2009年6月25日木曜日

今週のスナック:江古田コンパ

コンパ、といっても最近の若い方々にとっては、「いまどき合コンっすかぁ」ということになるんでしょうねえ。その昔、といっても2,30年前ですが、”コンパ”とは爆発的に流行した飲み屋のスタイルでありました。
 西武池袋線江古田駅から徒歩30秒。江古田コンパは、おそらく日本に現存する、ただ一軒の”コンパ”。開店は昭和43年というから、今年で41年目。建物の正面に輝くネオン看板と、電飾アーチは、まるでふた昔前のキャバレーのよう。
 チャージ300円で、500円のおつまみを一品頼むのが決まり、22時までは女性にかぎりカクテル半額!という良心的すぎる価格設定が、いかにも昔ながらのコンパ・スタイル。しかもこちらは、もはや忘れ去られつつあるカクテル文化を普及させようと、お客さん自身がオリジナル・カクテルを作って呑めるサービスまで常時実施中です。
 自分で名前をつけたカクテルレシピは、お店で大切に保存しておいてくれるから、何年後に行っても大丈夫。楽しいですよ、こういう飲みかたも!

アサヒカメラ連載『今夜も来夢来人で』:須坂



今月のスナック来夢来人は、長野県須坂市から。長野市のおとなり、かつては製糸業で繁栄しましたが、いまは静かな田舎町。スナック街のビルの中にある来夢来人は、明るいママさんと、同じく明るいお客さんたちで、週末ともなれば満員御礼。カメラを構えてると「こっち撮れ!」「もういいから座って飲め!」とか腕を引っ張られて、あーブレちゃったの失敗連続。東京のオシャレ・バーとかより、百倍楽しいです!

紀伊國屋書店広報誌SCRIPTAの書評連載 「読みびとしらず」:『中国低層訪談録』



紀伊國屋書店が季刊で配布している広報誌スクリプタで、「読みびとしらず」と題した書評を連載しています。今号で取り上げているのは『中国低層訪談録』。1958年に中国四川省で生まれた詩人・廖亦武(りょう・えきぶ リャオ・イ ウ)が、天安門事件を題材にした作品を発表したために東京に捕らえられ、4年間の投獄生活を送ったあと、獄中で習い覚えた簫(しょう=尺八式の伝統的管楽器)を手に地方を渡り歩き大道芸人として暮らしながら、巡りあった庶民の人生を聞き書きした404ページにおよぶ大部のインタビュー集です。


 浮浪児、乞食の大将、同性愛者、出稼ぎ労働者、麻薬中毒者、女遊び人、人買い、トイレ番、死化粧師、老地主、老紅衛兵、法輪功修行者、地下カトリック教徒、チベット巡礼者、破産した企業家、冤罪の農民、天安門事件の反革命分子・・・。登場する31人の”低層の人々”は、日本流の負け組や、格差社会の下部に位置する人間とは、まったく次元の異なる世界に生きる人間たち。
 『春秋』以来、中国の歴史=「正史」とは為政者たちの歴史でした。4000年にわたって中国という巨大国家を下支えしてきたにもかかわらず、まったく顧みられることのないまま、つねに「正史」の外に置かれてきた、圧倒的な数の”庶民”の生活を描き尽くす、これはオーラル・ヒストリーの偉大な成果です。メモもテープレコーダーもいっさい使わない、その取材方法も含めて、脱帽するしかない彼の壮絶な生きざまに、文筆に関わるものとして深く考えさせられました。この夏の必読書に、ぜひ!
 なおスクリプタのバックナンバーは、紀伊國屋書店のウェブサイトでも読むことができます。
http://www.kinokuniya.co.jp/02f/d05/scripta/

