2009年12月24日木曜日

今週のベスト・・・レント? 大阪ど真ん中で家賃9000円!

先週、一部ネット住人のあいだで話題になった物件がこれ、大阪日本橋のワンルーム・マンションで、家賃がなんと9000円! 敷金・礼金ナシ! 管理費無料! そして広さが1.6平米・・・って、タタミ1畳じゃないですか! むかし「TOKYO STYLE」という本を作ったときに、「立って半畳、寝て一畳が禅の世界観」なんてことを書いた覚えがありますが、しかしそれがコンセプトじゃなくて、現実にあったとは!


大阪の日本橋といえば、東京の秋葉原あたりの感じで、もろにど真ん中。交通至便。そういえばこれもむかし「KANSAI STYLE」という連載を週刊アスキーでやっていたときに、同じ日本橋で3畳ひと間に住む、売れない芸人さんの部屋を取材したことがありましたが、この一畳間にくらべれば、豪邸ですよねえ。

しかしこれ、いったいどうやって生活するんでしょう。住居というより、ほとんど拷問? 取り扱い不動産屋のウェブサイトをさっき見てみたら、もうなくなってしまってました。もしかして、すでに借り手がいたってこと!? どんなひとが借りたのか、気になります。ま、そのうちテレビ局とかがやるんでしょうが。

ちなみに近隣の最安駐車場は月3万円だそうです・・・涙。

今週のスナック(最終回!):荒木町ラヴ



都心でありながらオシャレ度ゼロ、下町っぽいというか、オヤジっぽい空気が非常に居心地よい四谷荒木町。なかほどにある古びた雑居ビルの、泥酔してたら確実に足を踏み外しそうな階段を3階まで上ると、扉の向こうに出現するのはサンタフェあたりのカフェのような、小さいけれどスタイリッシュな空間。アースカラーとアメリカ、メキシコの雑貨が織りなすインテリアは、荒木町というより代官山あたりに来ちゃった感じだ


四谷に生まれ育ち、両親も以前は荒木町、現在は銀座でクラブ経営という、いわば水商売ファミリーの家系に育った若きママ。もともとインテリア・デザインが好きで仕事を始めたものの、ポリネシアン・ダンスにハマって(ハワイアンじゃなくて)、厳しい修行を経てプロ・ダンサーに転進。例の腰ミノにココ椰子のブラといういでたちで、10年近くも踊っていた。

荒木町に小さな場所を見つけて、店を開いたのは9年前のこと。最初は大皿を並べるカジュアル・レストランだったのが、「お客さんが食べ終わってもぜんぜん帰ってくれなくて」、ほどなくスナックに業態変更。それがうまくいって、いまでは常連さんで夜毎にぎわっている。

東京右半分:浅草アミューズ・ミュージアム


東京の美術館といえばまず上野だが(だったが?)、あんなに大きくて有名じゃない、でもピリリと鋭いミュージアムが、右半分にはたくさん隠れている。フルコースじゃなくて、単品料理をハシゴしながら味わうミュージアム・ホッピング。第1回は浅草にオープンしたばかりのアミューズ・ミュージアムを取り上げました。

浅草の中心である浅草寺。重要文化財になっている二天門のすぐ脇に、『アミューズミュージアム』がオープンしたのは今年11月のこと。名前が示すとおり、運営母体になっているのは、あのアミューズ。サザンオールスターズからポルノグラフィティからパフュームまで抱える、一大音楽プロダクションである。
築44年、もともと結婚式会場として建てられたものが、転々と店子がかわったあげく、デベロッパーに買い取られて再開発されるはずが、金融ショックで廃墟化、3年以上シャッターgままだったのを、アミューズが買い取ったのが今年3月のこと。ずっと東京の左半分から流行を発信しながら、「浅草には芸能の神様がいるんだから!」という、アミューズの創立者である最高顧問・大里洋吉さんの独断だったという。

アミューズ・ミュージアムの展示の核となっているのは、去年出版した『BORO―つぎ、はぎ、いかす。青森のぼろ布文化』(2008年、アスペクト刊)で紹介した、青森在住の在野研究者・田中忠三郎さんの貴重なコレクション。まさか浅草で、あの「ぼろ」が展示されることになるとは、想像もしなかった。
エンターテイメント企業が運営しているだけあって、アミューズ・ミュージアムは、いわゆる「美術館」とはずいぶんテイストがちがう。ショップあり、はかま姿で織物の実演をしてくれる「織り姫」もいれば、ショップもカフェも、おまけにミュージアムが閉館する夕方から、翌朝まで営業するという、秘密めいたバーまである。展示されている「ぼろ」も、ひとつずつ触って、その存在感を自分の手で確かめることができる

