2010年3月31日水曜日

オレサマ商店建築:池袋カフェ・ド・巴里


池袋駅北口。猥雑な町の、いちばん猥雑な一角にカフェ・ド・巴里がある。

池袋演芸場も入る、駅前の雑居ビル。2階にある巴里に入ろうと地上入口に立つと、いきなりエスカレーターに通じるガラスドアが開いて、ちょっと驚く。おそるおそるドアを抜けてエスカレーターに乗ろうとすると、いきなり背後のドアが閉まって、また驚く。動揺しながらエスカレーターに導かれて、見えてくるのはゴージャスなシャンデリアと、見事な生花と、フェイクの暖炉と、金色の小鹿と・・・って、ここはいったいなんですか?

カフェ・ド・巴里がオープンしたのは、いまから16年前のこと。すぐ近くには系列店の「珈琲専門館 伯爵」が25年前から営業中。巴里は池袋のほかに六本木と練馬に計3店舗、伯爵も池袋東口と巣鴨に系列店がある。全部で6店舗を有する、ちょっとした喫茶店帝国だ。

ゆったりと間隔を取った席の配置。装飾や段差を積極的に導入して、目線を分散させるレイアウト。昼の2時までモーニングをやっていて、それもセットで600円からという安さ。そしてなにより、日曜をのぞいた全日、24時間営業!というサービス精神。要するにここには、昔の喫茶店にあったもの、いまのカフェにないものが、全部そろっている。そういう日本式喫茶店システムの、ひとつの完成形なのだ。