日本でいちばん端正な広告写真を撮る上田義彦さんが、ミャンマーで撮影した写真集『YUME』を発売、今月16日から展覧会も開催しています。
上田さんの作品で、もっともよく知られているのはサントリーの烏龍茶シリーズでしょうか。売れっ子広告写真家が、ギャラをたくさんもらえる(でも自分の名前は出ない)仕事の合間に「自分の作品」を撮ったり、ぜいたくな作品集を作ったりするのはよくありますが、上田さんの広告写真と、僕がずーっと以前に編集に関わらせてもらった『QUINAULT』に始まるプライベートな作品のあいだには、まったく落差がありません。
こういうふうに広告と作品制作の、まったく異なる世界をシームレスに行き来できる作家は、いまほかにどれくらいいるでしょうか。僕にはほとんど思いつきません。上田義彦はそれくらい希有な、そして幸福な写真家なのです。
恵比寿の書店NADiffの中の、小さなギャラリーですが、そこに流れる空気をすくいとるような、独自の審美眼をぜひご覧ください。
公式サイト http://www.gptokyo.jp/gp/