これまで数年間にわたって、ひっそり取材を続けてきた、タイの田舎の地獄庭園。ついに写真集、というか飛びきりエグいガイドブックになりました! 『HELL 地獄の歩き方・タイランド編』、今週末発売ですが、すでに店頭に並んでいる書店もあるかもしれません。
地獄に行きたい人間は、あまりいない。
なるべくイヤなこと、体験したくないことを何百年、何千年にわたって、何億人もが考え抜いた、究極のネガティブ・イメージ。それが地獄というものであるはずだ。
それなのに世の中には、死んでからしか行けないはずの地獄を、いますぐ味見してもらおうと、手間ヒマかけて再現してしまうひとたちがいる。
プロのアーティストではなく、そのへんのコンクリート職人や、お寺の信者たちが、ちからを合わせて造りあげた苦しみのヴィジョン。シロウトの手になる、だからこそ純粋な思いがこめられた血みどろの彫刻群。現世の片隅にひっそり毒花を咲かせる、そんな地獄庭園に魅せられて、長いこと撮影行を続けてきた。
これをアートと呼べるのかどうか、僕にはわからない。けれど世の中に「アート」という名前で流通している商品よりも、はるかにリアルな思いのカタマリがここにある。
(序文より)
その、あまりにグロテスク、そして敬虔な仏教徒の国にもかかわらず、往々にしてエロティックな立体作品の数々は、とてもここでは紹介しきれないので、専用の紹介サイトを立ち上げました。とりあえず、ご一読ください!
一時は毎月通うほどハマっていたタイの田舎めぐりが、ようやくかたちになったかと思うと感無量ですが、「またバンコク行くの?」と疑惑の目で見ていた友人諸君も、これでようやく納得してくれるかと・・・。刊行を記念して、今月29日にはトークショーも開きます。今週日曜が受け付け開始なので、お早めのご予約を。
『HELL 地獄の歩き方<タイランド編>』(洋泉社)刊行記念
「都築響一ワイドショー」VOL・6
開催日時 2010月10月29日(金)19:00〜
会場:青山ブックセンター六本木店
受付開始日: 2010年10月17日(日)10:00~
タイと言えば、おいしいご飯だのマッサージだの、お買い物だのと浮かれるのが当然ですが、たまにはバンコクにも、ビーチリゾートにも背を向けて、こんな「地獄めぐり」の旅はいかがでしょうか。街のスタンドでは死体雑誌がふつうに売られ(最近はあまり見ませんが)、夜の繁華街は世界最強の売春&ドラッグ無法地帯と化す、「微笑みの国」のダークサイドを支えるメンタリティが、ちょっとは理解できるようになるかも。