ケレン味に満ちた、アカデミックな研究家だったらドン引きしかねない、そんな展示空間。でも、アカデミックなミュージアムがいままで完全に無視してきた、青森の極貧の農民たちが生んだ真のストリート・アートに、救いの手をさしのべたのもまた、アミューズのようなエンターテイメント企業だけなのだ。




アミューズ・ミュージアム公式サイト:

ワンダーJAPAN 珍済州島紀行:セックスミュージアム

韓国の西南端の海上に浮かぶ済州島は、朝鮮戦争が終結して世情が安定したころから、韓国人カップルの新婚旅行先として人気ナンバー・ワンになった。1989年に海外旅行が全面自由化されるまで、韓国人にとって海外への新婚旅行は高嶺の花だったし、気候が温暖で距離も手近、島民性も穏やかな済州島は、かっこうのハネムーン・スポットだったのだ。統計によれば1970年ごろから1995年まで、済州島は新婚旅行市場の占有率第1位の座にあり、96年にはじめて海外旅行に1位を奪われたものの、97年お経済危機によって、ふたたび新婚さんたちは済州島に戻ってきて、いまだに1位をキープしているらしい。





そのように淡い桃色の発情気分がやさしく島を包む済州には、さすがというべきか3つもセックス・ミュージアムがある。ソウルにも、釜山にもひとつもないのに。空港に近い北側にある<済州ラブランド>、南西のビーチ・エリアにある<健康と性の博物館>、そしてなんとワールドカップ・サッカーのためにできたスタジアム内にある<性文化博物館>だ。今回はそのうちラブランドと、健康と性の博物館の2ヶ所をご紹介する。







アサヒ芸能連載:水森かおり




当代「ご当地ソングの女王」水森かおり。今年も間もなく、紅白歌合戦で『安芸の宮島』を熱唱する姿が見られるはずだ。
水森かおりの歌う女は、いつも恋に破れて旅する女である。「ご当地ソング」というよりも、「旅うた」と呼ぶほうがふさわしい、傷つきさまよう女のこころをうたう歌。1999(平成11)年の『竜飛岬』をスタート地点に、その旅は『尾道水道』→『東尋坊』 →『鳥取砂丘』 →『釧路湿原』 →『五能線』 →『熊野古道』 →『ひとり薩摩路』 →『輪島朝市』と10年かかって、今年もまだ傷心のまま『安芸の宮島』にたどりついた。
演歌と呼ぶにはずいぶん透明な声で、そんなに苦しい女ごころばかりを、もう15年以上歌ってきた彼女を、テレビ画面ではなく、いざコンサートで観てみると、歌のイメージと本人のギャップに唖然とする。とにかく元気なのだ、このひとは。




アサヒカメラ『今夜も来夢来人で』:千葉



巨大なスーパーやファストフード店が並ぶ郊外風景の中に、ポツンと店をひらく千葉市緑区のスナック来夢来人。昭和60年に柴田久子ママが始めて、もう24年目、「わたしの前に4年間、別のママがやってましたから、店としてはもうすぐ30年ですねえ」という老舗スナックだ。「代替わりしても、飲みに来てくれるお客さんがけっこういました。飲むお客さんって、猫と同じかもしれませんねえ、人よりも家につくっていうか」・・・なるほど。



住民の高齢化にあわせて、5、6年前からは昼カラオケも営業開始。ご近所の歌自慢が集まるようになって、いまは週に2日、歌の先生も常駐。中には自分の歌をかたちにしたいひとも出てきて、先生が作詞作曲、録音してオリジナルCDを作成。つまりはスナック来夢来人からCDデビューという自主制作盤歌手が、もう16人ほどにもなった。壁にはそんなオリジナルCDがずらりと並び、ヒット曲連発のレコード会社の社長室みたいな雰囲気だ。



紀伊国屋書店『scripta』:『建築写真文庫』


いま紀伊國屋書店各店で配布中の『scripta』で、さきごろ刊行した『SHOWA STYLE』のもとになった『建築写真文庫』生みの親・北尾春道さんについて書いています。『SHOWA STYLE』のあとがきでも書いているのですが、145巻もの写真文庫をほとんどひとりで撮影・取材・編集・デザインまでやりとげた、すさまじくクリエイティブなエネルギーには、ほんとに勇気づけられます。『SHOWA STYLE』ともども、機会があったらご覧ください。


2009年12月16日水曜日

上海スタイル:第6回アップしました!