$今週のベスト・バイ:『裸で銅像になりきって街角羞恥露出』

お上の規制にもかかわらず、いや、むしろ規制があるおかげなのか、クリエイティブな観点から見れば、世界のトップを独走しつづける日本のAV業界。アニメと並んで、世界でもっとも愛される現代日本文化なんですから、外務省や文化庁もバックアップしてほしいもんです。
 なかでも業界最大手のSOD(ソフト・オン・デマンド)は、その名を一躍高めた『全裸』シリーズで「抜けないAV」という革命的なコンセプトを提出。エロ・マニアのみならず、現代美術愛好家をも震撼させたわけですが(新刊『現代美術場外乱闘』に詳述してあるので、ご覧あれ!)、去年の夏から「アート・シリーズ」とでも呼びたい一連の作品群が、リリースされているのをご存じでしょうか。
 有名女優が出ているわけではないので、なかなかメディアで紹介される機会がないのですが、まず去年の7月に出たのが『人間家具』。女の子たちがテーブル、椅子、花瓶に、果てはシャンデリアにまでさせられてしまうという、大変な作品です。ウェブサイトの説明を読んでみると・・・

家中の家具が『人間』だったら!?新種の特殊遺伝子が発見された人間は、捕獲、調教を経て『家具』として売られる!? そんな世界の一般家庭の生活をご覧下さい! 女性器に花や電球が突き刺さる「花瓶」や「電気スタンド」、食べ残しを処分させられる「テーブル」、あげくにトイレの「便器」で人間の尿や精液の処理をさせられる! もう完璧に『物』として扱われる女たち! わずかに残された人としての意識が、切ない表情や苦しみを微かにあらわす!

というわけですが、画像を見てみれば、これはもうまんまアレン・ジョーンズでしょう! 1960年代のポップアート・ムーヴメントの寵児だったアレン・ジョーンズは、もちろんSM的な女性のポートレートや、家具化した女体の立体作品で世界的に有名なわけです(写真はロンドン・テイトギャラリー収蔵)。
 SODの『人間家具』は、ジョーンズが”彫刻”というかたちでしか表現できなかったアイデアを、生身の、若くてきれいな女の子たちで実現させてしまった、現在進行形のポップアートと言えないこともありません(言い過ぎ?)。


『人間家具』に続いてリリースされたのが、『全裸美術館~世界で最も見たくなる美しき全裸』。今度はポップアートから一挙に美術史をさかのぼり、印象派からルネッサンスまで!、名画中の名画を、これまた生身の人間で再現。しかも「この名画の場面では、実際にどんなことが行われているのか?」までも教えてくれる、いたれりつくせりの内容。なんたってマネの『草上の昼食』から、ボッディチェッリの『ヴィーナスの誕生』まで再現しちゃうんだから、すごいですねえ。登場する女の子たちが、けっこう名画に似てるところも、泣かせます。『ヴィーナスの誕生』が誕生したのは1485年。それから500年以上たって、絵が本物になったんですねー。ちなみに内容説明は、このとおり・・・

名画の世界を高画質カメラにより実写で完全再現。名画の世界を多角的に見ることで最も美しく卑猥な全裸が表出する。そよ風にそよぐ若草のような陰毛や呼吸で微かに揺れる巨乳、細かな収縮を繰り返すアナル等、ここでしか見ることが出来ない全く新しい全裸映像をご堪能下さい。さらに名画に隠されたエロきエピソードも完全再現。名画と全裸とぶっかけとSEXのコラボレーションは必見!!









 しかし「名画と全裸とぶっかけとSEXのコラボレーション」って・・・・。そして今月、アート・シリーズの第3弾、『裸で銅像になりきって街角羞恥露出』が、満を持して(?)登場しました。これがどんな内容かといえば・・・

