2010年6月2日水曜日

ダンボールの仏さま

6月1日から京橋INAXギャラリーで、『本堀雄二 —紙の断層 透過する仏—展』という小さな展覧会が始まっています。

本堀雄二さんは1958年神戸市生まれと言いますから、今年52歳。神戸在住の現代美術作家ですが、使用済みのダンボールを切り抜いて、輪切りのように貼り合わせることで立体の仏像を作るという、ユニークな作風です。



仏像をモチーフにした立体作品です。といっても、木や石、金属やFRPの彫刻ではありません。素材はダンボール。そ れも、スーパーやホームセンターで私たちが日常的に目にするダンボールを、そのままカットして使用しています。そ のためダンボールに描かれたミカンの橙色や野菜の緑色が随所に点在し、まるで剥げ落ちた仏像の古色にも似通った風 合いとなっています。 観音像や薬師如来、仁王像の輪郭をなぞって輪切りにしたダンボールが、幾層にも繋ぎ合わされ、仏像のかたちが出現 します。軽さ、ハニカム構造のユニークさ、隙間の表情を強調するために縦に重ねられ、その隙間も大きく取っている ために、真正面から見ると透けて何も見えなくなる錯覚に襲われます。横に回って見るに従い徐々に全体のボリューム が見えてきて、また違う造形が現れてきます。
(ギャラリー・ウェブサイトより




ダンボールを素材にするというと、ヘタウマみたいな作品を想像しがちですが、本堀さんの仏像は、そのミルフィーユみたいな透過構造といい、使用済みのダンボールの表面に残る色彩といい、切断面を焼いて黒ずみをつけた風合いといい、とうていダンボールとは思えない、でもよく見るとダンボール以外のなにものでもない、不思議な存在感にあふれています。

関西では知られた作家ですが、東京ではなかなか見る機会がないだけに、今回の展覧会はお見逃しなきよう!

http://www.inax.co.jp/gallery/