2011年2月2日水曜日

東京右半分:金歯にダイヤ埋め込んで、君もきょうからラップスター!

ほんの少し前までは寂れた都心のエアポケットのようだったのが、JR東日本が高架下を『2k540 AKI-OKA ARTISAN』なるデザインショップやカフェのアーケードに模様替えして、急にオシャレな女子っぽいエリアになりつつある(嘆息)上野御徒町。その2k540のお向かいにありながら、「うちの店は影響ありませんから!」と即答してくれる気合いがうれしい<GRILLZ JEWELZ>は、ヒップホップのグリルをオーダーメイドで製造販売する、たぶん日本で唯一の専門ショップだ。


「グリル」とは、料理の名前ではなくて、歯にかぶせる「装飾用金歯・宝飾歯」のこと。1980年代初頭にニューヨーク・ブルックリンの「金歯屋」エディ・プレインによって発明されたと言われ、パブリックエネミーのフレイヴァ・フレイヴなど、東海岸のラッパーたちの熱い支持を得て、全米に広まった。



オーバーサイズのスポーツウェア、野球帽、スニーカーやティンバーランド・ブーツ、「ブリンブリン」と呼ばれる極大ジュエリーといったヒップホップ・ファッションのうちでも、グリルは最強のアピール度を誇るアイテムである。自然の歯と見分けのつかない、ナチュラルな色の差し歯が審美歯科では一般的になっているいまの世の中で、ふた昔ぐらい前のイメージしかない“金歯”という危険なブツに、さらに宝石まで埋め込んだりして、隠すのではなく見せつけるための差し歯を作ってしまう――それはいかにもヒップホップらしい、反逆精神にあふれたスタイルと言えよう。