女の子が裸で銅像になりきって羞恥露出!本人は一般人だと思っているエキストラでいっぱいの公園でHなドッキリ企画を敢行!人目を盗んで少しずつポーズを変化させてY字バランス、感じるのをガマンしてハメながら軟体エロポーズ!小便少女になりきって公開オシッコ&大量潮吹き!笑顔の胸像…なのに台座の下では激しい手マン・クンニ、ハメられながら大注目!プルプル震える体、勃起する乳首、引きつる笑顔…どこまで羞恥心の限界に耐えられるのか!?
裸体にペイントを施し、彫刻作品に扮して公共空間にあらわれる・・・これって、現代美術ではパフォーマンス・アートで、よく見ません? 彫刻に扮するといえば、これはもうギルバート&ジョージの初期作品『シンギング・スカルプチャー』そのままだし。しかもこっちはただ突っ立ってるだけじゃなくて(ギルバート&ジョージは歌ったりしてましたが、着衣だし)、本番セックスまでしちゃうんだから。ただ脱いでみたぐらいで”アート”だとか言ってる、そのへんのパフォーマンス・アーティストにも見習ってほしいもんです。

 こういうのをエロビデと笑い捨ててしまうのは簡単ですが、ルネッサンスから現代にいたるまで、人類がいかに”芸術”という名目のもとに、エロを表現し、堪能してきたかを、このシリーズは図らずも露呈しているんじゃないかと思うわけです。
 宗教画のくびきから解放され、”芸術”の名のもとに思う存分、裸体を描く自由を得たルネッサンスの画家たち。”アート”だから、どんなに過激な作品でも美術館に飾ってもらえて、巨額の報酬も得られるようになった現代美術作家。そして、小さいころに教科書で古典の裸体画を見て「これって、なんかやらしい!」と心の中で感じつつも、やらしいと感じる自分がやらしいんだと思いこみ、思いこまされることを繰りかえしながら、”知的な美術愛好家”になっていった自分。
 もしかしたらSODって、いまいちばん挑発的な現代美術作家であり、批評者なのかもしれないですね!

世田谷ものづくり学校よりレクチャーお知らせ:今週土曜日!

廃校となった旧池尻中学校の校舎を再利用した、「世田谷ものづくり学校(IID)」の教室を使って開催中の『スクーリング・パッド』。ブック・コンシエルジュ・コースという、ちょっと恥ずかしい名前のクラスで、今週土曜日(6月27日)の夜、レクチャーをやります。
基本的にコースに申し込んでいる生徒さんのためのトークですが、事務局の人に聞いてみたら、10名ぐらいなら外部からも参加できるそう。興味ある方は、下記までお問い合わせください。
廃校の教室をきれいにリフォームして、いろんなスタジオやレクチャー・ルーム、ライブラリーが入っている、なかなかおもしろい場所です。
問い合わせ先:ブックコンシェルジュコース 担当安岡宛 
info@schooling-pad.jp
スクーリング・パッド公式ウェブサイト http://www.schooling-pad.jp/

ジュンク堂新宿店で、秘宝館ブックフェア開催中!

先週、公開トークをやらせてもらったジュンク堂新宿店で、7月14日まで秘宝館関連のブックフェアを開催中です。


新刊の写真集『秘宝館』はもちろん、以前に出版した鳥羽秘宝館のすべてを収めた『精子宮』や、自主制作の鳥羽秘宝館DVD(いまは亡き鳥羽の秘宝館内部を動画で見られるのは、おそらくこれだけです)、さらには2000年にこれまた自費出版で少部数制作された、大阪在住の天才アマチュア・ヌード・カメラマン、北村公先生の文庫版写真集も、久しぶりに蔵出し! 年月がたっているので、ノリが劣化してバラけやすくなっていますが、この機会にぜひご覧ください。
場所は新宿三越のビルの中のジュンク堂、6回のエスカレーター脇です。
http://www.junkudo.co.jp/shop2.html

