンスです(こういうのはいまや、地方美術館のほうが熱心ですからねー)。5日には午後から夜まで、レクチャーやフィルム上映など、さまざまなイベントも予定されているようなので、興味ある方はぜひ! 美術館という閉ざされたシリアスな空間ではないぶん、かえって楽しいかも。
主催:社会福祉法人 愛成会(地元・中野で障害者支援施設などを運営している団体です) http://www.aisei.or.jp/
中野サンプラザ 1Fロビー 10月29日〜11月7日
サンモール商店街 空中ギャラリー 11月1日〜15日
中野ブロードウェイ 階段ギャラリー 11月3日〜23日
と会場・会期がわかれていますが、すでに評価の定まったアーティストたちの作品がまとまって見られる、東京都心部では希有なチャンスです(こういうのはいまや、地方美術館のほうが熱心ですからねー)。5日には午後から夜まで、レクチャーやフィルム上映など、さまざまなイベントも予定されているようなので、興味ある方はぜひ! 美術館という閉ざされたシリアスな空間ではないぶん、かえって楽しいかも。
主催:社会福祉法人 愛成会(地元・中野で障害者支援施設などを運営している団体です) http://www.aisei.or.jp/
2011年10月26日水曜日
VOBO妄想芸術劇場:山本一夫 1
山本一夫はオムツ・マニアである。『おむつ倶楽部』のような専門誌ならともかく、『ニャン2』のようにノーマルな(?)エロ投稿誌では、稀少な投稿者だ。
山本一夫が一貫して描くのは、オムツを当てられた女性。それもバレリーナ、フィギュアスケーター、新体操選手、花嫁など、若く可憐な娘たちが、舞台で、スケートリンクで、結婚式場でと、ありえない空間でオムツ姿をさらし、おもらしを目撃されるというシチュエーションに、激しくこだわりつづけてきた。
一見しておわかりのように、山本一夫の画風は稚拙と言えるほどにナイーブだ。ぶっきらぼうな輪郭だけであらわされた身体。責める側も、責められる側も徹底的に無表情であり、凍りついたように画面に動きが感じられない。これを技量のつたなさと切り捨ててしまうと、山本一夫の絵から滲み出る、なんとも言えない魅力がわからないことになる。
この一連の作品を見て、瞬間的にクロソウスキーを想起する方もいらっしゃるだろう。フランスの思想家ピエール・クロソウスキーはバルテュスの兄としても、マルキ・ド・サドやニーチェの研究家としても知られているが、彼にはまた『ロベルトは今夜』という不思議にエロティックな小説がある。
クロソウスキーにとって、山本一夫にとって、絵画の習熟度とか、完成度というものは、なんの価値もないのだろう。彼らが描きたいのでは一枚の絵ではなく、描かれるべきひとつの物語なのだから。それは技術者の図面のようでもあり、子供がこっそり落書きする性交図のようでもある。
今週・来週の2回にわたって、この知られざるオムツ画家の作品を紹介する。今週はカラーのシリーズをまとめて、来週はまた独特の味があるモノクロームの作品群をお見せしよう。
山本一夫が一貫して描くのは、オムツを当てられた女性。それもバレリーナ、フィギュアスケーター、新体操選手、花嫁など、若く可憐な娘たちが、舞台で、スケートリンクで、結婚式場でと、ありえない空間でオムツ姿をさらし、おもらしを目撃されるというシチュエーションに、激しくこだわりつづけてきた。
一見しておわかりのように、山本一夫の画風は稚拙と言えるほどにナイーブだ。ぶっきらぼうな輪郭だけであらわされた身体。責める側も、責められる側も徹底的に無表情であり、凍りついたように画面に動きが感じられない。これを技量のつたなさと切り捨ててしまうと、山本一夫の絵から滲み出る、なんとも言えない魅力がわからないことになる。
この一連の作品を見て、瞬間的にクロソウスキーを想起する方もいらっしゃるだろう。フランスの思想家ピエール・クロソウスキーはバルテュスの兄としても、マルキ・ド・サドやニーチェの研究家としても知られているが、彼にはまた『ロベルトは今夜』という不思議にエロティックな小説がある。
ジャンボ機の客室でスチュワデスにオシメを替えられる。
クロソウスキーにとって、山本一夫にとって、絵画の習熟度とか、完成度というものは、なんの価値もないのだろう。彼らが描きたいのでは一枚の絵ではなく、描かれるべきひとつの物語なのだから。それは技術者の図面のようでもあり、子供がこっそり落書きする性交図のようでもある。
敵側にとらわれたプリマバレリーナは、両足首に鉄のくさりをつけられ、
レーザー光線が股間に迫る。高圧浣腸を受けながら、死の予感がする。
今週・来週の2回にわたって、この知られざるオムツ画家の作品を紹介する。今週はカラーのシリーズをまとめて、来週はまた独特の味があるモノクロームの作品群をお見せしよう。
2011年10月12日水曜日
おかんアートに首っ丈
メインストリームのファインアートから離れた「極北」で息づくのがアウトサイダー・アートであるとすれば、もうひとつ、もしかしたら正反対の「極南」で優しく育まれているのが「おかんアート」。その名のとおり、「おかあさんがつくるアート」のことです。なにそれ? と思うひともいるでしょうが、たとえば久しぶりに実家に帰ると、いつのまにか増えてる「軍手のうさぎ」とか、スナックのカウンターにある「タバコの空き箱でつくった傘」とか、ああいうやつです。
どこにでもあって、だれからもリスペクトされることなく、作者本人もアートとはまったく思わず、売ったり買ったりもできず、しかしもらえることはよくあり、しかももらってもあまりうれしくない——そういうのが「おかんアート」の真髄であります。
