2009年7月7日火曜日

その後の『TOKYO STYLE』

ついこのあいだ、見知らぬ女性から突然メールをもらいました。「わたしはもうすぐ、いま住んでるアパートを建て替えで追い出されちゃうのですが、それがどう見ても、TOKYO STYLEに載っていた部屋なのです! いちど、引っ越しする前に写真撮りに来てもらえませんか」というのです。
 場所は三軒茶屋の近く。興味津々で訪ねてみたら、やっぱり昔に訪ねた、その部屋でした。本のために撮影したのが1991年か92年なので、もはや18年前! あれから自分にもいろいろありましたが、部屋にもいろいろあったんですねえ。
 6畳と7畳、全部で25平米ほどの部屋に現在お住まいの彼女が、ここに越してきたのはもう12年前。そうだろうなあと思わせる、収集品が部屋のほとんどを占領し、これは引っ越し大変でしょう・・・と同情しちゃいます。
 以前は地方公務員だったという彼女、職場の難しい人間関係に嫌気がさして、拒食症にもなってしまい、やむなく退職。「名簿を見て、職場の人がだれも住んでない区を探したら、世田谷区でした!」というのが、こちらに越してきた理由だそう。
 いまはバイトや派遣でストレスなしの生活を送りながら、お金が貯まれば大好きなアジア旅行に出かけるという生活。そっちのが、ずっといいですよね。ちなみに家賃は月に7万4000円。三軒茶屋駅から歩いて10分もかからなくて、まわりは綠がたくさんあって、もちろんバストイレもついて、これはかなりお得な物件でしょう。
 しかし18年前の部屋と、2009年の部屋と、このちがい! 部屋って、やっぱり住人の個性というか、人となりが作るものだと、しみじみ実感します。そう考えてみれば、建築家って、なんだか空しい仕事ですねぇ!


これが18年前に撮影した物件:

こちらが同じ角度からの、2009年度:


ちなみにディテールはこんな感じ、楽しそうな住まいですね!