小岩エリアの健康ランドをめぐる湯煙紀行。今週は『東京天然温泉・古代の湯』に入湯してみる。健康ランドというより、郊外型ショッピングセンターのような巨大ビルの1階から4階までを占める古代の湯。「東京天然温泉」という名前のとおり、単なる健康ランドではなく、まごうことなき天然温泉。地下1500メートルから湧き出る強塩泉である。ためしに口に含んでみると、なるほど海水と同じくらい強烈に塩辛い。
古代の湯は、東京でいちばん新しい温泉健康ランドでもある。もともと昭和30年代後半にできた『新小岩自動車学校』があって、同じ敷地内にゴルフ練習場、ボウリング場が開設され、2001年になって健康ランドが加わった。その翌々年にはお台場の大江戸温泉が開店しているけれど、あれはまあ健康ランドというより温泉テーマパークのようなものだろう。先週ご紹介した、同じ小岩エリアで22周年を迎えた湯宴ランドとは好対照である。
老舗・新興というだけでなく、内容を見ても湯宴ランドと古代の湯はまことに対照的。毎日2公演ある大衆演劇を中心に、アトラクションがびっしりスケジュールに組み込まれた湯宴ランドに対抗するように、古代の湯の方針は「都会の湯治場」(支配人さん談)。「うちの経営者の方針として、ゆっくり寛いでいただくために、なるべくなにもやらない方向で行こうとしてるんです」と、健康ランドにしては意外なお話をうかがった。