2011年10月12日水曜日

東京右半分 最終回!:永遠に眠れる森の美女

昭和通りに面した、上野の小さな雑居ビル。2階に上がってドアを開けると、そこにはおだやかな灯りに照らされて、数十人の美女が寛いでいた。小学生にしか見えない少女から、アイドル系、微熟女まで。あるものは普段着を身につけ、あるものはほとんどなにも身につけず。こちらを向いて、微笑んで。ひっそり黙ったまま……そう、彼女たちは人間ではなく、もっとも精巧に作られた人形=「ラブドール」なのだ。


台東区上野に本社を置くオリエント工業は、日本でもっとも大手の、もっとも精巧なラブドールの製造販売元である。そしてここは、上野に設けられたオリエント工業のショールームなのだ(上野のほかに大阪にも設けられている)。

オリエント工業は1977年創業。来年で35周年を迎える、業界の老舗メーカーだ。創業者であり、いまも第一線で指揮を執る土屋日出夫さんは1944(昭和19)年、横浜生まれ。もともと会社勤めから、オトナのおもちゃ屋経営に転じたという異色の経歴の持主である・・・。





今回は上野のショールームに加えて、葛飾区内にあるオリエント工業の工場内も特別に見せてもらうことができた。映画『空気人形』でも、この工場がロケ地に使用され、映画の中ではオダギリジョー扮する孤独な人形師が作業していたが、実際には明るく広々とした空間で、若いスタッフを中心に活気あふれる下町のファクトリーである。



そして、2009年9月から丸2年間にわたってお送りしてきた連載『東京右半分』も、96話目になった今週でめでたく完結。スタートするときは、正直言って毎週更新で2年間も続くものかと不安でしたが、走り出してみれば、2年経ったいまでもやりたいネタはまだたくさんあり。でも、ずーっとこうしているわけにもいかないので、これからいままでのお話を単行本にまとめる作業にかかります。そんなに時間の経たないうちにお見せできると思うので、ご期待ください! とりあえず、現在のサイトは来週いっぱいで閉鎖です。単行本をお楽しみに。