2009年7月30日木曜日

直島銭湯 I ♥ 湯、ついに開湯!


大竹伸朗が大阪の建築集団・グラフと組んで、直島に作っていた銭湯「アイ・ラブ・湯」が先週、ついにオープンしました。

 公式ウェブサイト:http://www.naoshimasento.jp/#/ja

フェリー・ターミナルそばの住宅地に忽然と出現した「アイ・ラブ・湯」は、巨大なアートワークであると同時に、長らく銭湯のなかった地域住民にベネッセからプレゼントされた、実用的な公共浴場でもあります。
「アイ・ラブ・湯」については、これからたくさんの報道が出てくると思うので、ここで詳しく紹介はしませんが、とにかく大竹くんの最大の作品であるとともに、最高傑作でもあります。2006年10月に東京都現代美術館で、『全景』と題された回顧展が開催され、それは生まれて以来50年以上にわたる「絵とともに生きた人生」の集大成でしたが、今回の「アイ・ラブ・湯」は、いままで大竹伸朗がたどってきたアーティストとしての道程を、ひとつの空間に集合させた、伽藍としてのレトロスペクティブとも言えるものです。


よく言われる「アートと地域のコラボレーション」が、ほとんどの場合にアーティストやキュレイター・サイドの一方的な思いこみに過ぎないのに対して、今回の銭湯プロジェクトは、なによりもまず地域住民を熱狂させている点が、他に類を見ないユニークなポイントでもあります。
向かいに住むおばあちゃんは、窓を開けてずーっと、訪れるお客さんたちにニコニコ微笑みかけているし、近くのスナックのママさんは、「あれ、ええやろー! わたしら、できるとこ、ずーっと見てたんやで」と、僕らに自慢して話が止まりませんでした。これほど、地域に愛された「アート・プロジェクト」が、いったいいままであったでしょうか。
いま直島に行けば、かわいらしいビーチで海水浴も楽しめます。この夏、いち早く訪れ、湯に浸かって大竹ワールドに溶けることを、強くおすすめします!


そして、このブログの読者諸氏だけに、ワンポイント・アドバイス。ちょっと郵便配達夫シュヴァルの理想宮を思わせるような、その建築は無限のディテールの集積でもあるわけですが、ショッキングなヴィジュアルに隠れて見落としがちなのが、建物の周囲に置かれた観葉植物のプランター。なんの変哲もない発泡スチロールの箱に見えるのですが、触ってみるとこれが実は・・・発泡スチロールそっくりの陶器なんですね! 
わざわざ信楽で、職人さんに「発泡スチロールの箱を渡して、これを型にして陶器にしてくれって頼んだんだよね」と、アーティスト本人が笑いながら教えてくれた、愛すべき隠れキャラ。直島訪問の際は、触って確かめて、記念撮影をお忘れなく。というか、大量生産して、売ってほしいですけどね。


 公式ウェブサイト:http://www.naoshimasento.jp/#/ja