2010年1月12日火曜日

文學界:先端芸術論




 深い森に包まれたサーキットを、奇妙なかたちのゴーカートがのろのろ走っている。
 近づいてきた一台をよく見ると、台車の上には全裸の女性がくくりつけられていた。
 股間には台車に固定された太い電動バイブが突き刺さり、性器をリズミカルに抉っている。口にはボールギャグ(球形の猿ぐつわ)、手は男根型のグリップを握りしめ、それがアクセルとハンドルを兼ねたコントローラーになっているらしい。ふつうならバックミラーがあるカートの両端には、オンボード・ビデオカメラが据えられ、彼女の苦悶(歓喜?)の表情をライブでコントロールルームのモニターに送ってくる。
 緩慢なデッドヒートをコースサイドで見守っていた監督が、突然ワイヤレスマイクに向かって叫んだ――「はい、そこでイケるひとはイっちゃって、潮吹けるひとは吹いちゃってくださ~い!」・・・。
 これ、ある日の夢日記ではなくて、このあいだ関東近県の某サーキットにて行われた、SODクリエイトの1月発売予定作『アクメカート』(仮題)のロケ風景なのだ。

文藝春秋社発行の権威ある純文学誌・『文學界』に、AV(オーディオヴィジュアルじゃなくて、アダルトビデオのほう)の話を書いてしまいました。このブログでも何度か紹介した、S.O.D.の恐るべき企画ものを中心に、いかにいま、エロビデ業界がクリエイティブかを語った小論です。ほかのページは『新春特別対談:カタストロフィ後の文学――世界と対峙する長編小説 高村薫X亀山郁夫』みたいな、すごくシリアスな作品ばっかりなので、読み比べてください!