「家賃2000元(約2万5000円)、台所、シャワー、トイレ共同」の狭い部屋に暮らす若夫婦」と聞いて、案内された先はピカピカ新築の、見るからに豪華な高層マンション。ここですか~! と驚いていたら、中に案内されて二度びっくり。豪華な部屋のドアを開けると、そこは学生寮のように仕切られた小部屋が4つも5つも並ぶ、「アパートの中のアパート」だった。



建築ラッシュで、建てたものの入居者の確保に苦労するようになった上海の豪華マンションでは、こうして所有主が物件を細かく区切って、高い家賃を払えない若者や外国人に貸すケースが増えているのだという。




地下鉄4号線で上海中心部から南に下った郊外住宅地にある、2008年建造のこの物件も、そうした典型的な例。もともと豪華マンションだから、市内中心部の古いアパートに較べて、セキュリティははるかにしっかりしているし、トイレやシャワーなどの共用部分はきれいだし、掃除のサービスは入るし、住宅地だからカルフールなど巨大スーパーもあって、住むにはかなり便利な環境なのだ。






東京右半分:北千住ハイファイ・クルーズ 後編



「保証金とかはこっちのが安いですけど、月家賃だったら、いまは都心より北千住のほうが高くなっちゃってるぐらいなんです」と、わかば堂のカウンターから出てきた島川一樹さんは言った。昔からの中高年客に加えて、若い客層がこのところぐっと増えてきた北千住は、業界の見方によれば「都心よりも確実に集客が見込める街」なのだそう。

先週紹介した『コズミックソウル』を皮切りに、『わかば堂』、『萌蔵』、『あさり食堂』、『南蛮渡来』、『でんでら亭』と、いまや6軒の飲食店舗を展開する島川さんにとっても、「もう、これ以上店を出したくっても、物件が見つからない」くらい、北千住はいま、活気にあふれている。
「倍音バー」という肩書き(?)がつくほどの”音神社”になってしまった『コズミックソウル』を頂点に、島川さんの店のほとんどには小松音響製の真空管アンプが導入され、暖かい音を鳴らしている。古くて新しい北千住の飲み屋街をハシゴする「真空管ツアー」、最後は『コズミックソウル』で締めるとして、君ならどの店からスタートして、どんなふうにクルーズするだろうか。


 わかば堂前の路地


 あさり食堂の釜炊き御飯!


 でんでら亭の真空管アンプ


 南蛮渡来の入口


演歌よ今夜も有難う:難病と闘いながら歌いつづける、車椅子の演歌歌手・木田俊之さん



熱いみそ汁 炊きたて御飯
どこに不満の 種がある
広い世界にゃ 水一杯に
両手あわせる人もいる
お前・・・なるなよ 弱虫に   
『こころ』木田俊之・歌

青森県弘前市を拠点に活動する演歌歌手・木田俊之を、青森県人以外で知っているひとは少ないだろう。しかしすでにシングル2枚、全曲集1枚を発売し、地元メディアにもしばしば登場する有名シンガーだ。



木田俊之は、車椅子でうたう歌手でもある。筋ジストロフィーという難病に冒され、病魔と闘いながらの音楽活動を続けているからだ。愛妻・智恵子さんと二人三脚で、スナックから老人ホームまで、祭りの舞台からコンサートホールまで、呼ばれればどこでも出かけていく。

そしてその歌声はどこまでも明るく力強く、のびのびとすがすがしい。ステージでは地元言葉の軽妙なトークで、客席を笑いの渦に巻き込む。録音だけ聞いていたら、とても難病に苦しむ人間とは信じられない、そんなエネルギーを声から、からだから放つ希有なシンガーだ。



今週のスナック:銀座ちゃこ



銀座のど真ん中。日本でいちばん高級なクラブが集まるエリアの、高そうな店と、高そうなおねえさんばっかりいそうな飲食ビルの8階に、「ここ銀座ですか?」と突っ込みたくなる、家庭的で居心地よさ満点の店がある。




