というわけで、ちょうどタイミングよく発売された『@DOMMUNE』。本書とは別に、配信記録をまとめた『DOMMUNEオフィシャルガイドブック』が、やはり今月発売だそうですが、こちらはDOMMUNEとはなにか、そしてどうしてこんな無謀なプロジェクトに命を賭けているのかを、主宰者(というよりMC=マスター・オヴ・セレモニーですね)の宇川直宏くんが語り、書き下ろした力作です。
DOMMUNENにいままで登場してきたアーティストたちとの対話形式をメインに、宇川くん自身がひもといていくDOMMUNEの理念は明快にしてラディカルですし、巻末に置かれた本人の回顧録とでも言うべき、クレイジーなトリップの軌跡は感動的ですらあります。
『スナック芸術丸』の担当者として、僕も「宇川直宏・伊藤ガビン・都築響一」の鼎談というかたちで、本書に少しだけ参加させてもらってます。「DOMMUNEとは滅びゆく活字メディアに対するレクイエムである」という宇川くんの言葉に、DOMMUNEを観てくれているひとなら深く共感できるはず。
活字メディアどころか、民放テレビ局が軒並み滅びはじめている現在、たった数人のシロウトが手作りで、採算度外視でつくりあげた奇跡のメディア。これを読んでくれれば、今夜からのDOMMUNEがいっそう楽しく観られるのはもちろんですが、これを読んで刺激されて、日本のいろんなところでDOMMUNEのようなマイクロメディアを立ち上げようという、無謀なチャレンジャーがどんどん出てきたら、それが宇川くんにとって、そして参加させてもらった僕らにとっても、考えうる最高のリアクションであるにちがいありません。