2009年7月15日水曜日

渋谷駅前ホームレス排除彫刻・その後

さきごろ発売した『現代美術場外乱闘』でも取り上げましたが、東京にかぎらず、街なかでますます目につくようになった”ホームレス排除アート”。パブリック・アートという美名のもとに、ホームレスを排除するために設置される“邪悪なアート”の実態に、あいかわらず美術メディアは目をつぶったままです。
渋谷のマークシティに向かうガード下には、「ウェーブの広場」なる珍妙なパブリック・アートがあるのを、ご存じの方も多いでしょう。マークシティ本体と同様、設計は東急建設。名前は公募で決めたそうで、由来は「この街に新たなウェーヴをおこそう!」という心意気からなんですと・・・。管轄しているのは「渋谷中央街」という商店街の組合ですが、最初からこうだったのではなくて、最初は平らな広場だったのが、ホームレスが常駐しはじめたために波型にしたところ、ダンボールを何枚も敷いてホームレスがしつこく常駐! そこでイボイボ状の突起を設置したら、今度はなんとイボイボを引っこ抜いて(!)、しつこくホームレスが居座ったため、ついにイボイボが引っこぬけないよう、あらためて補強したそうです。こうなると戦争ですねー。


ようやく商店街とディベロッパーの勝利に終わると思われたのですが、最近久しぶりにウェーブの広場を通りかかってみると、おお! ホームレス(もしかしてただの夜涼みの酔っぱらい?)が、イボイボのあいだにからだを沿わせるように、しっかり浸食してるじゃありませんか。うれしいですねえ。
引っこ抜いても引っこ抜いても生えてくる雑草のように、アートでホームレスを排除しようなどという思い上がったアイデアが、こんなふうにワヤにされるのを見るのって、気持ちいいです。暑い季節には毎夜のように観察できると思うので、東急建設とかアーティストとかが、また邪悪な工夫をする前に、見に行ってみるべし!