日本のCM黄金時代に(いまじゃありません!)、いまだにこれを超える作品は出てないだろうと思える、美しいCM映像の数々を僕らに見せてくれて、国内外の賞もたくさん受賞して、そうして1973年に自殺してしまった、天才CMディレクター。「天才」なんて言葉を簡単に使いたくありませんが、いまだにCM界で、このひとを上回る作家は出ていないし、こんなふうにテレビ局とスポンサーと制作者が、ポジティブに結びあう時代は、もう、とりあえず地上波には来ないのかもしれません。杉山登志の名前は聞いたことなくても、「リッチでないのにリッチな世界など分かりません。ハッピーでないのにハッピーな世界など描けません」という、あまりに有名な遺書の一節を、どこかで目にしたことのあるひともいるでしょう。
このDVDには「き〜らくにいこお〜よ」のモービル石油とか(鈴木ヒロミツがタンポポふーっとやるやつですね)、彼の主要なクライアントであった資生堂の作品群、もちろん多くのひとが最高傑作とみなすだろう「資生堂シフォネット・図書館編」も、ぜんぶ入ってます。全部で59本、見てるうちに溜息がとまらなくなります。「資生堂シフォネット」なんて、映像による30秒間の完璧な短編小説ですから。
AVEXの特設サイトでは、残された貴重な絵コンテも見られるので、要チェックです。