2009年6月17日水曜日

今週のスナック:代々木 スナック甲斐

新宿のおとなりなのに、昔ながらのビルや住宅がちらほら残って、静かな雰囲気の代々木駅あたり。駅前の古いビルの地下で、もう38年間も営業を続けているのが<居酒屋スナック 甲斐>です。
 ものすごく急な階段をおそるおそる降りていくと、まず目に入るのがカウンターにずらりと並んだ料理の大皿。え、ここって居酒屋?と思ってしまいますが、焼酎のボトルを前に座り込んで、カラオケを熱唱するお客さんを見てひと安心。こちらはスナックなのに料理もすばらしく充実、食べて飲んで歌える、便利な店なんですね。
 壁にびっしり貼り出されたゴルフの写真やスコア表を見ればわかるように、ゴルフ狂のマスターと、山歩きが大好きというママさん。料理の手が空くと、マスターはカウンターから出てきて、ピアノをさらりと弾いてくれたりもします。外からじゃ絶対わからない、ほんとに穴場のいいお店でした。



演歌よ今夜も有難う、第3回アップしました!

今回登場してもらうのは、1978年11月13日生まれの千葉山貴公(ちばやま・たかひろ)さん。まだ30歳の若手演歌歌手です。出身は横浜市戸塚区。
昔もいまも演歌を目指す人々は、地方に生まれ育ち、テレビのノド自慢番組などを勝ち抜いて、プロへの階段を上がっていくのが常道ですが、千葉山さんは東京郊外の生まれ育ち。演歌どころか音楽全般にたいして興味のないまま少年時代を送り、京都の大学に進んで中国文学を専攻。卒業、就職活動という時期を迎えて、はじめて演歌歌手を目指したという、異色のスタート地点から登場した歌手です。


インディーズの演歌歌手というのは、どういう生活を送っているのか。どうしても気になってしまう、お金のことも含めて、すごくオープンに、じっくり語ってくれてます!

ワンダーJAPAN誌で新連載開始:珍・済州島紀行

こないだ横浜トリエンナーレで来日したアーティスト、キャメロン・ジェイミーも、「世界で唯一、買う価値のある雑誌だ!」と激賞、バックナンバーを全冊ゲットしたという<ワンダーJAPAN>。たしかに、廃墟を中心とした異空間だけで雑誌を一冊丸ごと作って、しかもそれが長続きしているなんて、日本だけかもしれません。
今月号から、そのワンダーJAPANで新連載が始まりました。『珍・済州島紀行』、その名のとおり、韓国の誇る(?)リゾート・アイランド、済州島にお笑い珍名所を探しに行く、特別企画です。

地図で見ると佐賀県と同じ緯度、面積は佐渡島の約2倍、大阪府と同じくらい。日本の主要都市から1,2時間で飛べる済州島は、韓国でいちばん大きな島。
本土とは異なる固有の歴史や言語を保持してきた済州島は、韓国人にとってもある意味、エキゾチックな場所であり、海外旅行が自由化される以前には、韓国人にとって新婚旅行のメッカでもありました。
いま、済州島を訪れる観光客は年間543万人(2007年度)。そのうち外国人は54万人あまりで、3分の1にあたる18万人が日本人。ゴルフやマリン・スポーツなどのリゾート、韓国全土で14あるうち8つが集中するカジノ、シーフード、そして韓流ドラマのロケ地めぐり・・・。
完璧なペアルックでラブラブ・モード全開の韓国人カップル、韓国女性をはべらせながら鋭い目つきでルーレット盤をにらみつける、そのスジふうの日本人男性、ロケ地で記念撮影に熱中する韓流マニアおばさま連。ものすごくバラエティ豊かなお客さんたちのために、この島にはものすごくバラエティ豊かな観光スポットが、全土にひしめいてます。その数も、密度も、そして質も(お笑い度、キッチュ度、ゆるゆる度など、あらゆる意味で)、済州島の珍名所は間違いなく韓国のトップを独走中。
ソウルでもなく、慶州でも釜山でもなく。韓国通にこそ足を運んでほしい、済州島は知られざるロードサイド・トレジャー・アイランドなのであります!

第1回は<小人国>と<ミニミニランド>という、ふたつのミニチュア・パークを取り上げます。東武ワールドスクェアみたいな完成度はないけれど、そのゆるさが心地よいというか、いい湯加減なんですねえ。こんな観光地をレンタカーで回って、夜は最高の韓国海鮮料理を堪能。それからマッサージ! もう、次のお休みはここで決まりじゃないですか!?