もともと「おかんアート」が世に出たのは、2003年に2チャンネルなにに立てられた「脱力のオカンアートの世界」と題されたスレッドだと思います。このスレッドへの投稿は、まだ過去ログがまとめて見られるようになっていて、実に珠玉としか言いようのない作品がたっぷりアップされているのです(http://www.geocities.jp/loveokan/okanart/)。
プロのアート作品にも、アウトサイダー・アートにすら存在しない、一種独特の破壊力については、来週アップするウェブ連載「Art It Web ニッポン国デザイン村」で詳しく論じる予定ですが、今回ご紹介したいのは神戸の下町である兵庫区、長田区の魅力を再発見しようというグループ「下町レトロに首っ丈の会」が去年発行した『おかんアート』なる作品集&ガイドブック。
『おかんアート』入手先:
【店舗販売】
海文堂書店(神戸元町商店街にある老舗書店)
〒650-0022
兵庫県神戸市中央区元町通3丁目5番10号
電話:078-331-6501
FAX:078-331-1664
http://www.kaibundo.co.jp/index.html
クレープと駄菓子の店「淡路屋」(下町レトロに首っ丈の会総本部)
〒652-0864
兵庫県神戸市兵庫区笠松通7-3-6「淡路屋」
電話&FAX:(078)671−1939
http://awajiya.ko-co.jp/c6198.html
【通信販売】(メールかお電話でお申し込みください!郵送させていただきます)
下町レトロに首っ丈の会
citamatiretro@yahoo.co.jp
http://citamatiretro.com
電話&FAX:(078)671−1939
どこにでもあって、だれからもリスペクトされることなく、作者本人もアートとはまったく思わず、売ったり買ったりもできず、しかしもらえることはよくあり、しかももらってもあまりうれしくない——そういうのが「おかんアート」の真髄であります。
もともと「おかんアート」が世に出たのは、2003年に2チャンネルなにに立てられた「脱力のオカンアートの世界」と題されたスレッドだと思います。このスレッドへの投稿は、まだ過去ログがまとめて見られるようになっていて、実に珠玉としか言いようのない作品がたっぷりアップされているのです(http://www.geocities.jp/loveokan/okanart/)。
プロのアート作品にも、アウトサイダー・アートにすら存在しない、一種独特の破壊力については、来週アップするウェブ連載「Art It Web ニッポン国デザイン村」で詳しく論じる予定ですが、今回ご紹介したいのは神戸の下町である兵庫区、長田区の魅力を再発見しようというグループ「下町レトロに首っ丈の会」が去年発行した『おかんアート』なる作品集&ガイドブック。
神戸と言っても兵庫区、長田区のあたりは、いわゆるオシャレ・タウンとしての神戸イメージとはそうとう異なる、渋みたっぷりの街並みがいまだに色濃く残っていて、下町人情にあふれています。そういう場所でスクスクと育った「おかんアート」に魅せられた隊員たちが、作品を探し、その作者を捜し、作り方を教わり、見られる場所の地図を作り・・詳細なフィールドワークの末に完成させたのが、この一冊。「神戸おかんアート・ディクショナリー」と呼ぶべき労作です。
前述したように、詳しくは来週の連載ページでお話ししますが、作家紹介あり、作り方講座あり、ガイドページありと、これを持って神戸を歩くことを考えただけで、顔がほころんでくる一冊。アマゾンで入手できるわけではないので、ちょっと手がかかりますが、メールか電話一本ですむので、ぜひコンタクトしてみてください。
そして! 今週末の14日(金)から16日(日)までの3日間、神戸元町の海文堂書店にて、『神戸下町おかんアート展』が開催されます。首っ丈の会がセレクトした傑作おかんアートを展示するほか、重要作家たちによる「手作り教室」も各種開かれるようなので、週末関西にいるひとは、覗いてみるべし。だって「村井さん御夫婦による、牛乳パックと古切手を使った小箱教室」とか、「水上さんによる小さな折り紙の傘づくり教室」とか、「香坂さんによる、おしぼりタオルで犬を作っちゃおう教室」とか、書き写してるだけで微笑せざるを得ないラインナップ。みなさんも師匠に教えてもらった破壊力たっぷりの「おかんアート」を、いやがる友達に無理やりぷれぜんとしちゃいましょう!
『おかんアート』入手先:
【店舗販売】
海文堂書店(神戸元町商店街にある老舗書店)
〒650-0022
兵庫県神戸市中央区元町通3丁目5番10号
電話:078-331-6501
FAX:078-331-1664
http://www.kaibundo.co.jp/index.html
クレープと駄菓子の店「淡路屋」(下町レトロに首っ丈の会総本部)
〒652-0864
兵庫県神戸市兵庫区笠松通7-3-6「淡路屋」
電話&FAX:(078)671−1939
http://awajiya.ko-co.jp/c6198.html
【通信販売】(メールかお電話でお申し込みください!郵送させていただきます)
下町レトロに首っ丈の会
citamatiretro@yahoo.co.jp
http://citamatiretro.com
電話&FAX:(078)671−1939
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