上野駅から御徒町駅までの、歩いても数分の距離に400軒以上の店舗がひしめきあうアメ横。終戦直後の闇市の混沌とした雰囲気をいまだにひきずりながら、平日でも十数万人、年の瀬ともなれば50万人あまりの買い物客で超満員になる、東京屈指のショッピング・ゾーン。おしゃれ情報誌やファッション・メディアにはなぜか取り上げられない、アツアツの物欲グルーヴがこの街にはいまも脈打っている。
安カバンを積み上げた店の隣には茹でダコを叩き売りする店、地下に降りればほかではなかなか手に入らないエスニック食材の店、そして上階にはアダルティ・・というかオッサンオバサン・テイストの洋品店、貴金属アクセサリー店などが渾然一体となっていたアメ横センター。ビッグ・サイズのアメリカン・カジュアルウェアを揃えた3階の『FUKUYA』にはときどきお世話になっていたが(デブには頼もしい味方!)、久しぶりにエスカレーターを昇って3階に行ってみると・・そこはサウスブロンクス、というのは大げさだが、いきなりヒップホップ・テイストの店舗群になっていた。
ヒップホップ・ファッションには欠かせないキャップの専門店もあれば、CD屋もある。壁に貼ってあるポスターも、完全にヒップホップ・テイストだ。通りを挟んだガード下のアメ横プラザの中には、いささか怪しげなヒップホップ系トラックスーツ(ジャージ上下)を売るアフリカ系黒人の店が最近増えてきたけれど、アメ横センターの店舗にはちょっと雰囲気のちがう、「ヒップホップ一途です」的な真面目さが見え隠れしている。いったい、いつからこんなことになったのだろう。どんなひとたちが、お店をやっているんだろう。そしてヒップホップなのになぜ渋谷ではなく上野なのか。3階に店を開く『Cap Collector One』と『Castle Records』の2軒に、買い物がてらお話をうかがってみた。
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