ガイドブック『I ♥ 秘宝館』発売のお知らせ

名古屋をベースに、廃墟や珍物件の発掘を続ける熱血集団・八画から、秘宝館ガイドブックの決定版が出ました(6月20日にウェブで先行発売・・表紙画像をクリックしてください)。タイトルは『アイラブ秘宝館』、わかりやすいですねー(笑)。
現存の秘宝館をすべてカバーしているのはもちろん、すでに閉館してしまった秘宝館も、建物が残っていれば、所有者を探して交渉、開けてもらって撮影したり、全国各地の男根祭りのような奇祭まで網羅した労作です。埃にまみれた人形が散乱する、秘宝館の廃墟なんて、ほんとにすごいです!
僕は巻頭で、2000年に閉館した鳥羽SF未来館の写真を寄稿しています。1981年の開館時にあわせて撮影されたと思われる、人形のかわりに生身の人間!をインスタレーション中に配置した、貴重な写真を掲載してありますので、ぜひご覧ください!
八画はこれにあわせ、韓国済州島の秘宝館巡りと、山梨県の石和秘宝館の廃墟を記録したDVDも2枚発売するそう。大丈夫なのか? 
ブログも情報満載、充実してるので、要チェックです。
http://www.indivision.cc/

ジュンク堂新宿店でトークのお知らせ

写真集『秘宝館』と、ガイドブック『I ♥ 秘宝館』発売を記念して、6月20日の午後6時半から、ジュンク堂新宿店でトークをやります。
「WE LOVE 秘宝館〜秘宝館文化の盛衰〜」というタイトルで、トークのお相手は日本でたぶんただひとり、秘宝館文化を大学で研究中の社会学者・妙木忍さん。
残念ながらすでに満員御礼ですが、当日来ていただければ、もしかしたら立ち見で入れるかもしれません(断られることもあるそうなので、その際はご勘弁を!)。
よろしかったら、覗きに来てください。
http://www.junkudo.co.jp/shop2.html

$今週のマスト・バイ:済州島名産?エロおちょこ

ワンダーJAPANで取り上げた済州島には、実は秘宝館というか、セックス・ミュージアムが3つもあり! ひとつなんてワールドカップのために作られたサッカー・スタジアム内にあるという無軌道ぶりですが、グッズとなると、やっぱり本家本元の、我が国の秘宝館には一歩劣るというか、ツメが甘いんですね。
でも、中にはこんな珍品もあります! 韓国伝統・青磁の雰囲気をただよわせる(ウソ)、エロ・おちょこ。立派に青スジ立てたやつが、杯の中央からにょっきり生えてます。これで焼酎とか、飲むんですかねえ、韓国の漢(おとこ)は。白濁のマッコリとかのほうが、似合いそうだけど! 
値段はたしか500円ぐらい・・微妙な価格設定でした。


2009年6月11日木曜日

今週のスナック:幡ヶ谷 より道


幡ヶ谷駅から歩いて1,2分、甲州街道から路地を入ってすぐのビルの地下にあるスナックが<より道>。何年か前の宴会帰りに偶然入ったのがきっかけで、ときどき遊びに行かせてもらってるお店です。
外からはわからないけれど、入ってみれば奥が広くて、大人数でも大丈夫。それなのにママさんがひとりで切り盛りしてるので、忙しいときは常連さんたちが自主的に手伝ってくれる、すごくアットホームな雰囲気が居心地よし。カウンターだけの小さなお店だと、どうしてもお客さん同士が気を遣うけれど、これだけスペースがあると、あっちとこっちで関係なく、気軽に飲んだりおしゃべりしたりできる。
小さなスナックの親密感と、大きなバーの気楽さが、ほどよく混じり合ったサイズ。グループ飲みには、こういう場所がいちばんいいんですね。


『デザイン豚よ木に登れ』『現代美術場外乱闘』発売されました!

