2010年11月10日水曜日

ブダペストの異色ロウ人形館ふたつ

最近は温泉めぐりの地としても人気が高まっているハンガリーのブダペスト。レクチャーに招いてもらったあいまに、どこか変わったおもしろスポットはないかと探してみれば・・・なんと4ヶ所もロウ人形館らしきものがあるじゃないですか! 時間の関係で、今回はそのうち2ヶ所だけ訪れることができました。ブダペストには『ハウス・オヴ・テラー=恐怖の館』と呼ばれる有名なミュージアムもあるのですが、こちらはナチス時代、それに続く社会主義独裁政権時代に迫害にあったひとびとを記録する、しごく真面目な展示施設なので、それはほかのガイドブックに任せとくとして・・・

まずは『マフィア・ミュージアム』。市内中心部の立派な建物の地下に2008年冬、オープンしたばかりの犯罪ロウ人形館。資料がハンガリー語ばかりでよくわからないのですが、たぶん国立らしいです。


なぜにハンガリーでマフィアなのかは謎ですが、入館してみれば内部の前半が「シチリア・マフィアの歴史」、そして後半が「現代ハンガリーの犯罪」という構成。シチリアのほうはマフィアの成り立ちから、抗争の主な舞台をアメリカに移してからの血なまぐさい事件現場などで、マフィアの歴史をスピード・ラーニング。





そして後半はドラッグ密輸に売春にと、現在もブダペスト各所で行われているにちがいない犯罪の数々が、リアルなロウ人形とジオラマで再現されてます。小中学生の課外授業にもよく使われているようで、僕が行ったときも現地の小学生が、写真撮りまくってました。ちなみにこのミュージアムは「どんどん写真撮って、なるべくたくさんのひとに広めてください」という寛大な姿勢なので、高感度のカメラ持っていきましょう!






 公式サイト(ハンガリー語のみ) http://www.maffiamuzeum.hu/

いっぽうマフィアと対照的に、「ぜったい撮影禁止!」と厳しい姿勢だったのが、通称『ホスピタル・イン・ザ・ロック=岩窟病院』といわれる「軍事病院&核シェルター」。この不気味な施設、なんとブダ城の地下にあるのです。ブダペストを訪れたことのある方はご承知でしょうが、市内中心部、ブダの丘にそびえるお城。その地下がこんなことになってたなんて・・・。

お城の裏手、めちゃくちゃわかりにくい入口


もともと第2次大戦時に軍事病院として建設され、最盛期(?)には1000人以上の患者がここに収容されていたという岩窟病院。大戦終結後、こんどは冷戦時代になるとさらに規模を拡大、核シェルターとして整備されることになりました。



軍事機密として、その存在が半世紀以上にわたって隠されてきた岩窟病院と核シェルター。2004年までは管理人が住み込みで常駐し、機器類のメンテナンスから、病院のシーツ交換まで欠かさず行っていたというから驚きです。2007年に初めて一般公開。あまり外国人観光客には知られていませんが、こちらもやはり課外授業ではよく使われているようです。



内部はほとんど迷路状態のため、見学は毎日数回設定されているツアーのみになりますが、ハンガリー語のほか、英語のガイド役もちゃんといるので安心。迫真の出来のロウ人形から、往時の悲惨な状況を想像すると、背筋が寒くなってきます!




なお、このふたつのロウ人形館は、12月17日発売予定の『ワンダーJAPAN』2010年12月号で詳しく紹介予定です。ご期待ください!