2011年10月26日水曜日

VOBO妄想芸術劇場:山本一夫 1

山本一夫はオムツ・マニアである。『おむつ倶楽部』のような専門誌ならともかく、『ニャン2』のようにノーマルな(?)エロ投稿誌では、稀少な投稿者だ。

山本一夫が一貫して描くのは、オムツを当てられた女性。それもバレリーナ、フィギュアスケーター、新体操選手、花嫁など、若く可憐な娘たちが、舞台で、スケートリンクで、結婚式場でと、ありえない空間でオムツ姿をさらし、おもらしを目撃されるというシチュエーションに、激しくこだわりつづけてきた。



一見しておわかりのように、山本一夫の画風は稚拙と言えるほどにナイーブだ。ぶっきらぼうな輪郭だけであらわされた身体。責める側も、責められる側も徹底的に無表情であり、凍りついたように画面に動きが感じられない。これを技量のつたなさと切り捨ててしまうと、山本一夫の絵から滲み出る、なんとも言えない魅力がわからないことになる。



この一連の作品を見て、瞬間的にクロソウスキーを想起する方もいらっしゃるだろう。フランスの思想家ピエール・クロソウスキーはバルテュスの兄としても、マルキ・ド・サドやニーチェの研究家としても知られているが、彼にはまた『ロベルトは今夜』という不思議にエロティックな小説がある。


ジャンボ機の客室でスチュワデスにオシメを替えられる。

クロソウスキーにとって、山本一夫にとって、絵画の習熟度とか、完成度というものは、なんの価値もないのだろう。彼らが描きたいのでは一枚の絵ではなく、描かれるべきひとつの物語なのだから。それは技術者の図面のようでもあり、子供がこっそり落書きする性交図のようでもある。

敵側にとらわれたプリマバレリーナは、両足首に鉄のくさりをつけられ、
レーザー光線が股間に迫る。高圧浣腸を受けながら、死の予感がする。

今週・来週の2回にわたって、この知られざるオムツ画家の作品を紹介する。今週はカラーのシリーズをまとめて、来週はまた独特の味があるモノクロームの作品群をお見せしよう。