2000年から2006年まで、デザインとアートについて書かれた連載記事を2冊にまとめた書籍セットが、洋泉社から発売されました。編集者の小関学くんと、洋泉社の担当・雨宮郁江さんが、1年がかりでじっくり、ねっとり作ってくれた、渾身の労作であります!
『デザイン豚』では、おもにデザインの分野に関わるものを、隔月誌『アイデア』に2000年3月号から2007年9月号まで、37回にわたって連載された『デザイン豚よ木に登れ』から収録。
『場外乱闘』のほうは、2004年1月号から2006年10月号まで、12回にわたって季刊美術誌『Art It』に連載された『現代美術場外乱闘』に、『アイデア』の連載からアート寄りの記事を加えたものです。
各巻の内容は以下のとおり。なるほどと納得していただけるもの、そうだったんだ!と驚いていただけるもの、あるいは異論反論いろいろありましょうが、とにかく51本すべてが取材に基づく現場からのリポートであって、エッセイでも評論でもありません。いまはもうなくなってしまった場所、見られない作品もたくさんありますので、とりあえず資料性は高いのではないかと思います。書店の店頭で、ぜひご覧ください!
これから夏にかけて、広報のために公開トークやレクチャーもいくつか予定しています。決定しだい、このブログでお知らせしますので、ふるってご参加くださいませ。


『デザイン豚よ木に登れ』

かっこいいデザインって、なんでかっこわるいんだろう。
かっこわるいデザインって、なんでかっこいいんだろう。

見た目の懐石料理より、ドンブリみたいに腹にずしりとくるデザインが食べたい。
音階練習してるヒマがあったら、コード3つ覚えてオリジナル曲をがなる、そんなパンクスみたいな気合いが、いまのデザイン業界にはちっともないじゃないか。
いいんだよ、仕上がりなんて。どうせ、かっこつける柄じゃないし。「デザイナー」なんて肩書き持たないやつらのほうが、こんなにパワフルなの作ってるのに。
どうする? ちまちま直し入れたりしてる場合か? 似合わないお洒落さん気取って、退屈じゃないの? ほんとに?

1 お色気手帖
2 描き文字のエクスタシー
3 世界残酷デザイン物語
4 『アムール』を読んでいるあの女はこんなSEXをしている
5 ”お通し”という名の前戯
6 30センチ角のイコン
7 南の国の地獄巡り
8 1963年のバンコク・ジャパニーズ
9 人工色の真実
10 ナッシュヴィルの活版印刷屋
11 エアブラシの偉人たち 前編
12 エアブラシの偉人たち 後編
13 日本のグラフィティの元祖——水森亜土
14 発明とヌードの人生——ラヴァランプ40周年によせて
15 機能する彫刻
16 ミクロファンタスティック——電子顕微鏡の世界
17 ジャパニーズ・ポップはアフリカの仮面なのか
18 携帯電話の改造道
19 葉が茂り、実がなる家具——時間をデザインするライフファニチャー
20 タートルネックの男
21 3.8ポイントの叙情詩
22 点取り占い
23 ヘタヘタ手描きジャケットの孤高の世界
24 横好きの幸福
25 切り抜かれた極楽——94歳の現役スクラッパーを訪ねて



『現代美術場外乱闘』

かっこいいアートって、なんでかっこわるいんだろう。
かっこわるいアートって、なんでかっこいいんだろう。

わかったふりの現代美術。それって、ほんとはどれほど大事なものなんだろう。そういうのをネタに稼いでる”売れっ子アーティスト”や”一流ギャラリスト”や”オシャレ投資家”は別として。
売れっ子でも一流でもオシャレでもない君が、ほんとに食べたいもの、ほんとに着たいもの、ほんとに愛したいアート。それはどこかほかの場所にあるはずだ。美術館の床でもなく、ギャラリーの壁でも、大学の教室の黒板でもなく。すごく意外で、たぶん、すごく近くに。
これからそれを、いっしょに探しに行こう。

