2010年10月6日水曜日

水森亜土展!:弥生美術館で開催中

70年代にもっとも影響を与えた日本のグラフィック・デザインというと、まず横尾忠則をあげる人が多い。それは当然だが、彼と同じくらい、一般のレベルではもしかしたら横尾さん以上に強い影響を日本中に振りまいたのが水森亜土、通称亜土ちゃん(亜土たんと呼んでいた人もたくさんいた)だろう。

ジャズ・シンガーであり、レビュー・クイーンであり、イラストレーターであり、油彩画家でもある亜土ちゃんは、そのあまりにマルチな活動ぶりに、かえって過小評価されてきたきらいがある。

テレビでおなじみだった、あの歌いながら透明ボードに両手でササッとかわいい絵を描いていくパフォーマンスは、まるでマイケル・ジャクソンのムーンウォークのように、当時の日本中の子供たちをプチ亜土ちゃん化したものだった。いま考えると、あれが日本のグラフィティの、もっともパワフルなオールドスクールだったような気がする。そこらの商店街の壁とかに、アメリカの丸コピーのグラフィティをスプレーして得意になってる若者は、亜土ちゃんのオリジナリティを見習ったほうがいいかもしれない。

なぜか最近、亜土ちゃんは久しぶりのブームになっている。Tシャツからメモ帳、筆箱にいたる、おびただしい亜土ちゃんグッズを扱う店も各地に登場しているが、できたら亜土ちゃんが定期的に開いているレビュー・ショーや展覧会で、「アダルトな亜土ちゃん」を観賞してみてほしい。亜土ちゃんが妖艶なダンサーたちと歌って踊るステージや、意外に厚塗りの油絵のキャンバスには、一見かわいいだけのモチーフの奥に秘められた、そこはかとなくエロティックで、実はかなりオトナっぽいテイストが、グッズよりはるかに濃厚に漂っているのだ。

今月1日から12月26日まで、本郷の弥生美術館で開催中の『水森亜土展 どうしてずっとアドちゃんが好きなの?』は、そんな亜土ちゃんの魅力の全貌に迫る、長い画業で初めての展覧会である。

 水森亜土は長いキャリアを持つイラストレーターですが、いつ見ても、その絵は古くささを感じさせません。私たちが人生の時々で出会うたび、亜土の絵はフレッシュで、チアフルで、ハッピーなものとして心に響きます。
 なぜでしょう?それは絵を描く亜土自身が人生を楽しみ、常に前を向いて走り続けているからかもしれません。
 水森亜土は多彩な顔を持ちます。絵描きとしてだけでなく、両手づかいのパフォーマー、歌手、アヴァンギャルドな舞台女優としても実績を誇ります。また華やかな活躍の一方で、四季折々の自然と動物と家族を愛し、ユニークな発想でハードな日々も軽やかに生きる賢い女性でもあります。
本展は水森亜土の全貌に迫る初の本格的展覧会です。亜土の元に秘蔵されていた初期の"お宝"グッズ、イラスト原画、油彩画、お気に入りの品々など、多数の作品・資料を一挙公開!またエッセイやインタビュー記事等も併せて紹介します。
 私たちがなぜ"アドちゃん"に魅了されるのか、その答えがきっと見つかるでしょう
(公式ウェブサイトより)

会期中にはトークショー(11月6日)やジャズライブ(12月5日)も開かれるそうなので、早めに予約して「ナマ亜土たん」のエネルギーに触れてくるべし! ちなみに「水森亜土展」ご来場のお客様限定!プレゼントとして、「キュートな亜土ちゃんイラストのケータイ待ちうけ画面が会場でもらえる」そうです。

会期:2010年10月1日(金)〜12月26日(日)
弥生美術館
http://www.yayoi-yumeji-museum.jp/

● かつて『IDEA』誌に掲載された、水森亜土アトリエ訪問記と珍しいロング・インタビュー、それにアダルトなテイストの名作ペインティング・コレクションまで、こちらでたっぷり読めます! 展覧会前の予習にどうぞ。


なかなか見られない亜土ちゃんのアトリエ風景や、

こんなアダルトな味の作品がたくさん載ってます