<スナックちゃこ>の松山尚子(ひさこ)ママは、とてもそんなふうは見えないけれど、もう30年近く銀座で働いている、生粋の「銀座のおんな」。そして、この連載にいままで登場してくれたママさんやマスターの中で、たぶんただひとり、インターネットで検索するとウィキペディアとかで名前が出てくるひとでもある。ママはもともと、テレビ、映画、舞台で活躍する女優でもあるのだ。だから店を手伝う女の子たちも、ほとんどは女優さんや、女優の卵。みんなきれいで、かわいらしい(もちろんママさんも!)。



昼は女優、夜は銀座のママというふたつの顔を持って、いつもカウンターの中で元気いっぱいに飲んで歌って笑って、それで次から次へと手作りの料理を出して、お腹が空いてたら豚汁やカレーライスまで出てくる。銀座の中心で、そんなアットホームが雰囲気が味わえるのだから、<ちゃこ>はいつでも常連さんで満員だ。

アサヒ芸能連載:八代亜紀 後編



今週の演歌シリーズは、八代亜紀さんの後編。1971年、それまでの銀座の超売れっ子クラブシンガーの座を捨て、新人歌手としてレコード・デビューしたものの、まっていたのはあまりにも厳しい茨のみち。たったひとり、重い荷物を担いで地の果てまでドサまわり。レコードを手売りで売っても、マネージャーが代金を持ち逃げ。どうしようもなく追い詰められて、最後に選んだ賭け、それがテレビ番組『全日本歌謡選手権』への出場だった。アマチュアとプロが同じ舞台で競い、失格すればそのままプロ失格の烙印を押される過酷なチャレンジで、不遇の天才歌手・八代亜紀はついに十週勝ち抜き、再デビューへの道をみずから切りひらく! 
八代亜紀、怒濤の半生の後編、正座して読んでください!!!

2009年12月8日火曜日

西荻窪でトークのお知らせ:12月13日(日)


西荻ブックマークというイベントが、実はもう37回も開かれているそうなのですが、こんどの日曜、『都築響一トークイベント 旅と演歌とデザインと』という題目で、トークをすることになりました。ぜんぜん内容を考えてないのがバレバレのタイトルですが、ちょうど新刊も2冊出たところなので、いろんなお話ができると思います。100名限定だそうなので、申し込みはお早めにどうぞ。午後5時開演で、会場は「こけし屋別館2階」。渋い店名ですが、オシャレなフランス料理とお菓子の店で、益から徒歩すぐです。

詳しいことは、以下のサイトからご覧ください。今月はこれが最後のトークになると思うので、お会いできるの楽しみにしています。


http://nishiogi-bookmark.org/2009/nbm38/

今週のスナック:湯島エスペロ


ただでさえごちゃごちゃ入り組んだ飲み屋街に、夜ともなればアジア女性と客引きが競うように酔客にすり寄って、いまや歌舞伎町よりスリリングかつデンジャラスな雰囲気をかもしだす湯島かいわい。そのただなか、雑居ビルの2階。なかなか入りにくいが、しかしかわいらしいギターの看板が、一歩踏み出す勇気を与えてくれる<スナック・エスペロ>。上野、湯島界隈でながく店をやってきた和田マスターが開く、一見ふつうのスナック、実はマスターの超絶スパニッシュ&ボサノバ・ギターが堪能できる、ギター好きにはたまらない隠れ名店であります。



若いときから苦労を重ねつつ、単身スペインに渡ってギターの腕を磨いたマスターの、溜め息の出るようなギター・テクと、渋い歌声。そして気遣いにあふれたトーク。もちろん通信カラオケもあるけれど、ここは生ギターの響きの美しさを、お酒とともに一夜、思う存分味わい尽くしたい店なのだ。



アサヒ芸能連載:八代亜紀 前編




先週から始まったアサヒ芸能の短期連載、今週はいよいよ、八代亜紀さんです。これくらい作家にも写真家にも書かれ、撮影された歌手はいないんじゃないかと思うくらい、いままでたくさんの人間を魅了してきた彼女。お会いしてみて、その秘密がわかったというか。とにかくすばらしいひとでした。そして、あまりに波瀾万丈な半生。しかも来年60歳というのに、バリバリ現役。すごい、のひと言です。