1 商店街に展開したお色気大河SFドラマ
2 元祖国際秘宝館——失われし夜の国宝
3 ラブホの夢は夜ひらく
4 シミュレーショニズムとしてのイメクラ空間
5 欲情する四色印刷——シティヘブン、または2500グラムの輪転宇宙
6 オトナのおもちゃ箱
7 ファンタジーの終焉——宝塚ファミリーランド最後の日
8 愛知万博の陰に咲くコンクリートの華
9 サシミ山のかなたに——伝説のインスタレーション居酒屋探訪記
10 喫茶室ルノアール
11 銭湯芸術家の独白
12 一寸のゴキブリにも五分の魂
13 印画紙にこびりついた欲情のかたち
14 証明写真ボックスがアート・マシンだったころ
15 「お水」の素顔
16 バンコク国際空港で世界最速のフォトショッパーに出会う
17 ヒロシさんやNIGOさんの真似して、僕もウォーホル買ってみました——バンコクの名画工場を訪ねて
18 南の島の少年画家
19 憑依文字
20 精神病院のアトリエにて——岩崎司
21 最終カーブを曲がりきれない人のために
22 ギザギザハートの現代美術告発マップ
23 ひそやかな無意味の意味性を求めて・・・そして現代美術展覧会タイトル
24 全裸という芸術
25 修正主義者のグラフィズム
26 妄想の人体図

$今週のマスト・バイ:iPhone Mini登場!?

ちまたでは新ヴァージョンのiPhoneが話題になったりしてますが、こっちのほうがすごい! なんたってiPhone Miniであります。
えーっ、そんなのアップル・ジャパンのウェブサイトにもまだ載ってないって? そうなんですよ、これ、バンコクで見つけた海賊版iPhoneなんですよねー。
しかしサイズはオリジナルの約半分! しかもボックスから外観から、タッチパネルのデザインまでまったくいっしょ! しかもSIMロックがかかっていないので、どこの国でもプリペイドのSIMさえ買えば使用可能! しかもダブルSIM装着システムなので、ちがう国のSIMを2枚装着し、利用時に使い分けられるという便利さ! しかもゲームや、ダンサブルな音楽コレクションまでプリインストール済み! しかも換え電池まで同梱という親切セット! 本家アップルのiPhoneより、ぜんぜんユーザー・フレンドリーですねー(笑)。
これで価格は3500バーツ、約1万円。それで今月あたりから登場した新ヴァージョン(笑)の、テレビも見られるタイプが3900バーツ(約11200円)。そしてMiniじゃない、ほんとのiPhoneと同じサイズの「なんちゃってモデル」だと、5900バーツ(約17000円)。これも本家より、お安いですねー(価格はいずれも値下げ交渉前のショップ側言い値)。


ちなみにバンコク某所の海賊版携帯ショップで、なんちゃってiPhoneと人気を競っているのが、超高級携帯として知られるVERTU(ヴァーチュ)。先ごろ銀座に旗艦店がオープンして、テレビでも取り上げられたりしましたが、なにしろ価格が160万から500万円。それが9500バーツ、約27000円であります。当然SIMフリーなので、お好きな国の、お好きなSIMを入れてお使いくださいというわけ。どう、B級デジタル・フリークのみなさま、これだけ買いにバンコクに飛ぶというのも、ありじゃないですか!?

2009年6月3日水曜日

今週のスナック:中野富士見町 花


毎週毎週、東京のどこかの町からお送りしている、ディープなスナック探訪記。今週訪ねるのは中野富士見町のスナック花です。
北海道生まれの北耕一さんと、愛媛宇和島の姫之宮ゆりさんという、ふたりの歌謡歌手が、同じ時期に東京でデビューし、いつしか出会い、恋に落ち、いっしょになってお店を開いて、もう33年目。


仲睦まじくカウンターに立つ、おふたりの人柄に魅せられて、通いつめる常連さん多数。マスターもママもプロ歌手だけあって、かなりの歌自慢さんが集まる店でもあります!
http://www.kosaidoakatsuki.jp/shuppan/yondoko/

演歌よ今夜も有難う、第2回アップしました!



