2011年11月24日木曜日

岩手県花巻市の小さな美術館るんぴにい

宮沢賢治で有名な花巻市に、「るんぴにい美術館」という小さな美術館があります。この地で活動する社会福祉法人光林会が運営する、アウトサイダー・アートに特化したミュージアムです。

僕もかつて何度か取材に訪れた経験がありますが、岩手はアウトサイダー・アーティストの発掘、育成が盛んな土地で、何人もの重要な作家が世に出ています。今回の展覧会『うちの理想宮 〜パラダイス・シフト!〜』は、地元を中心に7人ほどのアウトサイダー・アーティストの作品を集め、それぞれの作家のテーマに合うような、僕の写真をいっしょに展示するという・・・まことにありがたい企画です。

 フランス第2の都市リヨンの郊外・オートリーヴという小さな村に「理想宮」と名付けられた石でできた宮殿があります。
 これは、フェルディナン・シュヴァル(1836?1924)という郵便配達夫が1879年から33年の月日をかけて、独りで石を積み上げ、セメントで固めて作ったものです。
 当時の町の人々は、シュヴァルを「庭を石で一杯にしている哀れな狂人」として嘲笑しました。シュヴァルは仕事を終えた後、人目につかない夜の時間に宮殿づくりに汗を流しました。
 出来上がった宮殿は、その後アンドレ・ブルトンをはじめとするシュルレアリストたちの感嘆の的となり、1964年には国の重要建造物に指定されています。
 本展でご紹介するのは、現在を生きるシュヴァルの末裔たちともいうべき作り手たちです。糸・布・割り箸、そして絵の具……それぞれが自分の魂が反応する素材を積み重ねて作った一人ひとりの理想宮にほかなりません。
 作り手たちが生み出した姿かたちの美しさと、その薄皮を1枚めくると現れる、煮えたぎるマグマのような創造の歓びを感じていただきたいと思います。
 作り手たちのクリエイティビティが、人と人とを隔てる壁を打ち壊す快感を共に感じていただければ幸いです。 (公式ブログより)


山崎 健一

まあ、僕の写真はどうでもいいのですが、展示される作品は、かなりおもしろそうなものばかり。不思議な図面ばかりを描く山崎健一、手作りのドレスを作り続ける四日市ゆり、廃材をなんでもボールペンにしてしまう三上正泰など、興味津々です。12月17日の土曜日には、僕もトークショーに呼んでもらえるので、いまから楽しみ。この時期に岩手にいらっしゃるみなさまは、ぜひお寄りください。

四日市 ゆり

るんぴにいはギャラリーのほかにアトリエ、カフェ、菓子工房などを併設していて、障害者たちの自立を支援しています。地元産の小麦や雑穀をブレンドしたパンや、花巻の卵で作ったプリンとか、おいしそうですよ!

うちの理想宮 〜パラダイス・シフト!〜

2011年11月10日(木)〜
2012年2月14日(火)
開館時間 10:00〜17:00(水曜日休館)

都築響一トークショー:
2011年12月17日(土) 
16:00スタート
定員50名:参加無料・要申し込み
詳細はこちらから:http://museum-lumbi.kourinkai.net/

三上 正泰

るんびにい美術館 
〒025-0065 岩手県花巻市星ヶ丘1丁目21-29 
TEL&FAX 0198-22-5057