いつもは毎週、ひとりずつ歌手を取り上げるのですが、八代さんだけは特別に2回に分けました。限られた字数で、そのライフヒストリーをお伝えするのはほとんど不可能なのですが、もし気に入ってもらえたら、彼女の自伝や、ほかの人たちが書いた伝記も探してみてください。いまならたくさん、手に入ります。





東京右半分:北千住ハイファイ・クルーズ 前編


北千住駅西口を出て左側の、巨大な飲食街のただなかで、いま6軒の飲食店舗を展開する、若い兄弟がいる。兄の島川一樹さんと、弟のシマカワコウヂさん。生まれ育った長崎から中学時代に北千住に引っ越してきた。

 兄弟ふたりで最初に作った店が、1997年開店の『コズミックソウル』。名前はニューエイジふうだが、中味はショット売りのカクテルバー。ソウル・ミュージックを流しながら、ひたすら酒のうまさを追求する、渋いオトナのテイストだった。

 開店から1年半ほどで、兄の一樹さんは他店舗の経営に乗り出し、コズミックソウルは弟のコウヂさんに任されることになる。そのときコウヂさんは20歳。

 若きマスター・バーテンダーに転機が訪れたのは、2001年のこと。それまで楽器など触ったこともなかったこともなかったコウヂさんだが、いきなりギターを始めて、50日ほど練習したあと、初めて人前で歌ったら、「歌はともかく選曲がいい!」とみんなに誉められて、「でも自分では、”いい”という言葉しか頭に残らなくて、ほめられた~~~!って思っちゃって、それから勘違いして、どんどん音の世界に入っちゃったんです」。

 音に目覚めたコウヂさんのもとには、いつしかさまざまな民族楽器や演奏家が集まるようになり、おしゃれなカクテルバーは、どんどん「音神社」化していった。モンゴルのホーミーを練習するようになって、店も「倍音カフェ&バー コズミックソウル」に改名。お兄さんも呆れるペースで、エキセントリックかつ濃密な「音と酒の空間」に変身している。



コズミックソウルの、もうひとつの自慢は、渋谷区笹塚のラボから手作りの真空管アンプを世に出している、小松音響研究所(http://blog.komatsuonkyo.com/)による、特注サウンドシステムだ。サウンド・アーティストの友人に紹介されて、その暖かくリアルな音にひと目(耳)ぼれ。本来は、特注でシステムを組んでもらうお金の余裕はとうていなかったけれど、熱意で小松さんを動かし、店にちょうどいいシステムを作ってもらった。



いまではコズミックソウルから、小松音響研究所製の真空管アンプは、兄弟が手がける他の店舗にも広がっている。立ち飲み屋『南蛮渡来』でレゲエを聴きながら、まず一杯。『わかば堂』でジャズとピッツァとワイン。『あさり食堂』で釜焚きのご飯や『でんでら亭』でお総菜をつまみながら、スタンダードに酔う。こんな「真空管アンプ・ツアー」が北千住の、それも歩いて2、3分圏内で、できてしまうのだ。表参道でもなく、代官山でも中目黒でも下北沢でも吉祥寺でもなく、「オヤジの町でしょ」と言われつづけてきた北千住で。

 今週はそのベースキャンプであるコズミックソウルを、来週はほかの「真空管アンプの店」を訪れてみる。


http://www.chikumashobo.co.jp/blog/new_chikuma_tuzuki/


『銀座百点』でカラオケ座談会


店のカウンターに置いてあると、つい手に取ってしまう『銀座百点』。聞いてみたら昭和30年創刊だそうで、すごい長寿雑誌というか、フリーペーパーの元祖なんですね。


銀座百店会という、銀座の老舗が集まってできた組合の会報誌である『銀座百点』、およそ僕なんかとは関係のない、グッドテイストな雑誌だと思っていたら、なんとこないだ座談会に呼ばれてしまい、それもテーマが『達人のカラオケ文化論』、それも座談のお相手がアナウンサーの鈴木史朗さんと、藤原新也さん! まるで格の違うおふたり相手に、僕なんかがなにをしゃべればいいんでしょう・・・という感じでしたが、予想外に楽しい座談になって、それが今月号に掲載されています。


