ツイッターでもちょっとだけ書きましたが、先週水曜から日曜まで、六本木ヒルズのテレビ朝日ギャラリーUMUという場所で、『ドラえもんを描く My DORAEMON』が開催されました。テレ朝の番宣ではやっていたものの、アート・メディアではほとんど取り上げられなかったので、見逃してしまったひとも多いのでは。
たった5日間の会期、しかもテレビ局のビル1Fで入場無料、という時点でファインアートっぽくないと思われるでしょうが、しかし日本をはじめ韓国、台湾、シンガポール、ネパール、イタリアなどの各国から寄せられた、千数百に及ぶ作品の中から選ばれた59点が展示されたこの小さな展覧会は、予想よりずっとおもしろいアウトサイダー・アート・エクジビションでした。
展覧会を主催したのは社団法人林原共済会。岡山のバイオテクノロジー企業・林原グループが母体になったNPO組織で、2003年から『希望の星』と名づけた障害者のアート・エクジビションを開催しています。ちなみにその第1回は京都・亀岡にある知的障害者施設みずのき寮の入寮者たちの作品を集めた『みずのきの絵画 鶏小屋からの出発』でしたが、1994年にそのみずのきの作品を集めた『art incognito』という画集を、小出由紀子さんと共著で出版したのも、懐かしい思い出です(藍風館 1994年・・いまは古本屋さんで探してもらうしかありません・・http://totodo.jp/SHOP/G1-0080.htmlなど)。
会場はけっこうたくさんの、しかしふつうの現代美術展とはぜんぜんちがう種類のお客さんたちでにぎわっていましたが、残念ながらカタログもなにもなかったので、携帯電話で会場の様子を撮らせてもらいました。雰囲気だけでも、わかってもらえれば・・。
『希望の星』は今年、ドラえもんをテーマに選びましたが、去年はモナリザ! その作品はカタログになっていて、購入できます。これもすごくおもしろいので、興味ある方はぜひご一読を。
モナリザ展は1年以上、国内、海外を巡回しているようですが、このドラえもん展もこのあと香港、そして倉敷の加計美術館などへ巡回するとか。六本木で見逃してしまったひとは、どこかでキャッチしてください! 障害を持つ世界のひとびとにとっては、もしかしたらモナリザ以上に親しいアイコンであるドラえもん。作品にあふれる発想の広がりは、難解な現代美術の展覧会ではほとんど出会えない、筆をふるい、絵を描く原初的な衝動と喜びを、僕らに思い出させてくれるのです。