2010年11月4日木曜日

ベルリンのふたつの展覧会

出張トークにでかけたベルリンで、オフの日にふたつの展覧会を見ることができました。ドイツ歴史博物館で現在開催中の『ヒトラーとドイツ人 民族共同体と犯罪』展、そしてメッセ(見本市会場)で10月21日から24日まで開かれた『14 VENUS』です。


歴史博物館におけるヒトラー展は、おそらく戦後ドイツで初めて、ヒトラーをテーマにした画期的な大展覧会。ドイツではいまだに公共の場所でハーケンクロイツを展示したり、着用したりするのは法律で禁止されてるんじゃなかったかと思いますが、それくらいナチスに関してはいまだに複雑な感情が残る中で、ヒトラーという稀代の独裁者と、彼をあれだけの独裁者に押し上げたドイツ社会との関係を、多数の展示品や映像によって振り返る内容で、当然ながら毎日長蛇の列ができています。



「民族共同体」とは白人絶対優位主義を標榜したナチズムの基本概念ですが、ヒトラーというひとりの怪物にすべての犯罪の責任を押しつけるのではなく、ドイツ国民がどのようにあの時代をつくり、生きていったのかを多面的に検証する本展は、現代ドイツ人にとってもかなり考えさせられる企画であるはず。一歩間違えれば極右礼賛につながりかねないし、ユダヤ社会からの反発も予想される中で、ほんとうに勇気ある展覧会だと思います。来年2月6日まで開催中なので、もしベルリンを訪れる予定のある方は、ぜひご覧ください。分厚いカタログも貴重な図版満載・・・なのですが、ドイツ語版しかないんですよね! フランスもそうですが、ヨーロッパの大展覧会って、どうしてなかなか英語版を作ってくれないんでしょう。それだけが残念です。

 展覧会パンフレット

問題をはらむ展示物が多いせいか、会場内は撮影禁止なので、。こちらの動画をご覧ください。


いっぽう『ヴィーナス』のほうは4日間だけの会期で、すでに終了してしまったのですが、知る人ぞ知る「世界最大規模のセックス産業見本市」。もう14回目になるというから驚きです。


ベルリン市内の巨大な見本市会場を丸ごと使って、日本を含む世界各国から400以上の業者が参加。ハイテクを駆使した新型バイブあり、リアルドールみたいな高級ダッチワイフあり、DVD大安売りにSMコスチューム特注コーナーありと、どのブースも見応え充分(?)。4日間で数千人の業者と、それをはるかに上回る一般入場者で満員の盛況でした。

 由緒あるメッセ会場も、こんなディスプレーに


おしゃれなリアルドール

イタリア製のバイブ付きオシャレ・チェアとソファ。バイブの動きは前後のみと単調だが

なかでも大きなスペースを占めていたのが、オンライン・セックス業界。いずれもスター級の女優を惜しげもなく投入して、全裸で大開脚パフォーマンス。それに群がるドイツ版カメコ(カメラ小僧)の大群。なんだか日本のアイドル握手会会場を思わせますが、こちらはコスチュームを着てないこと、そしてカメコの年齢が総じて高めなところが特徴でしょうか。


人気のポルノ女優が、気軽に(ハダカで)ブロマイドにサインしてくれます!


しかしこういう大サービスは、かつてDVD業界が得意だったと思うのですが、もはやDVDメーカーのブースはどこも閑散として、完全に勢い押され気味。しかもDVD大安売りはあれど、印刷物のエロ本はついに一冊も見つけられず。エロ業界はやっぱりネット化、デジタル化の最先端を走ってるんですねえ・・・ちょっと寂しいですが。

 各種グッズもたたき売り状態

くつろぎのラウンジにも、こんなプロジェクションが! 
こんなのが入っちゃうなんて、人体の神秘!!! 

広い会場を丹念に見て回ると、お約束の顔ハメ記念写真セットとか、「巨乳の女優さんとツーショット写真が撮れて、その場でTシャツにプリントしてくれる」ブースとか、楽しいコーナーがけっこうあります。バー・カウンターでは常時、半裸のポールダンス嬢がくねくね踊ってるし、休憩所では信じられない巨大ディルドを尻に突っ込まれる男の映像とかが大スクリーンに上映されてたり、それをまただれも見てなかったりと、なかなか興味深いシーンが各所で展開してました。『ヴィーナス』は来年の第15回もも同時期に開催予定だそうなので、興味のある方はたっぷり時間を取ってエンジョイされることをオススメしておきます。
超うれしそうにツーショット写真を決めるファンの男の子



 こちら韓国から唯一参加したメーカー、ネーミングが泣かせます。



カメコの鼻息は世界共通!?


ドイツらしい(?)凝った責め具もあり

セックスって、万人の楽しみなんですねー

来週はハンガリーのブダペストで見つけた、特殊観光スポットを。