 何で俺だけ 次から次と
 苦労が続くと 泣くのは止しな
 天は見ている おまえの涙
 いつか実がなる 報いがあるさ
 千に一つの 無駄もない
 苦労は茄子の 花となる・・・・

いまから10年前、55才で歌手デビューしたときの持ち歌、『苦労は茄子の花となる』を持って、営業生活はや10年。ただいま65才にして、歌手兼世田谷区のゴミ収集トラック運転手として生きる、大門信也さん。


茨城県の潮来に、昭和19(1944)年生まれ。中学を卒業後、すぐに上京、住み込みの電気工事屋を皮切りに、ちり紙交換、果物の移動販売、車の解体、タクシー運転手、そしてゴミ収集と職を転々、それだけで一大ドラマになりそうな人生を送りながら、ひょんなきっかけでカラオケにハマり、 55才にして歌手デビュー。
同じように歌が好きな仲間を集めて歌の会を作り、老人ホームを回っては「歌いながらおじいちゃん、おばあちゃんと握手するのが、なにより好き」という、エネルギーに満ちあふれた65才の熟年歌手であります。
ヒューマニティあふれたインディーズ・アーティストの半生を、じっくりお聞きしました。
http://blog.heibonsha.co.jp/enka/2009/05/post.html

アサヒカメラ連載:今夜も来夢来人で・・大宮編


月刊アサヒカメラで発表中の異色連載。一説によれば日本でいちばん多いスナックの名前が来夢来人らしい・・・というだけの理由で、北海道から沖縄まで、全国の「スナック来夢来人」を訪ね歩くという、無謀な企画!

ただいま発売中の6月号では、大宮駅近くの来夢来人におじゃましています。ここは上海人のママ、同じく上海人と北京人のふたりの女の子たち。オール・チャイニーズで営業中の、ちょっとエキゾチックなスナックというか、チャイニーズ・パブというか。でも、いかがわしさは全然なし(チャイナドレスの裾割れはかなり深くて、ドキドキしますが)。楽しく飲んで歌えるお店です。


ママさんによれば、大宮駅周辺には中国の子がやってる飲み屋が、すでに100軒以上あって、ちょっとしたチャイナタウンと化しているそう(夜だけですが)。知らなかったですねえ!!!

$ 今週のマスト・バイ 小悪魔ageha3月号


いま、間違いなく日本(というか世界)のグラフィック・デザインの最先端を独走している「小悪魔ageha(アゲハ)」。キラキラの女の子の写真の上に長文のモノローグが乗って、その上から雪(?)が降りしきるというスタイルの、表紙からしてもう、グラフィカルな現代詩表現としかいいようがありません(だって文章が、「生まれたときから 日本はこんな感じで、今さら不況だからどうとか言われても・・」なんて続くんですから!)。とりわけ今年の3月号は、デザインに少しでも興味ある人なら必読!!!

おそらく入稿中に突然ニュースが入ったのでしょうが、唐突に2ページの「飯島愛さん追悼」見開きが挟み込まれています。まあ、ぐだぐだ説明するより、とりあえず写真を見てほしいのですが、これはもう、杉本博司さんの三十三間堂より、ぜんぜんすごい!!!!!!


死者に失礼だとか、ブログではずいぶん批判されてるようですが、なに言ってるんでしょうか。これほど真摯で、心意気にあふれた追悼のかたちを、僕はいままで見たことがありません。

いまならまだアマゾンとかで購入できます(古本なら46円から・・涙)。
ニューヨークだろうがロンドンだろうがパリだろうが、世界のどこのトップ・デザイナーも真似できない、最高にクールなデザインの完成形が、ここにあります。日本のストリート・カルチャーは、ついにここまで来ちゃったんですねえ。

古本屋を探しまわる羽目になる前に、すぐ買ってください!