洋服屋が僕らに着てほしい服じゃなくて、僕らがほんとに着たい服って、どんなのだろう。ブランドとかシーズンとか、どうでもよくなった達人はなにを着てるのだろう。身につけた服の値段じゃなくて、服の下に隠されたからだのクオリティを想像させる服って、どんなのだろう。たかが洋服、されど洋服。解き放たれたオトナの着こなしを探す旅!
本社は大阪の下町、東京で言えば門前仲町か月島あたりに似ている玉造の小さなビル。社長含めてスタッフわずか3人。直営ショップが大阪にひとつ、あとは全国十数店の紳士服屋に卸しているだけで、東京都内ではネット通販以外に買うことすらできない。そんなに地味な大阪の洋服メーカーが、実は全国の「ちょい悪アニキ」たちに絶大な人気を誇るトップ・ブランドであると知ったら、君は驚くだろうか。
BBCO、と書いて「ビビコ」と読む。「ビビッドでしょ、ビビっと来るでしょ、それにわたしの娘がビビリっ子だったんで」と笑う木村充湧(みゆう)さんがオーナー&デザイナーを、1989年の創業以来ずっとつとめている。
初期の『ミナミの帝王』で竹内力が着ていた、派手派手のスーツやシャツもBBCOだったし、哀川翔の『デコトラの鷲』セットアップ(ジャージ上下)やサングラスも、いま小沢仁志がVシネで着用するほとんどすべての衣装も、みんなbbcoだ。映画『Shall We ダンス?』、『アウトレイジ』でも衣装協力しているから、知らず知らずのうちにBBCOの服を見ているひとも多いはず。それだけ強烈なキャラクターを、デザインが背負っているのだろう。
「こういう男でありたい」と男が考えたデザインではなく、「こういう男と遊びたい」と女が考えるデザイン。そんな非日常性の匂いを、ちょい悪や極悪のアニキたちは敏感に嗅ぎわける。グッド・テイストに反抗しつづける“ヤンチャ精神”を、日本のどのブランドよりも誇示しているのがbbcoなのだ。