2010年6月23日水曜日

紀伊國屋書店scripta:展覧会としての本



今回の書評は、異例ではありますが広島市現代美術館で開催中の展覧会について書きました。なぜなら・・・

書評を書くべきこのページで、今回自分の展覧会のことを書かせてもらうのは、「一冊の本のように」展覧会を作ってみたかったからである。・・・つまり展示会場の、ひとつひとつの部屋を、一冊の本のひとつの章のように、そして部屋のひとつの壁を、1ページのように作ってみたのである。・・・観覧者は、だから部屋の壁を埋めつくす写真を見て、文章を読んで、あたかも本を読むように「壁を読む」ことになる。当然、ふつうの展覧会よりもずっと時間がかかるだろうから、どの部屋にもたっぷり椅子を用意して、疲れたら休めるように、また座りながら写真を見たり文章を読んでもらえるようにしてある。いわば「立体の本」を編集する感覚で、展覧会場を構成する作業は、なかなか楽しいものだった。

というわけで、展覧会場を丸ごと使った珍しい試み、ご一読いただけたらうれしいです。『scripta』は紀伊國屋書店出版部が季刊で発行する無料広報誌。お求めは紀伊国屋の各書店まで。