鈴木史朗さんは歌謡番組の司会を長く務め、ご自分でCDも出されているほどの歌自慢。藤原新也さんのほうも、作風とはぜんぜんちがいますが(笑)、実はすばらしい歌上手。松田聖子とか歌わせたら、絶品です。そういうカラオケ通の(僕だけちがいますが)オヤジ談義、ご笑覧ください。『銀座百点』は、銀座のお店でけっこう見つかりますが、探せなかったひとは編集部のウェブサイトがあるので、お問い合わせを。雑誌を置いてある百店会のマップも載ってます。


http://www.hyakuten.or.jp/

今週のマスト・バイ:月刊カラオケファンとCD『演歌師稼業』

ちょっと前に連載をさせてもらっていた、月刊カラオケファンというマニアックな雑誌があるのですが、いつもは氷川きよしとか、メジャーどころの特集ばかりなのに、今月の巻頭特集はなんと『演歌流しの今をたずねて・・・』。いまや絶滅寸前となった、街の流しを追った素晴らしいストーリーです。



たった7ページほどの特集ですが、北島三郎や渥美二郎など、演歌流しから歌手デビューした歌い手たちのインタビューもあって充実。そしてなんといっても現在、新橋でたったひとりとなってしまった現役の流し”ケンちゃん”の密着レポートが出色。もう45年もこの世界でがんばっていて、「夜7時くらいから深夜2時くらいまで仕事をします。だから寝るのは近くのサウナとかが多い。帰るところがないので、着替えは数カ所の行きつけのクリーニング店にある個人用試着室に何着か釣ってあるのです」・・・こんなひとが、まだいるんですねぇ!


流しの世界は、実は僕も前から興味があって、追いかけようと思ってたんですが、今年は新宿ゴールデン街の伝説的流しのマレンコフ(このひとは60年間も新宿で流していたそう)も、昭和30年から別府温泉を流していた名物コンビ”はっちゃん・ぶんちゃん”の、はっちゃんも亡くなってしまい、ほんとに風前の灯火です。


これもぜんぜん話題になってませんが、この3月には『演歌師稼業 街中に根付く流行歌を唄って』という、現役演歌流し5人のオリジナル楽曲を収めたCDも、ひっそり発売になってます。ケンちゃんこと須賀慶四郎さんの『烏森流し唄』を筆頭に、亀戸をベースに歌いながら、アフリカや北朝鮮でのボランティア活動にも情熱を燃やす京一夫さんの『ひとり酔い』、秋田市川反の相原旭さんの『演歌師一代』など、ほかではまず聴くことのできない、濃厚なストリート・テイストを堪能できます。両方、すぐアマゾンとかで買ってください!



2009年12月2日水曜日

SHOWA STYLE 再編・建築写真文庫:商業施設 刊行のお知らせ


古書ファンなら昭和28年から45年の17年間にわたって、145巻が刊行された『建築写真文庫』という、かわいらしい写真集シリーズをご存じかもしれません。

 ウジェーヌ・アジェが消えゆくパリを、ベレニス・アボットが変貌するニューヨークをとらえたように、日本のミッドセンチュリー・デザインをもっとも完璧にとらえた記録である、この偉大な、しかしまったく失われたまま半世紀近くがたっていた写真シリーズが、いま甦ります。版型はオリジナルと同じ四六判、しかも800ページというボリューム。全145巻のうちから商業施設に関わる79冊を選び、1200点近くの写真をスキャンしなおして、本書は制作されました。

 発行元は建築図書専門の出版社である彰国社。12月4日から書店に並びますが、一部の大書店か建築専門書店でしか見られないと思うので、内容を詳細に説明するウェブサイトをつくりました。まだ未完成ですが、解説と、70点近くの写真が見られるようになっています。ぜひいちど、ご覧ください。


http://showastyle.blogspot.com/


発行元ウェブサイト:http://www.shokokusha.co.jp/





アサヒ芸能で連載開始!歌と寝た女:香西かおり



紅白歌合戦の出場者も発表されて盛り上がる(そうでもない?)きょうこのごろ、今週から5週間にわたって、なんと週刊アサヒ芸能誌で演歌の短期連載を始めることになりました! それも今回はインディーズじゃなくて、超売れっ子女性演歌歌手シリーズ! 


その第1回目である今週は、『無言坂』でおなじめ、香西かおりさんの「密着ドキュメント」です。ドキドキしながらのロング・インタビューの成果、お読みください。週刊誌なので、すぐなくなっちゃいますから、購入はお早めに! 特集も渋いですよー(笑)。なお来週は、八代亜紀さんの登場です!!!


http://www.tokuma.jp/magazine/weekly-asagei/9031520a30a230b530d282b880fd-12-1053f7