2011年7月20日水曜日

20年前の TOKYO STYLE

今週はいつもの『東京スナック飲みある記』がお休みなので、オマケがわりにどうぞ。

今週、必要があってちょうど20年前に撮った『TOKYO STYLE』のポジをスキャンしてました。

いまから見る​とライティングなんかものすごく下手で(というかストロ​ボも買えず、ランプひとつしか持ってなかったし)、見ていて恥ずかしいのですが・・でも​撮っててすごく楽しんでる感じが伝わってくる。自分で​言うのもヘンですが。

「こんな企画ができたらおもしろいだろうなー」と思い立ち、プレゼンしたものの、どこの出版社にも相手にされず、しかたなく自分でペンタックス67と、4x5のカメラを買って、三脚を背中にしょって、原チャリで撮影して回った2年間ほどの日々。

デジカメなんてなかったので、原稿料が入るとフィルム代や現像料の支払いに充てながら、しかしプロのカメラマンになるなんて、夢​にも思ってなかったあのころ。あんな気持ちでは、いまは​もう撮影できない。プロになるって、微妙ですねえ・・。

アマチュアのこころを忘れないプロ、ってのがベストだと​思ってはいるのですが。技術って、覚えるのよりも、捨て​るのがいちばん難しいのかも。でも、知らないひとの部屋に上がらせてもらうたび、フィルムが現像から上がってくるたびに覚えた、あのワクワク感だけは、プロとなったいまでもぜったい忘れたくありません。

そういえば先週、細江英公さんと鬼海弘雄さんと対談して​、大震災のがれきから発掘されたアルバムの話になりまし​た(体育館にずらーっと並べられた、泥だらけのアルバム​の報道写真を見ながら)。自分と家族の記憶、ビデオと写​真アルバムとどっちを選ぶかと言われたら、みんな写真を​選ぶんじゃないかと。写真の“スチル”っていう言葉には​、記憶を一枚に封じ込める、みたいな意味が込められてい​るのかもしれない。

あんまり懐かしかったので、スキャンしたうちの数枚をここに載せておきます。もう連絡先もわからなくなってしまったひとも多いけれど、この撮影で知りあって、いまだに仲良しでいてくれる友人や、twitterやFacebookで名前を見つけて10年、20年ぶりに連絡をくれたひともいます。

うまいか下手かとかじゃなくて、何十年たっても、それをネタに笑ったり、盛り上がったりできる仕事が、もしかしたらいちばん大切なのかもしれません。